神々の聖所・ディエン高原

本日は待ちに待ったディエン高原への小旅行。最後まで粘ったが結局ツアー最小催行人数が集まらなかったので、一人で車を貸し切っていくことに。最小催行人数ったって2人ですよ、2人。私以外にディエン高原ツアーを希望される旅行者が誰1人としていないとは…5か所の旅行代理店を訪ねたが、口を揃えて「山道を走ることになるし、遠いからねぇ…。遠いんだよ、遠い。良いところなんだけど。遠い。ドンマイ。」と、何度Farという単語を聞かされたことか。ジョグジャからのアクセスの悪さがイマイチ人気の出ない要因のようだ。

確かに遠いっちゃ遠い。

サンスクリット語で「神の鎮座する聖所」という意味のディエン高原は、霧に包まれたプラウ山の火口原、標高約2,000mの地点にある。車をチャーターしても片道3時間半はかかるだろう。

チャーター車は車両登録の有効期限が切れたキジャンイノーバで、ニースペース・オーバーヘッドスペースともに申し分ない広さ。インドネシア人には珍しいアントニオ猪木バリの顎をお持ちのドライバーと握手を交わした後にディエンを目指して出発する。

チャーター代金はツアー最小催行人数である2名分のツアー代金である550,000ルピア。5か所の旅行代理店の内、一番親身な対応をしてくれたブロモツアーという所にお願いすることに。どこで頼んでも同じ料金だし同じ車なんだけど、やっぱり親身に考えてくれるところにお金を落としたいですからね。

運転手の名前は忘れたが、『1日に何百万台を追い越すか』を生きがいとする飛ばし屋で、接近戦にも強く、腕は確か。日本でやると危険運転だが、私自身は中国でこうした荒い運転にも慣れているので、途中何度か居眠りをしてた。勢いよく走りだした我々はスマラン方面へと伸びる国道14号線を一路北上し、30分程走って左折。どうも見覚えある景色だなーと思ったら、ボロブドゥールの直ぐ横を通過。
ひだり みぎ
ボロブドゥール寺院を過ぎてからは九十九折り。うねりまくりの山道で、小学校の遠足で行った日光のいろは坂で隣の女子が嘔吐した苦い思い出が甦る。忍耐の時間が訪れ、アントニオの表情も険しくなる。

ひだり みぎ
山奥に進むにつれて道幅が狭くなっていき、道を囲う周囲の木々も高くなっていく。まるでジャングルを切り開いて通したかのような道路である。

ひだり みぎ
密林を抜けると一気に視界が開け、熱帯の風景から爽やかな草原の風景に一変。山の峰々に延々と広がるキャベツ・ジャガイモ畑が車窓の外に見えてくる。様々な野菜が山の頂まで開墾された畑で栽培されていて、高原野菜の一大生産地帯となっているようだ。火山灰土の腐食土壌が多い地質、朝晩の温度差、霧などによる湿気に豊富な水源…確かに神々の鎮座する聖地は高原野菜の適地である。


熱帯トロピカルなイメージがあるインドネシアだが、ディエンは標高が高いだけあって日中でも20℃前後という過ごし易い気温になっていて、車の窓を開けるとひんやりとした心地の良い風が入ってくる。


見晴らしの良い川の畔の鉄橋で一服。奥で堂々の山容を誇示してそびえるのは標高3,225mのシンドロ山(Gunung Sindoro)。ジャワ島はユーラシアプレートとインド・オーストラリアプレートの境界であり、インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレート下に潜り込む構造となっている為、地震や火山活動がきわめて活発だ。シンドロ山や2010年に大噴火を起こしたムラピ山以外にもブロモ山、スメル山、ムルハブ山、スンビン山、ラウ山など3,000m級の火山が数珠状に連なっている。カリウラン訪問時にも驚いたが、火山のごくごく近くにまで人々の生活の場が迫っているのもインドネシアの特徴だろう。

川を渡ると町に出た。ディエンへの観光の拠点となるウォノソボのようだ。

ド・ローカルな市場を歩いていると、昭和初期の時代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えてしまう。

ひだり みぎ
ぼろっぼろだけど活気がある市場。肉屋、野菜屋、雑貨屋…山々の各村落から持ち寄られた物品が並んでいるようで、人々が生き生きと商売する姿を見ることができる。


銀行もあり、ホテルもあり、モスクもあり、立派な一地方都市のようである。


この先には給油ポイントが無いのか、ガソリンスタンドには長蛇の列。


ウォノソボを過ぎたらもうそこは神々の棲家。彫刻作品かのように大地いっぱいに張り巡らされた棚田が眼きりに包まれた眼下一面に広がっている。

ひだり みぎ


こんな急斜面によくも上手に作ったものだと感心する段々畑の山間をくねくねと登って行く。急斜面にも整然と作られた段々畑の一段一段に張り付いた様に植えられているキャベツやらジャガイモやら。この天に駆け上る様な段々畑の山々が次から次へと連なっていて、何故に古代からディエンが「神々の聖所」と崇められてきたのか納得させられる。

ひだり みぎ
カリマンタンやスマトラ島での焼き畑農業や、そこから発生する森林火災による煙が近隣のシンガポールやマレーシアまで流れ深刻な大気汚染となっているそうだが、ここでも小規模に焼畑農業が行われているのかとも思ったが、ここら一体がカルデラ盆地なので、噴気孔からの水蒸気なのかもしれない。何と神々しい高原だろう。

そんなこんなでジョグジャカルタから車を走らせること4時間、ジャワ島で最も古く7~8世紀頃に建立されたヒンドゥー遺跡に到着した。



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