バーレーンに来るまで全くもってバーレーンに関する知識が無かった自分。
バーレーンと聞いても、10年くらい前までサッカーのワールドカップアジア最終予選やアジア杯でゴリゴリのカウンター戦略を貫く嫌な相手だったくらいの印象しかない自分の無知を恥じ、先史時代からイスラム化して近現代に至るまでのバーレーンの歴史の変遷を見学できる国立博物館に足を運ぶことにした。
あ、あとバーレーンといえばこれもありましたね…
茂原まで自動で!茂原まで自動で!何言ってるか分からないけど、世界には松木以上にウザっ苦しい解説がいるものだと衝撃を受けた。
しょっぼしょぼだったクウェートの国立博物館と違い、少なくとも外観は産油国の国立博物館らしい立派な造りのバーレーン国立博物館。
先ず、床びっしりにバーレーン中心部の航空写真が貼ってあっていきなり驚かされる。床に航空写真は斬新なアイディアだわ。地元民の方たちは自宅を探したりしてめっちゃ盛り上がってた。
館内は順路的なものがなくどのように周っていくべきか分かりづらいのだが、ディルムン文明など先史時代の歴史の解説から現代のバーレーンの生活様式の紹介まで幅広く展示されているみたい。
最大の目玉は古墳。いきなり古墳どやぁあ!って来る。バーレーンには多くの古墳が遺されてるどやぁ!ってことらしいんだけど、日本の凝った古墳と比べると単純で、正直、土を盛っただけにしか思えなくもない。
古墳の再現。ワイの通った小学校の校庭にもこんなのあったで。土山だったけど。
やっぱりただの山やんけ!と思ったら、それぞれの古墳の地下には石棺が納められ、死者が丸くなった姿勢で様々な副葬品とともに埋葬されるなど、ただのこんもりとした砂の山ではなかった。
しかも、紀元前3000から紀元600年までに造られた15万もの古墳が奄美黄島程度の面積のバーレーンに残されているのだと。古墳大国バーレーン!ただの山やんけ!なんて礼を失した発言をしてしまい申し訳ございません!
そして次なる目玉はバーレーンの伝統技術に関する説明コーナー。湾岸アラブの世界へと脈々と受け継がれてきた伝統技術がマネキンなどを使って解説されています。
ディルムン文明時代から商業を支えてきた陶業を生業とする職人さん。迫真の表情で土器をこねくり回してて、余りのリアルさにドキっとした。
海産物もメソポタミア文明との主力交易商品の1つ。椰子の枝を使って舟を作ってみたり、仕掛けを作ってみたり。当たり前だけど全て現地で取れる材料を使っての手作り作業。凄いっすね昔の人は。
その後、手作り感満載の椰子の枝製の小舟を使った小規模な漁業からダウ船での真珠産業へと進化。1850年代から1930年にかけては真珠産業の黄金期を迎え、20,000人を超えるダイバーが500隻以上のダウ船を用いて真珠産業に従事していたそう。「バーレーン産の真珠はダイヤモンドよりも価値がある」「バーレーンが稼ぎ出す富のうち、実に3/4が真珠由来」とか、当時の真珠バブルっぷりを表すちょっと信じられないパワーワードも並んでいた。
大型のダウ船の船員団はキャプテン以下、キャプテンのアシスタント、ダイバー、シンガー、クック、プラー(ダイバーを縄で海から引き上げる役)など総勢60-80名のチームで構成されていて、総収穫数に対するシェア分けは役割ごとに決まっていた。
しかし、バブルは永遠には続かぬもの。アメリカ発の世界恐慌や日本の養殖真珠産業の発展などにより、1930年を境にバーレーン真珠産業は衰退期へ。
特に日本が大量供給する養殖真珠が真珠の希少性を暴落させ、天然真珠の採取に頼りっきりだったバーレーン経済は破綻騒ぎの大パニック状態。餓死者まで出てこれはやばい!…外貨が稼げなくなり進退窮まったバーレーンはここで石油採掘に舵を切り、1932年、無事に油田ジャックポットを引き当て再び経済楽勝モードの路線に乗りましたよ、と。
最近では伝統的な真珠採取の作業がパールダイビングとして観光コンテンツ化されてるらしいけど、ちょっと日本人は参加しずらいっすね、これw いやいや、あんたんとこが真珠産業をご破算にしてくれてなければいまだに価格破壊が起きずにウチらはウハウハだったんすわとか嫌味言われそうw
採取後は、真珠貝の口を開け真珠を取り出す作業が待っている。ただ、真珠産業で全員が全員潤ってたかというとそうでもなかったようで、真珠商人たちが富裕を極める一方、現場で命を張って頑張るダイバーの皆様は過酷な労働待遇にあったそう。館内には奴隷契約のコントラクト的な資料なんかも掲示されてました。
いやー、なんかすみません。パールダイビングはめっちゃ興味あるんですけど自粛しますw
ということで外に出ると既に真っ暗。隣の国立シアターが燦々と眩いばかりの輝きを放ってました。油田が見つかってほんと良かったっすね!なんかすんません!
【Bahrain National Museum(バーレーン国立博物館)】
営業時間:08:00-20:00
入場料:BD1
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