サンクトペテルブルクの町での観光を二日で切り上げ、次なる目的地であるモスクワへと向かう。
サンクトペテルブルク⇒モスクワ間の移動は夢の超特急サプサン号を利用したかったのだが、社畜故の時間的制約に縛られていることもあり、ここは時間を最優先。ロシア航空(Rossiya Airlines)なる航空会社の飛行機でひとっ飛びすることに。
ロシア航空は、プルコヴォ空港をハブ空港として100を超える都市に飛行機を飛ばすサンクトペテルブルクベースの航空会社。wiki先生による情報に拠ると、正式名称はФедеральное Государственное Унитарное Предприятие «Государственная транспортная компания „Россия“»(ロシア連邦統一企業交通社)。偉そうに社名に国の名前を冠しちゃってるのは、もともとロシア政府により設立された会社ということだかららしい。
日本では馴染みのないキャリアではあるが、今はスカイチーム所属のアエロフロート・ロシア航空の傘下にあるということで、アエロフロート便として発券すればスカイチーム特典も享受することができたりと、使い勝手は悪くない。
きちんとアエロフロートのシステムを使って事前座席指定もできるし、同じくスカイチーム所属の中国南方航空にマイルを付けることもできますし。
ちょっ…今日乗る予定のRossiya Airlines便、オンラインチェックインしようと思ったらくそシートしか残ってないやんけ!ザンギエフみたいな巨体に両脇固められたら肘掛け争奪戦なんて生ぬるい話じゃ済まなくなるわ絶対 pic.twitter.com/k4SmKJbBst
— ポンズ (@Worldtravelog) 2018年9月29日
ただ、成田へも乗り入れてるアエロフロートはまだしも、全くもって無名のロシア航空ってどうなんだろう…一抹の不安を胸に地下鉄とバスを乗り継ぎ空港へと向かう。
先ずは地下鉄2号線で空港の最寄駅であるモスコフスカヤ駅へと向かうべく、地球のマントルを目指して地下奥深くへと潜り込む。
女帝エカテリーナ二世を彷彿とさせる無愛想極まりないソ連産BBAから乗車券となるコインを買ってメトロに乗車。
地下鉄に乗ってしまえばあとはもう大丈夫でしょう。モスコフスカヤ駅でのバスへの乗り換えも至って簡単。メトロ駅の至る所にBus to Airportと書かれた空港行きバスの乗り場案内が明示されているので、迷うことはない。
ここから空港への移動方法は2パターン。
39番の市バス
もしくは
K39番のマルシルートカ(ミニバン)
バスかバンか。運賃は同じなのでどちらか先に来た方に乗ろうと決めていたところ、くっそド派手な化粧を施したメルセデスのバンがやってきて、ぎゅうぎゅう詰めの車内の最後の1席に着席。バンは確実に座れるというメリットもあるが、社内スペースが限られているので大きな荷物を持っての移動には向いていないかも。
モスコフスカヤ駅から狭苦しい社内で揺られること20分、近代的なサンクトペテルブルクの空港に到着した。
因みにこちらの空港、IATAスリーレター空港コードは覚えやすいことに「LED」。これは発光ダイオードとは全く関係なく、サンクトペテルブルクのソ連時代の都市名であるレニングラードに由来しているそう。
ソ連とか聞くと否が応でも謎めかしい・古い・暗い・遅いといったネガティブなイメージを抱いてしまうが、こちらの空港は2014年だかに新しく建て替えられたばかりらしく、非常に近代的。
双発機のウィングとエンジンを付けた女がビキニ姿で飛んだりしてるし。
フライトも5分刻みで出るくらいの大きな空港。国際線の目的地は共産圏絡みの都市が多いようで、旧ソ連諸国や中国行きの直行便がバンバン飛んでいる。ウルムチ⇔サンクトペテルブルクを結ぶ中国南方航空便なんてどんな客層が利用するんだろう。
今回利用するロシア航空もサンクトペテルブルクをベースとしているだけあってLEDからのフライト本数は多く、チェックインカウンターには長蛇の列が。でも、中国南方航空のスカイチームエリートパワーで優先レーンを利用することができました。
レトロな看板の中でとびっきりの作り笑顔を見せる女性に、ロシア連邦統一企業交通社だった頃の名残が感じられるような。
搭乗券に中国南方航空のマイレージ番号が登録されているのを確認の上、厳しすぎる保安検査をパスして制限エリアへと進む。
制限エリアにはロシアっぽい店も多い。シベリアをテーマにしたようなカフェやら、ホッケークラブのオフィシャルショップやらw
マトリョーシカやチョコレートといった定番のロシア土産を扱うようなギフトショップもあります。サンクトペテルブルクの観光名所の前でプーチンと習近平が固い握手を交わすジャケットのチョコレートなんて、一部のマニアには鼻血モノじゃないですかね。
アエロフロート航空ビジネスクラスラウンジ
ラウンジはあるのですが、不愛想でプロレスラーみたいなムッチムチのガタイをした女性スタッフによる鉄壁のディフェンスによりブロックされ、残念ながら入室できず。国内線フライトをエコノミーで飛ぶ場合はスカイチームのエリートプラスでもラウンジに入れないすよね。スカイチームのエコノミークラスで国内線を飛ぶことなんて殆どないのでてっきり忘れてました。
ステータスを使ってラウンジを利用する場合は、国際線を絡ませる必要があるので、スカイチームステータスを使ってのラウンジアクセスは国内線エコ利用時には与えられない。国際線から国内線へ乗継ぎ時や、国内線から国際線への乗継ぎの時はエコノミークラスでもOKみたいなんですけどね。
日本語でのスカイチームのラウンジ利用規約については下記のリンクをご確認ください。
フライト:LED⇒VKO
仕方無くラウンジの取材は諦め出発ゲートへと向かう。
モスクワまでたかだが1時間半のフライトで、機体は欧州内のなんちゃってビジネスクラスシートしか積んでいないA319-100。
なんちゃってビジネスクラスシートは、シート自体はエコノミークラスの物と変わらないシートのこと。3-3のアブレストで真ん中席がブロックされることでスペース的なゆとりを若干程度だけ生んだ、申し訳程度のビジネスクラスなのである。エコとの値差が小さければまだしも、エコの3倍も4倍もする運賃でこんなビジネスクラスなんか誰も買わないでしょ。
シートマップはロシア航空オフィシャルウェブサイトから借用。
乗ってみると、やっぱり狭い。そして、重量級MMAファイターのような体つきの男性CAのせいで余計に圧迫感を感じる。
思ってた通り、足元も横幅も狭い。後はザンギエフみたいな巨体野郎が隣に乗り込んでこないことを祈るのみ…ザギトワみたいな綺麗な女性なら歓迎だけど。
ロシア正教会の神への願いが届いたのか、幸いにも隣席には誰も座ることのないまま定刻通りに離陸。カザン大聖堂でお祈りしてきた甲斐があったぜ!
サンクトペテルブルクからモスクワまではちょうど500マイルと羽田から大分程度の距離。飛行時間にすると1時間半の国内線ながら、一応はドリンクと機内食のサービスがあるようで、“ロシアンラストエンペラー”ことエミリアエンコヒョードルを優しくした感じの男性CAが大きな体をかがめながら働き回ってた。
そんな彼、なんかねっちょりとした英語を話し、接客対応も滅茶苦茶丁寧でびっくり。なんとなく自分の中でヒョードルの株まで上がりましたねw
お腹がすいたらSky Bistroサービスで有料メニューもオーダーできるみたい。
クロワッサン食べて、コーヒー飲んで。そうこうしているうちに窓の外は暗くなり、機体は夜闇に輝くモスクワの町へと高度を下げていく。
そしてランディングの時を迎えると、感極まった巨体の男性諸君による拍手喝采が。
本当だったんですね、着陸時の拍手というロシアの伝統芸。強面のマフィアみたいな方々まで拍手をしていて、なんだかホッコリとした瞬間でしたw 私は拍手をしそびれましたので、この場をお借りし厚く御礼申し上げます。ロシア連邦統一企業交通社とヒョードル似の客室乗務員、安全な空の旅をありがとう!