歴代スルタンの夜のお楽しみ…水の離宮・タマンサリ

ジョグジャカルタ王宮の後背地の高台に今は廃墟となった王族の別荘がある。

それが王宮(クラトン)から西に300mいったところにある水の離宮・タマンサリ。王宮の建設に遅れること10年、初代スルタン、ハメンクブオノ1世の命で1765年に建てられたタマンサリは、王宮に仕える女官たちの沐浴場だったと言われている。沐浴場というと響きは良いが、実態はどうやら王様のウハウハハーレムスポットだったようで、中庭のプールでスルタンに仕える若い女官達に水遊びさせ、自分は見晴らし台の上から夜伽となる女性を品定めしていたそうだ。いわば王様の秘密の花園、気に入った女性を呼び寄せて、王専用の水浴場で沐浴したり夜床を共にしたりとやりたい放題。まさに「英雄色を好む」という言葉を地で行く王様だったようだ。


王宮からはベチャで移動。王宮の城壁沿いに走ってもらう。


王宮広場の巨木。モンキーポッドみたいなんだけど、もっとモジャモジャして濃い感じの大木がポツリと一本あって印象的。

10分程走って見えてきたこちらの洋風建築がタマン・サリ。公的な王宮の造作は地味に抑えて質素生活をアピールしてる感じだったのに、私的な部分の水の宮殿を悪趣味丸出しのこんな建物に仕上げるとは。むっつりエロスケベ系の王様だったのかな。

中庭の池を囲むように壁と建物が配置されており、外からは中庭がまったく見えない構造になっている。まさに秘密の花園だ。

さぁ、入場料を払い、堅牢な煉瓦造りの壁で囲まれた王の秘密の離宮の内側へと入っていこう。

ナーガと思しき像が這う第一の門は見張り台も兼ねているのか、左右にある階段から上部に登れるようになっている。

ひだり みぎ
蕾の上に小鳥が留まっているいる模様が刻まれた門のテラスからは周囲が一望できる。王のお楽しみを妨げる無法者が侵入しないよう警備されていたのだろう。

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まんまるお目目のカーラが特徴的な第二の門は水浴び場へのゲート。門の口からは大きな池が見えている。

ひだり みぎ
第二の門をくぐった先にあるこちらが女官用沐浴場。長方形のプールが左右2箇所あり、長手方向の片側には3階建ての見晴らし台が、その反対側には小窓付きの平屋が建っている。


王の見晴らし台の対面にある平屋。丸い台座みたいなのはなんだろう。オキニに上に立たせて破廉恥ダンスでもさせてたのだろうか。


中は展示物などは何もない。江戸城で言うところの大奥女中詰所的な場所には狭すぎると思うが、どういう使われ方をしていたのだろうか。床にはタイルが張られ、端っこには棚が設けられているだけの簡素な造りなので、女官の更衣室的なスペースだったのかもしれない。


当時はゴーゴーバーのバックステージかのように綺麗なお姉さんでいっぱいだったのだろう。その昔が偲ばれる。


続いて、王の密室がある三階建ての見晴らし台を家宅捜索。


王がお熱い夜をお過ごしになられた寝床。「御小座敷」にしては意外すぎるくらい質素、というか狭すぎるだろ、コレ。

三階の小部屋から花なりハンカチなりを落とし、ハンカチを拾った女性は王様との挑戦権獲得、と。ここで懐妊すれば晴れて愛妾として王族の仲間入りですからね。功徳を積んで来世の幸運を待つより遥かに手っ取り早い。

皆が夢見るハーレム像がここにある。王も王で凄まじく、寵妃20何名との間に50人も60人も子供を産ませた強者もいたらしい。人間の領域を超えた繁殖能力、セックスモンスターだ!現王のメンクブウォノ10世は男子の嫡子がおらず継承問題が懸念されているらしいが、彼にも祖先たちの精力を見習い、もうひと頑張りしてもらいたいものだ。


見晴らし台の反対側には王様専用のプライベートプールなんかも設けちゃったりして。もちろん、城壁で鉄壁ガードされてるので王の夜遊びは外から見られることがない。


水の放出口も妙に凝っている。


こいつは出口のゲートかな。

ひだり みぎ
広場に出た。


道なりに進んで行ったら知らぬ間に住宅地に迷い込む。

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ミステリアスな地下道への案内口。

ひだり みぎ
これが要塞跡か。オランダの植民地支配からの独立戦争の際に使用されていたもので、有事の際の脱出用経路として作られたものらしい。伝説に拠ると、この地下道は南27キロに位置するインド洋に面したパラントゥリティスの海岸まで繋がっているそうで、歴代クラトンたちはこの地下道を通り南の海を支配する女神のもとに出張してたとか。


変な構造。地下二階建てになっているようで、宗教的な施設のようにも見受けられる。


ぶらぶらと歩いていたら地下から出た。

ひだり みぎ
ここもタマンサリの一部なのかな。要塞跡のようだが、何ともいえない荒廃感が歴史を感じさせる。


高台。

ひだり みぎ
完全に方向感覚を失いながら歩き続け、たまたま見つけたWater Castle Cafeでマンゴーラッシー(20,000ルピア)をオーダーして一服することに。英語やドイツ語を駆使して積極的に外国人客とコミュニケーションを取る若い娘さんと、彼女の母親と見られる不愛想なオバサンがコンビで切り盛りしてる。

ひだり みぎ
アンティーク調の店内。エアコンはないがファンを回してくれるので外よりかは暑さをしのぐことが出来る。

ひだり みぎ
カフェの前の広場。かつては鳥市場(バードマーケット)だったそうだ。帰って地図を見てもこのカフェがどこにあったのか分からない…



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【2015年ジョグジャカルタ・ソロ旅行記】






























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