ホイアンそぞろ歩き ~夕編~

日暮れのホイアンを歩く。朝靄かかる神秘的で清廉な装いを見せる朝のホイアンも、ランタンの優しい光に照らされた夜の幻想的なムードも、それぞれ魅力的。だが、個人的には夕暮れのどこか哀愁漂う感じの街並みが一番気に入った。


ランタンに灯が点り始める夕暮れのチャンフー通り。太陽が西に傾き出し強烈な暑さからもようやく解放される頃、町全体がランタンの明に優しく包み込まれ、朝昼とは違った幻想的な景色が創りだされる。日中は猛暑を避けてホテルやカフェで休憩する私のようなぐうたら系旅行者や地元民が多いホイアンだが、夕方になり町を流れる川が涼しい風を運んでくると、どこからともなく町に人が舞い戻ってくる。軒先で夕涼みをする住人、その周りを走る子供たち、夕日に染まる町並みを写真に収める旅行客たち。夕暮れと共に、ホイアンの町は一日のうちで一番にぎやかな時間を迎えるのだ。


ロマンチックでもあるホイアンの町は新婚旅行者のメッカなのだろう、至る所で新郎新婦の為のブライダルフォトの撮影会が行われてる。そうだよな、芥子色の壁が印象的な歴史的町並が、時代劇のセットと見まごうほど美しい形で残されているので、記念撮影にはもってこいである。


エキゾチックな異国情緒にあふれつつも、町家長屋のようなどこか懐かしく思える情景が広がる旧市街。ランタンの灯りに彩られる風景の中を歩いていると懐かしい思いに駆られ心の奥底の郷愁が刺激されるのは、かつて1,000人を超える日本人がこの地に形成された日本人街に暮らしていたからだろうか。それとも、間口三間程の平入りの建物の並ぶ街並みが時代劇に出てくる宿場街を想起させるからだろうか。とにかく、ホイアンは初めての訪問なのに、どこか懐かしく不思議な気分になる。

ひだり みぎ
Tam Tam Cafeで軽く一杯。


小路を抜けて川沿いのバクダン通りへ。


ホイアンはチャンパ王国時代からの古い商港で、特に16世紀末以降には海のシルクロードの中継点として欧州人、中国人、日本人などがひっきりなしに来航していたとされる。トゥポン川はホイアンと諸外国との交易拠点であり、日本の朱印船もこの川に停泊していたかと思うと、やっぱりなんだかノスタルジックな気分にさせられる。


鮮やかな提灯に灯された優しい明かりが川の両岸を幻想的に飾り、川沿いにある風格ある建物は土産物屋やレストランとして利用されている。路上では少女達が愛くるしい笑顔で流し蝋燭を売り、物売りが実演で打ち上げた光るロケットの遊具が青白い光を放ち空高く舞い上がっている。それらの提灯を売る少女たち、光る遊具を空に放つ少年、民謡を唄いながら船を漕ぐ漁民が一つの美しいシルエットとなっている。

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灯篭流が一つの観光名物ともなっていて、コールタールをこぼしたような黒いトゥポン川にそれぞれの願いを込めて放たれた複数の蝋燭の灯が水面を照らしながら光の線を描いている。これぞホイアンという景観だ。毎月旧暦14日にはランタン祭が催されるそうだが、トゥポン川まで足を運べば、祭り期間でなくともホイアンの魅力を十二分に感じることができる。

【2015年ランタン祭りのスケジュール(予定)】
3月4日(水)、4月2日(木)、5月2日(土)、6月29日(月)、7月29日(水)、8月27日(木)
9月26日(土)、10月26日(月)、11月25日(水)、12月24日(木)
日程はあくまで予定であり、諸事情により前後する可能性があるとのこと。


アンホイ橋を渡った先にはナイトマーケットが広がっていて、直線50m程度の範囲に何十の雑貨屋台が軒を連ねている。でもやっぱり一際強烈な存在感を示しているのはランタンストールだ。一般的な東南アジアのナイトマーケットのように芳ばしい匂いが立ち込めている訳ではないが、心が躍るような鮮やかな色彩と人々の活気にワクワクさせられる。

ひだり みぎ
ホイアンのランタンは竹で骨組みされ、面は詩や物語などが描かれた絹や薄手の布などで飾られる。何とも芸術的。陶器や木工細工、オーダーメイドの靴や衣類も良いが、やっぱりホイアン土産の王様はランタンでしょう。


街路沿いにはウナギの寝床のような細長い家が集まっている。かつてそれらの家の表は商店として使われ、トゥボン川に面した家の裏は、戻り舟を迎えるために設けられていた。都市と都市とを繋ぐ海のシルクロードの貿易港として栄えた数世紀の間、多くの文化が交じり合うことによって独特の街並みが形成され、今でも数百年前から変わらない時間が町筋をゆっくり流れている。どこかで見たような、それでいてどこにもない、なんだか不思議な世界感。

ひだり みぎ

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ホイアン最後の夜、土産物屋を漁ってから軽く飲みに行くことに。



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【2014年ホイアン・ダナン旅行記】




















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