敦煌シルクロード怡苑大酒店 宿泊記

敦煌での宿は立地条件最強の敦煌シルクロード怡苑大酒店。空港・鉄道・莫高窟からのバスの終着点がホテルの目の前にあり、敦煌最大のナイトマーケットまで50メートルの距離という圧倒的便利さを誇る自称5つ星ホテルである。


大通りの交差点に面した13階建て全456室の大型ホテル、田舎町には不釣り合いなモダンで堂々たる外観だ。いくらオフシーズンど真ん中とはいえ、これで一泊込々130元(朝食無し)とはにわかに信じ難い。


砂漠を連想させるような駱駝色のシルクロードホテルだが、夜は漢族得意の下品なライトアップが全開に。「中国漢唐式文化ホテル」とか自己アピールしているのに、全てをブチ壊すこのド派手イルミネーションはあんまりだわ。それともあれか?唐代の敦煌はこんなにもネオンがギラギラとしてたというのか?

そんなシルクロードホテルらしからぬシルクロードホテル、玄関口に設けられた分厚すぎるビニールカーテンを開け、本当に130元かよーと半信半疑で館内へと入ってみる。

ロビーは大理石の床で広々としており、フロントの接遇も丁寧な接客態度で概ね良好。予約についてはどうやらホテルへのダイレクトブッキングを奨励しているようで、予約サイトをキャンセルしてホテルに直接払いにすることで128元(2元の節約)になりますよ、なんて逆に130元より安くなるような小技を教えられた。

ひだり みぎ

館内には申し訳程度にシルクロードモチーフの絵画やモザイク画もチラホラと。

フロントの背後にも長安からローマに至るまでの往時のシルクロードマップがデカデカと掲示されている。シルクロードは、西方に向けての中国側の出発地長安(今日の西安)を出ると蘭州まで北西に向かって伸びる交易網だ。蘭州から大黄河の西側を祁連山脈と万里の長城の間を縫うように続く河西回廊を進むと…最初に辿り着くオアシス都市がここ敦煌なのである。「大きく(敦)栄える(煌)」という敦煌の町の名前の由来は、このシルクロード交易の中継点としての町の繁栄ぶりからきている。……でも、この説明の後にフロント背後の地図を見ると…「???」ですよね。なんで長安が蘭州の西にあるのかと。もっと言えば、甘州が蘭州より東に位置しているのもダウト。往時の皆様方はこんな位置関係ガバガバな地図を頼りに命懸けの旅に出かけていたというのか。

あと、地図には一つのルートしか示されていないが、シルクロードはここ敦煌から大きく三つのルートに分岐する。

天山北路:敦煌からトルファンへ向かい、そこから天山山脈の北側をウルムチ経由でカシュガルへと進むルート。
天山南路:天山北路と同じくトルファンへ向かい、天山山脈の南側を抜けカシュガルへと進むルート。
西域南路:敦煌から西方へ進み、玉門関や陽関を経てタクラマカン砂漠を抜け、カシュガルへ向かうルート。

砂漠の灼熱地獄を避けたり、あるいは山賊蔓延り酷寒の山地を迂回するなど、季節やルート上の情勢に応じて最適なルートが選択されていたのであろう。個人的には“死の場所”ことタクラマカン砂漠を通る自殺志願者向けコースだけは絶対に嫌だわ。

部屋:

ひだり みぎ
2015年に改修されたばかりらしい。けっして広くはないが、独立したデスクにスタンド・壁掛け液晶テレビ・パーソナルチェアにミニデスクが完備され、内装・設備的には4つ星ホテルには相応しいか。勿論、無料Wifiや暖房も問題無いレベル。ただ、無難なビジネスホテル調の設えとなっていて、シルクロード風情は皆無。



ミネラルウォーターやお茶のサービスもある。自称5つ星ホテルですからね、これくらいはないと困る。

ひだり みぎ
水周りは清潔なんだけど、洗面台・トイレ・シャワーの仕切りが貧相なシャワーカーテンのみとなっており、且つ、排水溝が詰まってしまっているので、シャワーを浴びたら水周りのフロア全体が大洪水になるという致命的欠点がある。バスタブが無いのは諦めもつくが、足元の洪水状況を気にしながらシャワーを浴びるというのは気持ちの良いものではない。


バスアメニティは必要最低限に揃っていて、各アメニティグッズには五つ星アピールのホテルロゴが描かれている。

ひだり みぎ
窓の外は敦煌中心部。交通至便、オフシーズン時のコスパは最強だ。名前に釣られて唐代風情満点なデザインホテルかと思って泊まると失望すること間違いなしだけど、快適でお財布に優しいホテルをお求めの方にはお勧めできる。逆に宿泊先でも敦煌気分を味わいたいなら…。こちらの砂漠キャンプホテルしなかいでしょう。

シルクロード怡苑大酒店(丝路怡苑大酒店 )


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住所:6 Wenchang S Rd, Dunhuang Shi, Jiuquan Shi, Gansu Sheng
電話:+86 937 882 3807


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【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】






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