インスタ映えする地下鉄駅 タシュケントのメトロ

ヒヴァやサマルカンドあたりと比べると、観光地としてはイマイチ冴えないウズベキスタンの首都タシュケント。

これぞ!というキラーコンテンツ的な観光スポットが無いんだけど、地下鉄だけは面白いと思わせてくれた。正確に言うと地下鉄の駅なんですが、一駅一駅に独立した設計テーマがあり、それぞれが意匠を凝らした芸術品が如く非常に美しく建てられてるんですよ。ごっついシャンデリアを屋根から垂らした豪華爛漫な宮殿風の駅があったり、社会主義風の厳つい駅、シルクロード風情にあふれた伝統的な柄のタイルで装飾された美術館風の駅、モスクのようなイステムテイストの駅、RPGのダンジョン風の駅などなど、とにかく設計のバリエーションも豊富で、地下鉄を乗り降りする度に楽しめるんです。同じ旧社会主義国の国でも、防空壕かのような武骨な駅が画一的に揃ってる某所とは大違いっす。

タシュケントメトロとは

ソ連の創立60周年を記念して、1977年に開業した中央アジア初の地下鉄。現在では3路線が走っていて、駅数の合計は29にも上る。

チランザール線 (Chilonzor、赤色) :駅数=12
ウズベキスタン線 (Oʻzbekiston、青色) :駅数=11
ユヌサバード線 (Yunusobod、緑色) :駅数=6


参照:wekipediaタシュケント地下鉄

タシケントメトロに乗ってみた


メトロの入口では職員が怪しいやつの鞄なんかを抜き打ちでチェックしてるが、暑さにだらけているのかヤル気なさそうなので基本はスルー。ここをパスした先に有人のチケット売り場があり、不愛想なおばさんからコイン型のトークンを購入して駅構内へと入っていく。


運賃は一律1,200スム(15円)と趙激安。無表情・不愛想なおばさんに1,200スムを差し出すだけなので、言葉が分からずとも何とかなります。

ひだり みぎ
駅の中の様子はというと、全体的に暗め。連絡通路からしてタイムトンネルみたい。暗がりの中を進んでいくドキドキ感…ダンジョン感ありますね。関節の動きがカクカクしたぎごちない動きのソ連製ロボットとか出てきそう。

コスモナウトラル駅(KOSMONAVTLAR)

タイムトンネルを抜け、エレベーターを降りると、プラットホームに到達する。ここからが各駅の見せ所、どの駅のプラットホームも奇抜な設計になっています。

例えば、ここコスモナウトラル駅を見てみよう。コスモナウトラルとは宇宙飛行士との意味らしく、建築テーマはズバリ宇宙。天井には天の川が如くガラスアートが輝いていて、まるで異次元空間に誘われたかのよう。

ひだり みぎ
壁面にはガガーリンや世界初の女性宇宙飛行士テレシコワなど、ソ連時代の宇宙開発を引っ張った偉人が描かれた青い陶器製の石版がはめ込まれている。

このメトロシステムであるが、元々は核シェルターとして軍事施設扱いだったらしい。そういった背景があるからか、写真撮影が解禁された今でも警備員がウロウロしていてプラットホームは独特の空気感。そんな中、何の案内も無しにソ連製の地下鉄車両が進入、なんの案内も無く扉が開き、何の合図も無しに扉は閉められて次なる駅へと走り出す。この社会主義的な無機質さが堪らない。

ほぼ10分間隔でやってくる車輛。挟まれた人を裁断する勢いでドアが閉まるのにはびっくりした。駆け込み乗車対策かな?体が切断される恐れがありますので、駆け込み乗車はご注意ください見たいな。

停車前からドアが開くせっかちなグルジアの地下鉄と言い、旧ソ連圏のメトロはネタ満載で実に興味深い。

地下鉄の中は到って普通。当局に会話を盗聴される恐れがあるのかというくらい、皆様お行儀よく話もせずに座っていたのが印象的でした。

この宇宙飛行士駅以外にも幾つかの駅を利用しましたので、見ていきましょう。

アリシェール・ナヴォイ駅(ALISHER NAVOIY)

最高評価を付けたいのは、ナヴォイ博物館に行った際に利用したアリシェール・ナヴォイ駅。

全ての宗教が否定されたソ連時代の設計テーマとは打って変わってイスラムテイスト全開の当駅。モスクを思わせるイスラム模様付きのアーチ型ドームが延々と連なっている。

ひだり みぎ
因みにこの駅名の由来と思われるナヴォイさんはウズベキスタン出身の詩人であり文学者。それ故にか、ホームの壁面には詩の中の一部のシーンを表したかのような壁画が並んでいる。残念ながらナヴォイ博物館は閉まってましたが、駅が面白かったので良しとしますw

タシュケント駅(TOSHKENT)

こちらはタシュケントの都市名ずばりのタシュケント駅。ウズベキスタン鉄道駅とも接続する玄関口的扱いの駅だけに、気合の入ったデザインとなっています。

プラットホームの手前に掲げられた彫刻。タシュケント市の市章かな。凄い深い意味合いを含んだマークのようで迫力があります。

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プラットホームはマーブルの柱とスタイリッシュな天井でモダンな雰囲気。

ひだり みぎ
ホーム壁面のアートは緻密な作りの現代的セラミックアートで飾られている。なんとなくプロパガンだアートみたいっすね。

ミング・ウリク駅(Ming O’rik)


クラシカルな照明が等間隔で配された地下宮殿風デザイン。

パフタコール駅(PAXTAKOR)


「新宿の目」のようなモザイク画の中に聖火を持ち走る筋肉質な男が描かれたアートが飾られている。

ひだり みぎ
アスリートとの関連性は分からぬが、ホームの装飾はイスラム風アラベスク模様。中央アジアっぽさが一番感じられる駅かな。

どうっすかね、タシュケントメトロ。
こんな乗り方したら怪しまれて別室送り!みたいなことになるかもしれませんが、理論的には1,200スム(≒15円)でそれぞれ個性ある全29駅を制覇することも可能。駅構内は冷房も効いてて快適ですし、夏は暑くて冬は寒いウズベキスタンでは天候に左右されずに楽しめるのもプラス。半日メトロ駅巡り…お金もかからなくて良い楽しみ方ではないですかね。



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