日中建築文化を調和させた進記家(タンキーの家)

結局、貿易陶磁博物館でも総合チケットを消化せず…おいおい、これ、余ったら返金できないの?できないよなー。ということで、川べりを散歩しつつ、日中折衷の伝統建築が残るという進記家(タンキーの家)という場所に行ってみることに。他にも廣勝家(クアンタンの家)や馮興家(フーンフンの家)、陳祠堂なる旧家・商家も観光地として一般公開されているそうだ。


あったった、進記って書いてある。この淡い芥子色した建物が中国・広東出身の漁師をしていた進記家の家で、文化遺産に登録されたホイアン最初の建築物になるそうだ。ここに住まう進記家は200年以上の伝統を誇る由緒ある家系で、現在は7代当主がこの家を守っているとのこと。こちらは裏口のようなので、グエンタイホック通りに面する玄関へと回りこむ。

グエンタイホック通りでは何百年もの歴史を経ながらも依然として原形の街並みが保たれていて、苔むした瓦屋根に押しつぶされそうな古い家並みが肩を寄せ合っている。その中に民家を改造したブティックや石屋、民芸品屋などが並び、間の通りを天秤棒を担ぐ行商やリヤカーを押すおばさん、観光客が行き交っている。道行く人の流れにまざり、鮮やかな黄壁が続く細い路地を歩く。まるで遺跡のような古めかしい建物が並び、びっしりと屋根を覆う苔むした瓦が視界を通り過ぎていくと、前世紀の生活を写しゆっくりと回る映画を見ているような感覚になる。

グエンタイホック通りに面した進記家のエントランス。中華色の出た川沿い側とは違って落ち着いた雰囲気だ。旧市街には今だ多くの古い家屋が残されているが、その大半は150年以上前に建てられたもので、かつて栄華を誇った中国人の子孫たちは古い家屋を先祖からの遺産として受け継ぎ、手入れをしながら使い続けてきた歴史的建造物だ。


黎家代々の家屋で、先祖代々のご祖霊が祀られているのだろう。

ひだり みぎ
チケットを捥ぎられ、中央にご先祖の霊位の御位牌が安置された部屋に通される。建材の質が良く、代々注意深く手入れをしてきたことから、内装の殆どが当時の装いのまま残っているらしい。入り口は至極簡素な造りだったが、中のゴージャスな調度品を目の当たりにして、そのギャップに驚かされる。中でも素晴らしいのは座面と背もたれに螺鈿細工がはめ込まれた椅子。座るとヒンヤリするのは、クーラーが無かった時代に生きた先人の知恵だろうか。建物自体も、内側に木材、外側に煉瓦を用いる2層建築にし、夏は涼しく冬は暖かさを維持できるよう工夫されているそうだ。


それにしても何と上品で豪奢な居間だろう。黒く重厚な柱にも螺鈿細工として真珠貝が埋め込まれて七色に光り、荘厳で優美な雰囲気を出している。「古い家」だろう程度の軽い気持ちで入ったが、なんかもう家屋そのもの一つの壮大な芸術のように見えてくる。

祖霊信仰が色濃く具現化されていて、黎家の先祖と思われる方々のご遺影が至る所に飾られている。
ひだり みぎ
装飾や模様などに中華建築の特徴が顕著に表れる一方、支柱の置き方や天井を支える梁の組み方などは日本の建築様式を思わせる。日中の建築様式が調和した内部の柱や格子にまで彫刻や工夫が凝らされ、じっくり見れば見るほど当時の建築技術のすばらしさを垣間見ることができる。

ひだり みぎ
他のホイアンの民家同様、中央には明かり取りと換気の為の吹き抜けの中庭があり、井戸が掘られている。壁には「30/9/09,12/11/07」と書かれているのだが、これは洪水に見舞われた日付であり、ここまで水が来た!という水位の記録なのだそう。ここらベトナム中部は毎年9~11月は醜い雨季となってトゥボン川の水笠が増すことで浸水し、酷い時には家の中の移動でもボートが必要なのだと。なので、天井には四角い空間を空け、洪水時には格子を開らいて滑車とロープで1階の物をすべて2階に避難するのだとか。日本だったら先ず間違いなく堤防を築いて終わりでしょうがwきっと世界遺産の町の景観を守る為に、ここでは行政がそれを許さないのでしょう。自然の摂理と共に暮らすご当地の人間ならではの工夫である。


奥はプライベートな空間になっている。


確かに、うだるような外の暑さが嘘のような清涼感のある家である。流石にここのベッドで横になることはできないが、聞くところによると、ホイアンには進記家のような旧家を改装してオープンした風情あるホテルもあるそうだ。

ネットで調べてみたら、ホイアン中心地のド真ん中にあるビンフン ヘリテージホテルというのがまさに旧家を改修してできたホテルのようである。ホイアンは街並み全体が世界遺産登録されているわけで、このホテルも世界遺産の対象となる歴史的建築物になるんではなかろうか。世界遺産にもなる程の歴史的建築物に宿泊するなんて、めったにできない経験である。またホイアンに来る機会があったら是非泊まってみたいものだ。

住所:101 Nguyen Thai Hoc Street.,Hoi An
電話:386-1474
営業時間:8:00-12:00、13:30-17:30



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【2014年ホイアン・ダナン旅行記】




















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