ジョグジャ5日目の博物館巡り、〆はインドネシア空軍宇宙中央博物館。博物館周囲ではタクシーを拾えない且つ公共交通機関もないので、滞在先前の幹線道路を走る流しのタクシーをチャーターして行くことに。相場が分からなかったので何台かと交渉にあたったところ、初めの3台は100,000ルピア以上の言い値で折れてくれなかったが、4台目でシェラトン⇔空軍博物館のチャーター1時間で70,000ルピアと控えめな運転手に遭遇。昔いた(今もいると思うが)タレントのコロッケを若くした感じの運転手なんだが、こいつがまた凄く調子の良い奴で、「俺のバティック格好いいだろう!安いんだぜ!」とオウムのように何度も何度もバティック工房を勧めてくる。
「バティックは既に購入済み」と、これらの誘いを頑なに断り続け、ようやく博物館の入り口まで来たと思ったら…
「ソーリー、70,000ルピアじゃやっぱりだめだ。待つなら140,000ルピア必要だぁ~。ここでは帰りのタクシー拾えないよ。」って…タクシー拾えないからチャーターで交渉したんだろうに。人を砂漠に運んでからエビアンを思いっきり高値で買わせるような外道行為、人を舐め腐ってる。向こうが約束を反故にするなら目には目を歯には歯をだ。シェラトン⇒博物館間をメーターで走った場合の運賃として20,000ルピアだけ渡して契約解除。別にコロッケは損した訳ではないのに、強欲が余り金鶴を逃してしまったことへの後悔か、無念そうな表情のコロッケ。サヨウナラ。
博物館の入り口では身分証明書を預ける必要があるとのことで、パスポートを預け入れる。先に行った軍事博物館とは違いこちらは現役バリバリの軍事施設なので、入館者の管理を厳しくしているようだ。
博物館の敷地内にはゴッツイ兵器が惜しげもなく至る所に置かれていて、蒼の英雄(フライトシミュレーターゲーム)をプレイする衝動に駆られてしまう。
【ツポレフTu-16】
第二次大戦後の冷戦時代幕開けと同時期にソ連のツポレフ設計局が開発製造した双発の爆撃機。初期の生産型は通常爆弾を搭載する旧ソビエト空軍向けの爆撃機だったが、後継機種では海軍航空隊向けの対艦ミサイル搭載型や海上哨戒型が多く造られた。現在は全機が第一線から退役しているが、中国で西安轟炸6型としてライセンス生産された機体は未だ現役で中国人民解放軍の長距離爆撃/哨戒機として中核を担っている。
後退角付きの主翼と主翼の根元に埋め込み式で取り付けられた大出力エンジンが特徴。固定武装には尾部に23mm機関砲が2門搭載されている。
【PBY-5Aカタリナ】
ナチスドイツが再軍備宣言を行い、新時代の軍用機開発に全力を注ぎ始めた1933年初め、アメリカのコンソリデーテッド・エアクラフト社が米海軍からの注文で開発した双発飛行艇。大戦中は監視兼救難飛行艇として活躍し、戦後の冷戦期には創設されたばかりの海上自衛隊にも貸与された他、一部の機体は民間に払い下げられ空中消火に活躍した。
機首下部および胴体中央の両舷に引き込み式の車輪を装備した水陸両用機。双発のレシプロ機であり、主翼はパラソル配置となっている。主翼端のフロートは格納式で、飛行中は主翼と一体となすることで空気抵抗を減ずる。
【AS332 シュペルピューマ】
フランス・アエロスパシアル社(現エアバス・ヘリコプターズ)製のターボシャフト双発の汎用ヘリコプター。民間用と軍用の双方の市場への売込を目標にした大型ヘリ。日本でも警視庁・大阪府警や東京消防庁、国土交通省東北地方整備局に採用された他、要人輸送用の政府専用機として3機が、海上保安庁でも捜索救難機や大型巡視船「しきしま」の搭載機(AS332L1)、特殊警備隊用機(EC225LP)などとして運用されている。
【OV-10Fブロンコ】
ノースアメリカン社が開発したCOIN機。直線翼の主翼を高翼配置し、後部胴体は主翼に付けられた双発のエンジン・ポッドから延びる双ブーム形式とし、両ブーム尾端に垂直安定板を立て、その上端を水平安定板が結ぶという独特のスタイルとなっている。胴体下面左右には張り出しがあり、それぞれにM60 7.62mm機銃連装ガンポッドを各1基搭載。下面にも各2箇所のパイロンの装着が可能となっている。主翼下面には外翼部にそれぞれ各1基のハードポイントが設置され、自衛用のAIM-9 サイドワインダー空対空ミサイルや通常爆弾などを搭載することができる。
操縦席からの下方視界を良くするために 大きく取られたキャノピーも特徴的。
コックピットはタンデム複座で、座席にはゼロ・ゼロ式のLW-3B射出座席を装備。座席背後にはスチール製、座席下面にもアルミニウム合金の装甲板が張られている他、前部キャノピーは2cm厚の防弾ガラスとされ、乗員への安全対策も図られている。車輪も不整地に備えた大がかりな緩衝装置を使っている。
【HS-16(UF-1)アルバトロス】
アメリカのグラマン社が開発したレシプロ双発の水陸両用飛行艇。第二次世界大戦中に活躍したJRFグースの後継機。深くて長いV字断面の胴体は波浪状態の海面への着水を可能にしている。
【A-4 スカイホーク】
ダグラス社が開発し、アメリカ海軍などに採用された艦上攻撃機。折りたたみ機構の無いシンプルな機体で、主翼外板は左右一繋がりの巨大な一枚板で構成されている。出来るかぎりシンプル・軽量・小型化することによって空母のエレベーターに機体が収まるようにとの開発要求があったことから小さくシンプルな機体レイアウトとなっていて、軽量・小型・高機動という能力を活かした人気機種で、諸外国の空軍・海軍でも広く採用された。ここに展示されているのはイスラエルからの御下がりで、ニューギニア島の自由パプア運動や東ティモール独立革命戦線のゲリラ鎮圧作戦に参加したもの。
ここまでの野外展示の見学は無料だが、こちらの建物の中に入るには入場券を買い求める必要がある。
中はどこもかしこも子供だらけで、落ち着いて見学することができない。インドネシア共和国空軍の沿革、軍服、兵器、沿革のジオラマ、宇宙関連の順で展示されているが、子供が多すぎてじっくりと解説を読めやしないので、細々した展示物はすっとばして戦闘機の展示会場へと進む。
博物館内の戦闘機展示会場にもP51、B24、ミグなどがオンパレード。国柄なのか余り管理されておらず、悪く言えば放置状態で、屋外展示と同様に好き勝手に触れるのが有り難い。学生たちは平気で翼の上に乗っかったりしてますから。
【マスタング P-51】
米ノースアメリカン社の陸上戦闘機。大きな航続力と高高度性能・運動性を併せ持った名機で、レシプロ時代の傑作機と評価されている。
【シコルスキー UH-34】
カバみたいなご面相が特徴の多用途ヘリコプター。鼻面の部分には星型エンジンが入っている。アメリカ海軍から対潜哨戒機開発の要求を受けて1952年から開発が始まり、アメリカ海兵隊(HUS-1)やアメリカ空軍(H-34)にも導入された。その後、陸軍・沿岸警備隊でも高い実用性を評価され、輸送機や救難機として採用されてる。
【PZL TS-8 ビェス練習機 PZL TS-8(左)にパイパーカブ(右】
【ダグラスA-26インベーダー(左)にダコタC-47(右)】
手前からロケラン、ボフォース 40mm機関砲、12.7mm重機関銃。
そしてお待ちかね…
旧日本軍が誇った零式艦上戦闘機(零戦)五二型、一式戦闘機(隼)二型、九九式軍偵察機の実機なんかも展示されている。余りの子供の数に撮影が危ぶまれたが、3機とも上手い具合に順路から外れた端にあったため、何とか人が写り込まない様に撮影できた。まさに英霊のご加護!
【零式艦上戦闘機五二型(A6M5)】
尾翼番号30-1153。1938年完成、1941年に自衛隊(旧日本空軍)により実戦投入されている。記載ミスすんまそんw。ご指摘ありがとうございます。
【隼】
海軍の零戦と並ぶ陸軍の大東亜戦争初期の主力戦闘機「隼」。1940年、中島飛行機製。風防が背が高い物に造り替えられ、特徴的な空中線支柱はないが、まずまずの形状を保っている。計器類は見当たらないが、2基の12.7mmマシンガンに1つの250Kgの爆弾を搭載。
【九九式軍偵察機(キ五一)】
1938年製。陸軍の主力襲撃機、九九式襲撃機の偵察機型だが、説明は「Mitsubishi Type98」と記載されており、明らかな間違い。
日本には存在しない隼と九九軍偵の実機を見るだけでなく、機体を触りまくったり翼の上に乗って当時の搭乗員・空中勤務者の疑似体験ができる事ができ、非常に有意義な時間を過ごすことができた。蒼の時代のダウンロード版、買わないとな。
【インドネシア空軍博物館】
住所:Jl. Kol. Sugiono Dirgantara Mandala Lanud Adisutjipto, Yogyakarta
電話: +62 (0)274 564465
入館料: 5,000ルピア
営業時間: 月~木 08:00-13:00。土・日08:00-16:00
備考:入館にあたっては身分証明書の預け入れを求められるので要注意。
【2015年ジョグジャカルタ・ソロ旅行記】
Related posts(関連記事):
この日は土曜日!渋滞まみれ汗まみれローカルフードまみれでくったくたに疲れた泥臭いジャカルタ滞在の最後は評判の良いホテルで出張の疲れとストレスを癒したいと、評判良さげなウェスティンジャカルタ(Westin Jakarta)に泊まってみることに。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); ジャカルタのウェ...
ジャカルタからの帰国はJL720のスカイスイート767で。朝04:30にホテル出発し、ジャカルタ名物・暴走狂ドライバーによる荒~い運転で夜闇に包まれたスカルノハッタ航空へと移動する。 空港到着後の荷物検査を経てC客専用のプレミアラウンジ直通プライオリティチェックインカウンターへ。 しかし、JALはプライオリティカウンターが使えないとのことで敢え無く撃退され、せっかく空港の端っこまで来た...
いきなりですが、皆様ラマダンという言葉を聞いたことがありますでしょうか? 断食がイスラム教徒の義務である六信五行の一つであることをご存じの方は多いと思いますが、表題のラマダンとは、その断食を行う月のことであります。イスラム暦では1年は354日と太陽暦より11日早く動くので毎年ラマダンの時期も11日づつ早まっていき、2012年度は7月20日から8月18日までがラマダンにあたります。 1ヶ...
続いてソノブドヨ博物館。タマンサリ出口の周辺には大量のベチャが客待ちで屯していて、みんな生活をかけた客引きに必死。そんなベチャの大群の中から後ろの方で少し足を引きずっている誠実で弱そうなオジサンを敢えてチョイス。今までの経験上、お年寄りやハンディがある人の方が吹っかけられる可能性が低い反面、過度に自己主張する奴ほど言い値が高かったり「やれ坂道」だの「やれバティック工房がどうの」など理由を付けて合意...