世界遺産の楽山大仏と麻浩崖墓 楽山・成都旅行3

楽山観光の初日は朝一で楽山の代名詞でもある巨大な楽山大仏を拝みに行くことに。楽山大仏は弥勒菩薩を象って彫られた巨大な磨崖仏であり、「峨眉山と楽山大仏」として峨眉山とともにユネスコの世界遺産にも登録されている観光名所である。その像の高さはなんと71メートル。東大寺の大仏の5倍にも及ぶ巨大な仏像が岩を削って作られてるのだから、成都からバスで2時間かけて見に来る価値はあるでしょう。

楽山港または八仙洞埠頭からボートに乗って川から大仏の全体を見るというツアーが人気みたいだけど、この日は濃霧で視界が悪かったので、楽山大仏の目の前まで近づいてその巨体を間近から拝ませて頂くことに。

長江の支流・岷江脇に造られた楽山大仏への移動は、今回宿泊したホリデイインや楽山バスターミナルから3路のバスで一本。運賃1元で経済的に移動できる。

楽山大仏


ホテルのスタッフから労働節期間は入場制限が設けられると聞いていたので8時の開門に合わせて市内から一番近い北門に乗り込んだんだけど、世界遺産の景勝地だけあって人やばす!「国家AAAAA级旅游景区」で入場料も90元(≒1,600円)と比較的高いのに大繁盛となっているようだ。


窓口の列に並ぶこと15分、ようやく入場券を手にして入場する。ここからは、人民様の群衆と共に直ぐ隣を流れる岷江を眺めながら坂道をどんどん登っていく。

ひだり みぎ
途中まで順調に人の流れが進んでいたが、中腹あたりで渋滞に巻き込まれ一気にペースダウン。暑くて湿気は酷いし、「カーッペッッ!!」と痰を吐き散らす獣みたいな輩も多くてホント不快になってくる。人が痰を吐くと思うから気持ち悪いわけで、失礼ながら途中から「カーッペッッ!」と鳴く別の生き物だと思うようにして気を紛らわせた。


ひだり みぎ
ひだり みぎ
入り口から30分弱かけ、歴史ある凌雲寺に到達した。大仏が開削される遥か前の唐の時代に建立された古刹らしいが、最後に修復されてから未だ日が浅いのか、余り有難味を感じることはなかった。

寺よりもやっぱり目玉はこっち。寺の横でただならぬ存在感を発揮してお座りあそばす大仏様である。

高さ71m、肩幅28m、頭部の高さ14m、頭部の直径10m、耳の長さ7m、顔の表面積100畳分wという世界最大の石刻座仏だ。これ、岩を刳り抜いて造ったんだからただただ驚くばかりである。

この巨体が崖の間の狭いスペースにぴったりと収まっているというのもまた面白い。

そのお顔をじっくり拝見させて頂くと、お顔の表面に幾筋もの黒い線が染みついていて、まるで黒い涙が流れているようだ。頬や鼻も黒ずんでしまっていて、体も岩がはげ落したりコケに覆われたりと、酸性雨や湿気で劣化が進んでしまってる。お化粧直しの日も近いかもしれんな。

この大仏の脇から崖下のビュースポットに向かう桟道もあるのだが、ここは激しい順番待ち。人で溢れてしまっている。

下まで行くのにどれくらいの時間がかかるか分からんが、覚悟を決めて列の最後に並ぶ…。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
最初は通路の幅も広くてスムーズに流れて行ったのだが、中程から階段幅が1人分ほどになり大渋滞。ただでさえ人と人との間隔が狭くて窮屈なのに、無理な追い越しや割り込み、変な格好での自撮りをする輩が多くて本当カオス。人情として早く下に降りたいのは理解できるが、ドミノ倒しになるような危険な行為は控えて頂きたい。

ひだり みぎ
桟道からは大仏様の御姿を拝見できる。なんというかもう、全てを達観してますよね。お顔は汚れて体もちょっと粗削りでワイルドな感じだけど、何事にも動じなそうな安定感・大仏様が内に秘めた胆力みたいなものがヒシヒシと伝わってくる。

そんなメンタル強者の大仏様。横から見てみると、仏像が狭苦しい隙間に納まり川の流れを見守るように川に向かって座っておられる構図がよく分かる。

大仏が建造された当時の楽山は塩の一大産地で経済的に潤っていた。大仏の目の前を流れる岷江は財を生む塩を運搬する大動脈だったわけだが、頻繁に川の氾濫や水難事故が多発していて、それらを防ぐ為に民衆の浄財によって大仏の建造が着工されたそうだ。713年に彫り始められ、90年後の803年に完成を見た巨大でユニークな楽山大仏。青々と茂る凌雲山を背に悠々と座し、眼下に遥かな時の流れを思わせる岷江を見つめるイケメン仏。川の氾濫を治めるには大仏より堤防を作る方が効果ありそうなんて夢の無い話はしないでおきましょう。


大仏様が遠く見つめる先には楽山の町も見えるのだが、残念ながら霧がかってしまっていて視界が悪い。

ひだり みぎ
大仏がデカすぎて全身をしっかりと拝むには対岸に渡るか遊覧船で正面につけるしかないのだが、こんな濃霧の中ではっきりと仏像が見えるのだろうか。次々と多数の人民様を積んだ船が楽山港からやってきては大きな歓声が上がっているが…。

結局、この日は桟道の下まで辿り着くのに1時間超かかった。大変な混雑ぶりで、ホテルスタッフの言う通り途中で入場制限がかかったそうだ。

一番下から見上げる仏像。膝どどーん。近くで見れば見るほど、1200年前もの昔によくこれだけのものを造ったと改めて感心させられる。奈良の大仏の3.5倍とか東大寺の5倍とか聞いていてもピンとこなかったが、目の当たりにするとその大きさに感動すら覚えるわ。


足の指どどーん。足のサイズ約10m、指の爪だけで人の顔くらいあるだろうか。頭部のサイズにも驚いたが、降りてみると足まで非常にデカいのがよく分かる。足の甲に100人超もの人が座れるとか隣のツアー団体客のガイドが言ってましたからね。足の甲ですらちょっとした体育館サイズw。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
帰りは同じ道を通るのもアレなので、散歩がてら北門ではなく反対の南門方面まで川沿いの桟道を歩いてみることにした。


大仏から歩いて15分、漁村なる場所に出た。手持ちのガイドブックにも漁村と紹介されているが、どちらかといえば岷江で漁をして暮らすフィッシャーマンが観光客目当てに経営する食堂と土産屋の集合体といった趣である。

ひだり みぎ
ここまで来ると観光客も疎らなもんで、やっとこさ来た獲物を逃さまいと、「名産あるよー。食ってけー買ってけー」と売店の爺さん婆さんから声があがる。

ひだり みぎ
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でもさ、軒先に置かれてるのはドジョウだったりナマズだったり亀だったりザリガニだったり…。地元の珍味なのかもしれんが、朝から食べたいようなものではなかったのでここでの食事は見合わせることに。ジジババが凄くガッカリした顔を浮かべやがって、食べずに去るのに罪悪感すら覚えたわ。

ひだり みぎ


漁村を抜けたら対岸に古刹が見えてきた。

麻浩崖墓


対岸へと渡る橋の近くには麻浩崖墓博物館なる施設も。

麻浩崖墓は1800年前の崖墓群らしい。後漢から南北朝時代にかけ、四川では山肌に穴を掘って墓室を造り、その中に棺桶を入れ埋蔵するスタイルが流行したのだと。凌雲山の崖に広く分布しており、数は500余りになるそうだ。
ひだり みぎ
各墓室の入り口や壁や棺桶には数多い精緻な彫刻が設けられている。面白そうな博物館だし楽山大仏の一部でここも世界遺産らしいのだが、みなさん大仏だけ見て帰られるようで、ここまで来る観光客は殆どいない。

ひだり みぎ
崖には洞窟が4つ並んでいて、中にはそれぞれ墓の副葬品や工事機材(!?)が無造作に置かれていた。霊の死気というわけじゃないだろうが、内部はひんやりとしてスプーキー。

楯や槍などの武具、羊や虎や馬などの動物、仏像や人物などが彫られている。
ひだり みぎ
中には芸術的文化的価値の高そうな彫刻も。例えば、左の画像の「荊軻刺秦」では短剣を握りしめた刺客・荊軻が秦王政を暗殺しようとする場面を描いている。結局、暗殺は失敗してしまい荊軻は処刑されることになるのだが…この事件が後漢の古代墓に壁画として描かれているのは実に興味深い。
右の画像には「執彗持箕門吏」という題が付けられていて、左手に箒、右手に塵取りを持った門番が客を迎える為に掃除をする姿が描かれている。箒を抱え客を迎えるのは当時の礼儀であったそうだ。

ひだり みぎ
ひだり みぎ

崖の手前に置かれた石棺にも竜虎に載った西王母の像等がが刻まれていて芸術点は高い。

アクセス


成都から高速鉄道で楽山駅(約1時間)⇒3番バスで「大佛寺」バス停まで1時間強
または
成都からバスで楽山バスターミナル(約2時間)⇒3番バスで「大佛寺」バス停まで約50分

渋滞知らずで時間の計算が出来る高速鉄道の開通で楽山・峨眉山方面へのアクセスが随分と改善された。鉄道で1時間の距離の楽山ならばツアー客でごった返す中国の連休に重ならなければ成都からの日帰りも可能かと。


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【2017年成都・楽山旅行記】












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