宇宙人による遺跡? 中国史の常識を覆す三星堆遺跡 楽山・成都旅行9

成都二日目は朝一から成都の北約40キロの広漢市三星堆の遺跡へとバスを乗り継いで移動する。

三星堆で初めて玉石器が発掘されたのは1929年。その後、1986年になって古代文明の祭祀坑と推測される穴から青銅品を中心に数々の遺物が出土した。

この出土品がまた調査にかけたら凄くてね。青銅器の放射性炭素年代測定や坑の地層から推測されるに、約5000年前程前に栄えた古蜀文化の遺物であるんだと。5000年前ですよ、5000年前。中国4000年の歴史を超えちゃってますがな。
現在、中国考古学会の常識となっている所謂「中国4000年の歴史」は紀元前2000年頃に漢民族の祖先が黄河流域に興した夏王朝に始まる。今回、夏王朝より1000年も前に長江流域に高度な青銅器文明が栄えていたという大発見がなされたのは、とりもなおさず中国史の常識を覆す新事実なのであり、エジプト文明・メソポタミア文明・インダス文明・ 黄河文明にも匹敵する文明の発見により世界史の教科書の四台古代文明が五大文明に書き換える事になるかもしれないくらいの驚愕の事実だと考古学者は興奮しているよう。まぁもはや人類の古代遺産の眠れる宝庫・中国の歴史には常識は無いというのが常識になりつつある感じだけどな。「敦煌莫高窟」、「殷墟」、「馬王堆漢墓」、「秦始皇帝兵馬俑坑」などなど、20世紀以降も中国史は常に従来の定説が覆えされ、歴史が塗り替えられてきいるから。

また、単に古いだけでなく、三星堆から出土した青銅器はこれまで中国最古のものと考えられていた青銅器とは全く異質のもので、眼の突き出した異様な仮面や、人頭像、巨大立人像など複雑で奇妙な形状をした物が多数見られるそうだ。これは現地調査に乗り出さねば…ということで広漢市三星堆へと移動する。
ひだり みぎ
ホテルのコンシェルジェに成都旅游集散客運中心から三星行きの直通バスが出てると教えてもらったが、残念ながら発券窓口の婆さんに「そんなバスは今日は運行してない!壁に掲示してる運行表をしっかり見てきなさい!」とのお叱りを受け敢え無く一蹴される。


こちら、成都旅游集散客運中心の運行表。確かに広漢市三星という便も掲示されているのだが、この日は何かの加減で運航が見合されたということなのだろうか…違う窓口でも三星行きは無いと言われたので、諦めて広漢市行きバスが出てる昭覚寺バスターミナルへと向かう。先ずは広漢へと向かい、そこから三星行きのローカルバスに乗り継げば三星堆まで行ける筈だ。

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早速49路のバスで昭覚寺バスターミナルへと移動し、広漢行きのバスに乗り換える。広漢行きは07:00-20:00の間に15分間隔で運行しているそうで、適当に空いてるバスに乗りなさいといった緩~い感じで席も全席自由席。

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乗車券は当日最終便の20:03まで有効で、運賃は17元。広漢までの所要時間は約40分となっている。

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広漢バスターミナルを出て直ぐのところが三星堆博物館行き6路ローカルバスの停車場所となっているので、土地勘が無くても迷う心配はないでしょう。三星までの運賃は2元で、所要時間約30分。


電動三輪車の運転手からも声かけられるかもしれんが、ケツ痛くなるし高いからバスの方が良いと思う。またはタクシーか。


バスが発車するまで15分程待ったが、走り出したら早いもので、バスターミナルから25分程で三星堆博物館に到着した。こここそが謎の古代文明が遺した城址と祭祀坑が発掘された現場である。


入場するといきなり不気味な人頭像がお出迎えw ここ三星堆で発掘された莫大な量の青銅器遺物はどれも殷や周の青銅器とは明らかに異なっていた。従来の古代中国の青銅器とは鼎・尊・爵といった類の祭祀用儀礼容器あるいは斧などの武器、鐘などの楽器であり、人物像を立体的に鋳造することは技術的にもできなかったのだ。それが、三星堆の青銅器は、このような人頭像や仮面など、神や人の姿を象ったと思われるものが殆どだという。実に奇妙の古代文明跡の出現に、宇宙人遺跡説を唱える学者も出てきたくらいらしい。


入り口から少し歩くと右手の小丘に第一展示館(総合館)が見えてくる。ここでの展示は「序展」に始まり、以降6つのコーナーに分かれている。
第一展示コーナー:雄踞西有 古蜀2000年的滄桑史
第二展示コーナー:物華天府 三星堆的農業与商貿
第三展示コーナー:化土成器 三星堆陶器
第四展示コーナー:以玉通神 三星堆玉石器
第五展示コーナー:烈火熔金 三星堆冶
第六展示コーナー::通天神樹 古蜀人智慧与精神的象征

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猛禽のような像や立人像のポスター等、いきなり妖しさ全開の様相だ。特にこの立人像は身長180cmのという古代の人物造形としては異例の大きさ。長い衣をまとい、大きく誇張された両腕両手は祭祀儀礼にまつわる器物か何かを抱いて呪術的動作を示すかのように前で構えている。手は親指とその他の4本指で円筒をつくっているので、指の筒の内に何かの祭祀用具を握っていたということか?というか、そもそもこいつは誰なんだろう。眼は大きく見開き、一文字に引き締められた口の両端は下に折れ、顔面全体に緊張感を漂わせているが、祭祀儀礼を執り行う神官なのか?当時は祭政一致だっただろうから、政治的指導者だった人物であるかもしれない。詳細は不明とされる展示品が多いので、謎に包まれた様々な発掘物を色々と想像を張り巡らせてみるのも三星堆博物館の楽しみ方の一つだろう。

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農村に突如現れた古代文明跡。三星堆文明は新石器時代晩期文化に属し、新石器時代晩期(紀元前2800年)~殷末周初期(紀元前800年)と、延2000年程続いたと考えられている。

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三星堆二号坑出土の神樹上立鳥。

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続いて青銅器が多く展示されているという、これまた怪しげな第二展示館へ。



妖しさ全開。

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入って直ぐの空間には、極太の眉・腫れぼったい瞼・でっかい鼻・真一文字に結んだ口をした不気味な表情の青銅面具がこれでもかと並ぶ。

太陽崇拝やアニミズムの象徴と考えられる青銅太陽形器は殷代晩期のもので、直径84.5cm、2祭祀坑で1986年に出土した。

ここで見られるのは本当に奇妙な展示品ばかり。これらを遺した三星堆の民族については東夷説・越人説など色々な学説があり、いずれの説も確信的根拠を示せてはいないものの、民族的には中原から移住してきた一派というよりは四川一帯に古来から住んでいた民族であろうとの見方が有力なようだ。青銅の仮面のデザインがある程度写実性を帯びているとすれば、トルコ系なんて可能性も捨てきれないと思うけど。少なくとも漢族ではなさそう。

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こちらがかの有名な突出した目を持つ巨大な縦目仮面。横から見たら分かり易いのだが、眼球が円柱状に10センチ以上も突出し、3条になって耳まで切れ上がった口は怪しげな笑みを浮かべているようでもある。耳に関しても上半分が牛の耳のように大胆に大きく伸びていて、その巨大さと特異な形態から人間の顔とは考えにくい。人のようで人でなく、獣のようで獣でもない何か。神として崇拝する存在だったのだろう。飛び出た目と巨大な耳・口は古代エジプトやマヤの神々の遺構と共通する特徴らしいし。

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文字的にも漢字のルーツと言うより、古代エジプトの神聖文字であるヒエログリフや、メソポタミアのスメルの象形文字に近い類のものが刻まれているのも興味深い。三星堆の文明を築いた太陽崇拝の民と文化は、エジプトからメソポタミアと渡り、チベットを超え四川へと辿り着いた可能性も見えてくる。これが中国共産党的には面白くないようでね。そりゃああれだけ漢民族による中国支配を正当化してるのに、中華文明の発祥が非民族とか中国共産党的には許せんわな。宇宙人説は歴史的発見に蓋をしたい中共の息がかかった学者によるものなんじゃないかとも思えてくる。

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青銅人面具の展示はまだまだ続く。

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金メッキが施されていたり、頭に捩じり鉢巻きのようなものを巻いていたり、額に穴があったり触角がついてたりと様々なバリエーションが見られる。


高さ3.84mにもなる巨大な青銅神樹は殷代晩期のもの。3階層になっている幹の各層に3枝ずつが張り出しており、それぞれの枝に1羽ずつ、全部で9羽の霊鳥が留まっている。古代エジプトでも天の鳥船が遺されてるし、やっぱり三星堆文明と古代エジプト文明との間で何らかの繋がりがあったのではないかと思えてくる。

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鳥の頭に蛇。蛇も古代エジプトでは畏怖の対象として壁画なんかにもよく描かれてましたよね。

それにしても、最後は何故これら大量の青銅器を一度に坑に詰め廃棄したのか。支配者の交代による前王朝祭祀物処分説や王の埋葬品説など様々あるようだが、やはり確証めいた証拠等はどの説からも一切提示されていないようだ。
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そんな謎に包まれた三星堆、土産屋の商品も相当ふるってるw。人面具キーホルダーなんて誰が買うんだと思うが、メモパッドは御洒落だったので買ってしまった。

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謎ばかりで悶々とした気持ちを抱えながらも、土産物も買ったし満足してバスを乗り継いで成都へと戻る。

あまり観光ガイドブックには取り上げられていないようだけど、個人的には成都の中でも屈指の観光地だと思う。成都から半日も有れば行って帰ってこれるので、成都観光の際には是非この神秘的な古代文明の遺跡にもお立ち寄りください。

【三星堆遺跡】

住所:広漢市南興鎮真武村
営業時間:08:30-18:00
入場料:82元
アクセス:広漢市バスターミナルから6路バス
*広漢から成都行きの最終バスは18:30


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【2017年成都・楽山旅行記】












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