クラトン(王宮)でジョグジャカルタの伝統文化に触れる

2日目は市街地を探索する。10:00ホテル発のシャトルバスでマリオボロへと移動し、先ずはベチャでクラトン(王宮)へ向かう。クラトンはジョグジャカルタ王朝が誕生した翌年の1756年にジャワ建築の粋を集めて建造され、今日に至るまでジョグジャを統治してきた歴代スルタンの居城である。現在は第10代スルタンのハメンクブオノ10世がクラトンの一番奥で暮らしているが、一部の建物が博物館として一般客にも開放され、歴代スルタンの肖像画や家具調度品なんかが展示されている。

また、王宮内では日替わりで舞踊や音楽、影絵芝居などのジャワ伝統芸能が上演されていて、現代まで引き継がれてきたジョグジャカルタの伝統文化に触れることができる。

王宮で見られる伝統芸能

月曜日 10:00-12:00 ジャワ民謡
火曜日 10:00-12:00 ジャワ民謡
水曜日 09:00-12:00 ガムラン演奏
木曜日 10:00-12:00 ワヤン・ゴレッ
金曜日 10:00-11:30 ジャワ詩朗読
土曜日 09:00-13:00 ワヤン・クリッ(影絵芝居)
日曜日 11:00-12:00 ジャワ舞踊



日曜日は11:00~12:00にジャワの伝統舞踊が披露されている。何とか上演開始時刻に間に合わせるべくシャトルバス停留所で英語ができるベチャ車夫との交渉を纏め、急ぎでクラトンへと向かう。

ひだり みぎ
市街地では昨日乗った電動ベチャではなく車夫が自らの足で漕ぐタイプが主流。車夫の脚力にスピードが左右される為、色黒でみるからに健脚そうな男を選んだんだが…走り出して2-3分たったところでバティック工房に寄るとかぬかしやがる。私は最初に舞踊見学の為に急ぎと伝えましたよね?寄らないなら運賃は高くなるとか、後出しにも程がある。結局、5,000ルピア(50円弱)の上乗せ運賃を追加で払ってクラトンへ直行してもらうことに。たった50円程度で気分を害したくないので、車夫なりのジョークだったんだと思うことにする。

11時を少し回ったところで王宮に到着。王宮の門は魔除けの神・カーラや龍の装飾が特徴的で、いかにも南国といった趣の入り口になっている。
ひだり みぎ
ギョロッとした大きな丸い目と大きな口に八重歯が特徴のカーラ。遺跡で石彫りのカーラは何度も見ているけど、カラーのカーラは初めて。インパクトある表情に最初は威圧されたけど、見慣れてくるといかにもアジア風のかわいい神様に見えてくる。

ひだり みぎ
王宮に入ると、屋根と柱だけで構成された東屋のような儀式の間から民族舞踊の音楽が聞こえてくる。インドネシアの伝統的な民俗音楽・ガムランが演奏されているようだ。ガムランは演奏される地域によって趣が異なるのだが、ここジョグジャカルタでは心にしみるような、哀愁のある緩やかな旋律が奏でられている。

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家臣の子孫たち総勢20人以上の大所帯バンドによるパフォーマンス。王朝時代から奏で続けられているインドネシア伝統の民族音楽を演奏する演者チームはベテラン揃い。壁の無い室内を吹き抜ける南国の風を感じながら聞くインドネシアの伝統音楽…アジアを感じる極上の一時だと思うのだが、音色が退屈だからか演奏途中に離れる見物客続出。来た時は座席が埋まっていたのに30分もしないうちに地元の中学生集団を残して殆どが退散していってしまった。

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オープンテラスの宮殿には実際に使用されるガムラン楽器も展示されている。ガムランは叩くという意味らしく、殆どが打楽器のようだ。

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ガムラン演奏に続いて始まったのはジャワの伝統舞踊。きらびやかな衣装をまとったオカマっぽい踊り手たちが、ガムランの調べに乗ってラーマヤナの物語の世界へと誘う。

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舞踊を堪能した後は、巨人クペラ像が護る奥の中庭へと進む。

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中は王様が住まわれているだけあって、ジョグジャカルタ市街地の喧噪を一切感じることのない優雅な空間となっている。ジャワ島の伝統文化とヨーロッパ様式が混在したような趣のある佇まいの建物・調度品が目立つ。

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ステンドグラスがもうけられた客間。

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左は第10代目スルタン・ハメンクブオノ10世の居住区で、立ち入り禁止区域となっている。右はオープンエアの儀式殿。

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過去のスルタンが使った神輿なども展示されている。東南アジアの王宮といえば金ぴか豪華なタイやカンボジアの王宮が頭に浮かぶが、ここは随分と質素で好感が持てる。

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現在の王宮の現場を管理しているのはスルタンの家臣の子孫たちだそうだ。王宮内部のそこかしこで威厳ある民族衣装を身にまとった守り人の姿を見ることができる。彼らの腰にはインドネシア伝統の刀「クリス」がしっかりと収められている。クリスは古くから武器であると同時に霊的なものとして考えられてきて、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている文化財。王宮の守り人がどこか誇り高そうなのは、ジョグジャカルタの歴史であり伝統、世界に誇るインドネシアの文化を背負っているからなのだろう。王国は衰退しても、その伝統と文化は確かにこの場所に息づいている。


威厳のある佇まいでみじろぎもしないでじっとしている守り人が多い中、一定数は気さくな方々で、積極的に観光客を案内して回ってる。


こちらは王様のティータイムに差し出すお茶を差し出す給仕人の方たち。今も王宮文化は生き続けているのだ。

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敷地は広く、奥へ奥へと続いていく。


エリアごとに部屋のモチーフを変えているのだろうか。中庭を抜けたところからジャワ色が強い建物が目立つようになる。

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大乗仏教寺院かのような派手な飾り付け。

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歴代スルタンや現王妃など王族の肖像画が並ぶ。

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左が蘭支配時代、日本支配時代、独立闘争と激動の時代を過ごされた前スルタンのハメンク・ブウォノ9世青年期で、右はGUSTI RADEN MAS AKHADIYAT皇太子。美男揃いですな。

日本との繋がりを感じさせる展示物もちらほら目にすることができる。

日本からの贈答品と思われる骨董品。

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1940年代~60年代の勲章が並ぶ中、さりげなーく混ざっているJTBのレトロバッジ。創業者が戦後に外国人観光客の誘致に奔走したとは聞いていたが、まさかこんなところで彼の努力の賜物が見られるとは。


こちらは王様ご愛用のジャバラ式ポラロイドカメラ。ダイモでネーミングが入ってて妙に親近感が湧く。

ここにいるとあっという間に2時間も3時間も経ってしまう。ジャワ文化やジョグジャカルタという文化都市の歴史を知るには一番の場所だろう。ジョグジャカルタに行かれる際は是非ご訪問頂きたい。

【クラトン(王宮)】

営業時間:月~日8:30~14:00・金曜日8:30~12:30
入場料:12,500ルピアとカメラ持ち込み料1,000ルピア。
TEL: (0274) 373721
*王のお住まいにお邪魔するのですから短パンにタンクトップのようなラフな格好はNG。



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