世界遺産都市・バレッタでマルタ騎士団の男気に触れる

マルタ騎士団の栄光を紡ぐ小さな島国・マルタ。
国土面積は小さくとも歴史的な重要性は非常に大きい国で、歴史遺産や観光名所もそれなりに沢山。日本ではウェイ系留学生が集まる地中海のリゾート地くらいにしか認識されてなさそうですが、なんてったって中世からイスラム勢力とキリスト勢力がバチバチにぶつかり合ってきた文明戦争の舞台ですからね。
居心地の良いリゾートホテルのクラブラウンジでまったりするのも良いですが、せっかくなんで町を歩いてみたいと思います。

地中海ド真ん中に浮かぶマルタ島は当然ながら気候条件も地中海性気候ド真ん中。冬は温暖高湿で、日中は20℃弱あって日向を歩いていると長袖シャツ1枚でも汗ばむ陽気です。

石畳の狭い路地に、中世を感じさせる古びた石造りの建物。静かな広場に神秘的で美しい教会。町全体がどこかノスタルジックで、まるで時が止まっているかのように静寂に包まれています。地中海リゾートのオンシーズンは春から秋にかけてなのでしょうが、人が少なく雰囲気に浸れる真冬の閑散期もまたいとおかし。

荒々しい冬の砂浜、色褪せ絶妙な風味を醸し出すマルタストーンの建築群…。映画のセットのようにフォトジェニックな町並みが島中にぎっしりと詰め込まれているようです。

閑散期で場末感たっぷりの港場には対岸に広がる首都・バレッタ地区行きのクルーザーが止まっていました。対岸まで1km強ほどの距離ですが、地中海のねっちょりむっちょりとした風を感じるため乗船してみることに。

16世紀にイスラム勢力の襲来に備えてマルタ騎士団が築いた城塞都市バレッタ。海上から見ると半島全体が強固な軍艦かのような厳つさで、ここを攻略してマルタ島に上陸するのが如何に難しいかが感じ取れます。

聖地エルサレムを巡ってキリスト教とイスラム教がバチバチの押し合い圧し合いを続けた中世期。マルタ騎士団の前身である聖ヨハネ騎士団は聖地エルサレムで活動していましたが、イスラム勢力の勢いに押し出される形でキプロス島→ロードス島と相次いで後退。1530年には更に背走してここマルタ島へと拠点を移し、この島にキリスト教世界の最終防衛線となる強固な城砦都市を建造。東側からガンガンに攻め入るイケイケイスラム軍団の襲来に備えました。

西側世界にとってマルタ島はもうまさに最後の防衛線、最後の砦ということが地図を見れば一目瞭然。面積的には小さくとも、キリスト教徒にとってのマルタ島は色々な想いが詰まった非常に重要な場所なんです。

今日では町全体が世界遺産に指定され、地中海随一の観光名所となったバレッタ。中世の面影を残す城壁や教会から比較的新しめの商業施設までほぼ全ての建物がマルタ産の石灰石で造られていて、なんともいえない不思議なアンサンブル感が強烈な異国情緒を生んでいます。

エルモ砦

城塞都市バレッタの先端には1565年のマルタ大包囲戦で激戦地となったエルモ砦があります。

イケイケ押せ押せのイスラム勢、1565年5月18日にはオスマン帝国軍がマルタまで大挙して押し寄せてきました。1522年にはロードス島からマルタ島への背走を余儀なくされていたマルタ騎士団にとっては絶対に負けられないリベンジを期した戦いとなりましたが、オスマンの軍勢はなんと約48,000人。一方、迎え撃つマルタ側の陣営は傭兵8,000人と540人の騎士、そして約4000人の地元民という手薄な構成でした。

戦いは長期化し、最終的にはカトリック勢力の援軍が到着まで包囲を耐え忍んだマルタ側の粘り勝ち。マルタ騎士団はイスラム勢力からヨーロッパを守り抜いた英雄と称賛され、マルタ島には各国からの寄進が集まりマルタ騎士団の元で空前の繁栄を遂げました。

騎士団長の宮殿と武器庫

マルタ騎士団所縁の地といえばマルタ騎士団長の宮殿(Grandmaster’s Palace)もその一つ。オスマントルコを撃退した後の1574年に完成し、以降、歴代団長の公邸として使われていた建物の一部が博物館として一般開放されています。

長きに渡り名声を欲しいままにしてきたマルタ騎士団ですが、イスラム勢力の脅威が去ると戦闘魂・騎士道精神も薄れて衰退し、1798年にはナポレオン率いるフランス軍に対して戦わずして降参。領土を失った騎士団は流転の身として各国の支持者の領地を転々とした後、1834年になってローマに本部を置くことを許されました。

マルタの領土こそ取り返せなかったもののマルタ騎士団国として国際法上の主権実態も認められ、現在は領土無き国家として世界中で慈善活動を行っています。

騎士団長の宮殿というと小金持ちのオッサンの家くらいに思ってしまいますが、当時のマルタにおいての騎士団長の影響力は絶大。宮殿は小さいながらも豪華で見ごたえある造りとなっています。

マルタ騎士団が勇ましく戦う様子や聖書の重要シーンなんかが描かれた巨大な絵画の数々は圧巻。特にマルタ包囲戦を描いた血生臭くて男気臭に溢れた巨大絵画は必見です。神に仕え、異教徒からキリスト教世界を守った団長の生き様に刮目せよ!

兵器庫には騎士団が実際に使用していた甲冑や武器が展示されているのですが、その数なんと6,000超。歴代団長の甲冑も間近で観察することができますし、この種のマニアの方々には垂涎の博物館かと思われます。

地中海リゾート、ノスタルジックな街並み、ギラギラネオンのカジノ街、町中に溢れる野良猫、イタリア仕込みの料理やスイーツなど、とにかくインスタ映えするものに溢れた小さな島国マルタ。気候も良いし物価も安いし治安も良いし、こりゃあ確かに留学地として人気が出るわけだ。

報告する

関連記事一覧

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。