テルマエロマンの世界感にどっぷり浸る カラカラ浴場

日本人が土器を作り稲作を始めた頃、ローマ人は脱毛で身嗜みを整えて銭湯通い。
ローマ観光の締めは、216年開業の老舗健康ランド・カラカラ浴場で。1800年前のテルマエ・ロマエロマンにどっぷりに浸ってきたいと思います。

場所はコロッセオなどがある古代ローマの中心地から南に2km。古代ローマの南端に広がる平地に11万㎡の規模で造営されました。単純に面積だけで言ってもスパジオムジャポンの10倍の規模感で、銭湯機能の他にも各種集会場や売店、ダンスホール、体育館、娯楽室、図書館なども備わる一大レジャー施設だったそう。

ちなこの地図は現代の地図だと言われても納得してしまいそうですが、しっかりと古代ローマの再現図だそうです。 転生マンが現代知識持ち込んだんじゃね?ってくらいの発展ぶりに驚かされるというか、驚きを通り越して信じられないレベル。チート。

浴場はもはや宮殿に近いような豪華な造りで、普通に現代の大江戸温泉と比べても遜色ありません。
当時のローマではパンとサーカスの愚民政策まっしぐら。皇帝肝いりの公共浴場を造るのが流行っていて、最盛期の4世紀頃には小規模のものまで含めると900もの浴場がローマ市内に建てられたとか。日本では弥生時代でようやく稲作がーなんてやってる頃、ローマ市民は無料で飯を食え、娯楽施設を満喫でき、快楽に溺れ死んでしまうくらいの極楽生活を送っていたというチートぶりです。

ということで古代ローマの夢の跡へ。
流石に色美しい大理石は剥げ落ち今ではカラカラに乾いた躯体部分の煉瓦が露出しているだけなんですが、これはこれで迫力があって圧倒されてしまいます。
地球資源を湯水のごとく消費し倒す現代人と違って、石油もガスも電気も使わずここまで耐久性があって巨大な建物を僅か4年で建造しちゃうとか。チートも良いところですよ。

ただただ規模が大きいだけでなく、入浴者への配慮も充実。快楽を最大化して身体への負担を最小化するための循環入浴という順路も設けられていたそうです。

まずは体育館へ直行。レスリングや円盤投げなどのアクティビティで軽く汗を流してから温浴室へ。

次に熱くてサウナ効果のある熱浴室でがっつりと汗をかき、垢すり。

最後は冷浴室で火照りを取ってから仕上げにマッサージ。
この入浴サイクルを終えた後は図書室で読書に耽ったり、娯楽室で楽しんだり、各々気の赴くままに自由な時間を過ごしたそうです。

1800年も前の話なんですが、割と現代の健康ランドと変わらないルーティングに驚きですねw

2000年近く時を経た今なお残るモザイクや大理石の破片などから、ローマ帝国の栄華が偲ばれます。まるで湯煙がモクモクと立ち込めてくるかのようなリアルな空気感で、ひょっこり腰タオルの阿部寛が出てきそう。

場内の入り口付近では食物や香水などを売る露天商が店を開き、大道芸人や手品師、賭博師なんかも集まり賑わったそうです。なんかイメージするだけでくっそ楽しそうな絵が頭に浮かんできますよね。

また、裸になれば皇帝も一般市民も奴隷も同じということで、皇帝も普通に庶民に混じって入浴を愉しんでいたとか。警備はどうなっていたのかと心配してしまいますが、なにしろ全員が裸なんで、意外と元老院会議場や市内より安全だったのかも。

案内や解説は最低限度くらいしかないので、想像力が駆り立てられあーだこーだと古代ローマ時代に思いを馳せてしまいます。遺跡に当時の様子を浮き上がらせるバーチャルゴーグルのサービスもありましたが、こんなのに頼るよりは遺跡の雰囲気に浸りつつ自身の想像力に任せて回った方が楽しめそう。

https://www.italy-museum.com/rome/thermae-caracalla-4d-virtual-reality-tour/

見ているこっちが恥ずかしくなるほど露骨なエロ壁画や、卑猥な言葉が落書きされた壁なんかが多数出土するなど、当時の人々は今以上にあっけらかんと性の楽しみを謳歌していたようです。

そんな地上の楽園のような古代ローマですが、カラカラ以降は皇帝がどこかの国のようにコロコロ変わるなど不安定な政情が続きます。
帝政後期には財政は破綻寸前で税金も上がる一方で、蛮族の侵入に対する恐怖も増大。カラカラ浴場も6世紀に異民族の侵入によって水道が破壊され、ついに廃墟への道を辿ることとなりました。

まさに栄枯盛衰のストーリー。
どれだけ栄華を誇った強力な文明でもいつかは滅びる時が来る。朽ち果てた巨大なカラカラ浴場跡を眺めていると、人間や文明の儚さにちょっとした恐ろしさとロマンを感じずにいられません。

ぶっちゃけ規模が大きすぎて最後の方は飽きてきちゃいましたけど、コロッセオやフォロ・ロマーノと比べるとガラガラということもあって、歴史ロマンに浸るにはもってこいの遺構かと。

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