カリウランの見どころ巡りツーリング

ムラピ火山博物館の見学を終え、次なるバイタク運ちゃん推薦スポットへと向かう。


観光コースの選定はカリウランで生まれ育ったというバイタクに一任し、彼が厳選した“Top three destinations in Kaliurang”を巡ることになっている。携帯の翻訳アプリを通じてか意思疎通が図れないが、細かな仕草や表情から素朴で誠実な人柄が伝わってくるナイスガイなんで、変な所に連れ出される危険性はないだろう。

火山博物館から次の目的地へと走り出すと、何やら困り顔でベンシン、ベンシンと連呼するオヤジ。始めは立ち小便でもしたいのかと思ったが、バイクを止めて直ぐにオヤジの言わんとすることが判明する。インドネシア語ではガソリン=Bensin(=ベンジン)と言うのな。自分的にはベンジンと聞くと溶剤をイメージするけど、国によっては燃料用ガソリン全般をベンジンと一括りに呼ぶところもあるらしい。

こんな山間の村には殆どガスステーションがないので、燃料は街頭の雑貨店や露天商の小売り販売に頼ることになる。それが、ガソリン携行缶でもポリタンクでもなく、普通にペットボトルや瓶に小分けされ、炎天下のなか野晒しで売られている有り様だ。売り手も買い手も共に安全・危機管理意識が希薄過ぎて、平気で給油中にタバコ吸ってみたりするし…見てるこっちが冷や冷やもん。


ガソリン屋台で給油を終えたオヤジは、アクセル全開でクネクネと曲がりくねる山道を勢いよく駆け上がる。蛇行の多さや急勾配の連続でバイクの運転には大変な注意が必要だが、この運転手は悪路など一切お構いなし。ガンガン攻めのドライブを披露してくれて、危うく出会い頭に通行人を轢くところだった。

ひだり みぎ
獰道、腐道、吐道とでも形容されるべき厳しい傾斜の蛇行道を登りきり、見えてきたのはガルーダ像。なんかの公園のようだ。多数のジープが止められているので、ジープでの被災地巡りツアーの拠点なのかもしれん。


案の定、被災の爪痕を見て回る趣味の悪いジープツアーのポスターを発見。興味本位で参加してみたかったけど、オヤジのランチタイム迄の3時間しかチャーターできない契約内容となっていて、既に火山博物館で1時間半も費やしてしまった自分にはここでジープツアーを楽しむ時間の余裕は無い。折角だけどジープツアーを諦めて次なる目的地へとバイクを走らせてもらうことに。

ひだり みぎ
ムラピの頂上を目指して山裾をうねうねと蛇行しながら進んでゆく。


厚い雲に覆われた神々しい霊峰ムラピの天辺を目指し怪走を続け、頂上まで直線距離で5Kmの村にある関所でバイクを降ろされる。ムラピ山には所々にこういった村落の関所的なゲートがあって、各村落の縄張りに入る度に数千ルピアの通行料を徴収されるのが本当に面倒臭い。


関所から先は村指定のバイク以外の侵入はお断りということで、30,000ルピアの入場料/バイクレンタル料を払って村人のオバサンと2ケツで登山再開。…が、たった2分程乗っただけで「No more!。Dangerous here!」とか言ってバイクを降ろされ、徒歩で脇から伸びる獣道へと誘導される。

獣道の先には民家跡を利用した展示ブースが見えてきた。ムラピ山の噴火で被災し、今は人が住むことのなくなった村跡に当時の遺留品をそのままの形で残しているようだ。

被災の経験すら村興しのネタにする山岳民族の逞しさ。周辺の村々も挙って同様の博物館を運営しているらしい。

ひだり みぎ
火山灰を被った家具やらガムラン楽器や、火砕流の熱で変形したグラスや小物などが雑然と並べられている。ガイドや説明書き等は一切無いが、火山の恐ろしさは展示物を見るだけで伝わってくる。


貧しい親子を描いた絵画が一幅。展示物はこれで全て。
3時間のバイクチャーター=70,000ルピア、ジョグジャ⇒カリウランの1時間のバス移動=10,000ルピアという物価水準の中で2分のバイク移動+3分の博物館見学=30,000ルピアってどうなのよと思うが、僅かながらでも被災者復興の一助となるのであれば文句は言えまい。

カリウラン村のバスターミナルへの帰り道、こんな光景に出くわした。

降下軽石や噴石か!?と思ったが、どうやらコンクリートの材料となる砂石の採掘場のようで、トラックへ砂石を積み荷している作業者の姿があった。どうやら山麓の村々に住む人々は採砂によって幾何かの収入を得ているらしい。ボロブドゥールやプランバナン遺跡に使われた何万トンもの石材もムラピ山で採られたものなのかもしれん。

カリウランの村近辺まで山を下った我々、突如として何の変哲もない住宅街の一角でバイクを降ろされた。往路でジョグジャからのバスを降りた所と全然違うんですけど!

バイタクオヤジは「Yogya! Bus! Here! Money! Bye!」と彼の知ってる精一杯の英単語を並べ、首尾よく代金を回収して走り去っていった。どこだよここ!

バス停の標識すら見当たらないが、本当にジョグジャ行きのバスが通りかかってくれるのだろうか…

バイクを降ろされてから20分程この場に立ち尽くし、ヒッチハイクを覚悟した頃に漸く一台の乗り合いバスが通りかかった。フロントウィンドウにはデカデカとUNGUと書かれてる。ウング!?ジョグジャじゃなくてUNGU行き?取りあえず手を挙げてバスを止めてみると、車体の上に消え入りそうな薄-い文字でYogya-Kaliurangと書かれてた。紛らわしい…



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