ディエン高原は巨大な火山地帯にあり、高原全域がカルデラ盆地になっているので、所々で噴気孔からモクモクと白煙がたなびく様子が観察できる。ジョグジャから来る途中に見た煙も焼畑によるものではなく噴気孔からの蒸気煙だったんだろう。火口原ならではの現象で、ディエン高原には地中から噴出する蒸気で直接タービンを回し発電機を駆動して電気を得る地熱発電所まで有るらしい。生きた火山にいることを実感させられる。
アルジュナ寺院群から車を走らせること10分ほど、先ほどの自然美とは打って変わって何とも荒涼とした奇観地で車を降ろされる。
何だろうな、霊場みたいというか、三途の川みたいというか屍の河原みたいというか。辺り一帯は鼻を劈く硫化水素の腐卵臭と二酸化硫黄の強い刺激臭が立ち込めていて、車を降りるなりマスク売りが声をかけてくる。使い捨てマスクが1つ2,000ルピア。周囲の生態に影響があることを考えれば人体にも有害な火山性ガスが発生しているのだろうということで、マスクを一つお買い上げ。日本でも火山ガスによる死亡事故があったし、何より小学校の社会科クラスかなんかで火山ガスは地球の屁だと習っているからな。オナラ臭が充満する所には最低限マスクくらいの装備が必要不可欠だ。
何と荒れ果てた場所だろう。舗装された道路以外は地盤が緩くなっていて熱湯の温泉が噴き出ているので注意が必要だ。なんの変哲もない畑に地割れが生じて 噴気が現れたりすることもあるみたいだし。
方々で噴気孔から泥湯や白煙が吹き出す様は日本の地獄谷こと大涌谷を彷彿とさせるが、管理度合いが日本と違い過ぎて、普通に温泉が湧き出るエリアまで侵入していくことができる。当然、地盤が緩くグシャァァァって地面に足が突っ込んでしまうこともあるので、いつか地面が裂けて温泉が吹き出てきやしないか・・何て心配しながら奥のほうへ。
足元の様子。日本では地獄めぐりと言われる火山帯独特の風景で、あちこちでポコポコ・ボコボコ・フツフツと泥湯や温泉が噴出してる。耳慣れない音が響いてあの世にでも行ってしまったような気分になる。
足下に気を付けながら歩を進め、辿り着いたのがグツグツと泥湯と火山ガスを噴出する直径5-6メートルの噴気孔。煙・水蒸気が立ち込める中でゴボゴボと轟音を上げながら黒灰色の泥湯を煮え滾らせる姿はなんとも地獄の釜の様。白煙を噴き上げる噴気孔で沸き立つ湯、何ともダイナミックな火山活動をこんな近くで観察できるとは。
さすがに沸き立つ湯釜の源泉には怖くて触れんが、少し下流では手ごろなお湯になっているので、ここに穴を掘れば即席の露天風呂になりそうで、日本なら温泉旅館が建ちそうなもんなんだが、ここインドネシアではお湯の風呂に浸かるという習慣がないせいか、温泉施設は皆無。何とももったいない話である…なんて思いながら駐車場へと引き返す。
訪問客は少ないものの、一応は観光地なので駐車場脇に土産屋を兼ねた市場があったので、ディエンの名産であるジャガイモを使ったチップス二袋を10,000ルピアで購入。運転手のアントニオ猪木と食べたけど、普通に美味かった。
【2015年ジョグジャカルタ・ソロ旅行記】
Related posts(関連記事):
ジョグジャカルタにも所謂バックパッカー街、安宿街と呼ばれるエリアがある。それがソスロウィジャヤン地区と呼ばれる一角で、トゥグ駅南口を出てすぐ目の前にある細い路地が世界各国からのバジェットトラベラーが集まるちょっとした安宿街となっている。 駅前のパサール・クンバン通りと平行して150mほど南を走るソスロウィジャヤン通り、この二つの通りを結ぶガンと呼ばれる細い路地沿いに安めの宿泊施設がずらり...
今回の出張も接待の連続で体力的に瀕死状態での帰国を余儀なくされた。重い肝臓とスーツケースを引きづり、いざスカルノハッタ空港へ。この名前、何だか聞いたことがある!そうです。通称デヴィ夫人こと根本七保子さんの亡父であり、インドネシア国初代大統領のスカルノ氏と同副大統領のハッタ氏の名前が空港名の由来となっているそうです。 到着後はさっさとチェックインを済ませて足早に出発フロアへ 搭乗ゲートに...
定刻通りに搭乗開始となったジョグジャカルタ行きGA202。外は未だ真っ暗闇の中、ボーディングブリッジを通り機内へと進む。初のガルーダ・インドネシア航空だ。社名の「ガルーダ」は、言わずもがなインドネシアの国章でもあるヒンドゥー教の神鳥ガルーダに由来するもの。ヴィシュヌ神を乗せ、炎のように光を発しながら天空を駆け抜けたと言われている伝説の鳥・ガルーダだが、今日では神ではなく普通の一般客を運ぶ役割へと都...
ホテル飯に飽きたので、ぶらりと気分転換も兼ねて外食することに。 スディルマン・クニンガンの渋滞は醜いので、車と車の間を縫って走れるバイクタクシー(オジェック)で移動する。値段交渉を終え、運転手から差し出された悪臭漂うヘルメットを着用。準備が整ったところでエスパー伊藤似の弱々しいモヤシ男の運転手がご自慢のバイクを走らせる。 僅かな隙間を接触事故を起こさずギリギリで抜けて...