中世の香りが色濃く残る古都バクタプルへ

ネパール旅行二日目はタクシーをチャーター。ネパール中世期にカトマンズ盆地に栄えた古都「バクタプル」「パタン」「ボダナート」「パシュパティナート」を周遊することに。


いずれの都市もカトマンズ近郊にあるので、一日もあれば4ヵ所周ってこれる筈…。

移動の足は、前日に出会った流しのタクシー運転手の中で一番誠実そうだった男にチャーターを依頼することで確保。
「明日は絶対に来るから、ネパール人を信じてくれ!!」と頑なに主張され1,000ルピー(≒1,000円)の前金を取られて少々心配だったのだが…都合がつかなくなったと分かるや「私は行けなくなったが知人を代打に出すので安心してくれ」と態々ホテルに電話を寄こすなど、非常に律儀な奴だった。

しかし…翌朝の約束した時刻になっても現れない代打打者。朝8時に出発の約束が、5分過ぎ、15分過ぎ…こりゃあ前金詐欺に遭ってしまったか…と心配した矢先に満面の笑みを浮かべてやってきた中年女性。話を聞くと昨日のドライバーの姉らしく、昨日に彼女の弟と合意した周遊ルートとチャーター代金に関する内容もきちんと申し送りされていた。一日チャーターで7,000ルピー、他の相見積もり先と比べると破格のオファーだった。

ということで、いざ出発!最初の目的地はカトマンズ盆地の東端に位置する、古代ネワール人が築いた町・バクタプルだ。
ひだり みぎ
未舗装の凸凹道で、無理な追い越しや明らかなスピード違反、常軌を逸した車間詰めといった危険運転芸の数々を披露してくれる危ないタクシー運転手。そんな命知らずのクレイジードライバーでも、神聖なる牛様の近くでは安全第一な運転を心掛けてるのが本当に笑える。人の命より牛の命の方が尊重されているのだろうか?というのは愚問中の具問。神聖なるお牛様と人の命を比べるなど牛様に無礼万別な話である。

バイクと車と牛が行き交うカオスな道を走ること40分、中世の街並みが残るバクタプルに到着した。

カトマンズからはラトナパークの東側にあるバスターミナルからバスでも移動可能。所要時間は約1時間、片道数十円程度の運賃で行けるらしい。


カトマンズからの距離は直線距離にすると僅か12km。やはりバクタプルも2015年のネパール地震による被害を被ったようで、突っ張り棒に支えられ辛うじて崩壊を免れているような痛々しい姿の建物が並んでいた。

果たしてバクタプルの核心である旧王宮などは大丈夫だろうか…と心配になりつつも、入域料(1,500ルピー)を支払い独り旧王宮のあるダルバール広場へと向かう。

バクタプルは15-18世紀にかけ繁栄したマッラ王朝の三国分立時代に三国の首都の一つとして繁栄した古都。ネワール文化の最盛期に築かれた古都であり、今日でも古き良き中世そのままの佇まいで町が保存されているそうだ。

ただ、やはり中世の建物の耐震性には問題があったようで、ネパール大地震から3年経った今もこのような状況。
ひだり みぎ
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石材や木材といった建材や支保工的な資材は運ばれてきているのだが、世界各国の支援団体が修復にあたるカトマンズのダルバール広場と違って、こちらの方は修復活動が遅々として進んでいないようだ。


ダルバール広場に入って直ぐ右手に建つラメシュワール寺院は神々の御加護もあり無事。


ラメシュワール寺院を背に見て左手に建つのはつっかえ棒で支えられた旧王宮。ブーパティーンドラ・マッラ王が建てたもので、1769年まで王室一族が居住していたとされる美しい建築物だ。特に、中央の白い建物の奥の建物は55窓の宮殿と呼ばれる建屋で、ネワール建築の最高傑作とも称されているそう。

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緻密な彫刻が施された55の窓が設けられた55窓の宮殿。1427年にヤクシャ・マッラ王の統治期間に建造され、17世紀にブーパティーンドラ・マッラ王によって再建されたとの記録が残る。


こちらは旧王宮の玄関口となるゴールデンゲート。入って直ぐのところで小銃を構えた衛兵が睨みをきかせてるので思わずたじろぐが、ここは入っても問題ないとのこと。鉄仮面な軍人にカバンの中まで確認されたわ。


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中庭には王の沐浴場があるのだが、蛇口が文字通り蛇の口になっていて、厳ついコブラの口から水が出る仕様になっていたり。当時のネパール王の感性が伝わる仕様になっていて面白い。この他にも、ヒンドゥー教徒のみが入場を許されるタレジュ寺院も併設されているが、こちらは生き神クマリの聖堂があるとのことで、非ネパール人は入場不可とのことだった。強引に侵入しようものなら自動小銃でハチの巣にされるんだろうな。


こちらは王宮の一角を利用した国立美術館。中々面白い展示物もあったので、別エントリーで紹介しやす。

続いてバクタプルの市街地へと繰り出すことに。

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赤茶色の煉瓦と木彫り窓が美しいネワール建築がびっしりと建ち並ぶ古都・バクタプル。中世の町並みの中にさり気無く溶け込む彫刻芸術やヒンドゥー寺院を楽しみながら迷路のように張り巡らされた路地を探索していると、まるで中世マッラ王朝時代へとタイムスリップしたかのような感覚になる。

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味のある服飾店に八百屋。


バクタプルは焼き物職人の町として知られるようで、道端に陶器や轆轤が無造作に置かれていたりする。あまりに飾りっ気なく置かれているので、売り物なのか廃棄物かの判別もつかん。

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非常に平和的な空気に包まれた長閑な街なのだが、やはり街中も地震の爪痕が深く残っている。

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住宅街を抜けると、まるで歴史ものの映画のセットかのような味のある通りに出た。


打楽器で音楽を奏でながら供え物を持って通りを練り歩く集団がいたり…

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町の至る所にある祠や石像にお祈りをしている人がいたり。なんだろうな、カトマンズよりも更に宗教が人々の生活に根付いてる感がある。


狭い路地を歩いていると、視界が開けて大きな広場に出た。トウマディー広場という下町の中心地らしい。

広場の中心にはニャタポラ寺院が威風堂々とそびえたつ。カトマンズ盆地の中で最も高い建造物で、高さ30mにもなる五重の塔である。土台が小さくバランスが悪そうなのに、よく地震に耐え忍んだわ。
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正面の石段の両側には戦士、象、獅子、グリフィン、ラクシュミー神の石像が対で置かれている。神力は戦士>象>獅子>グリフィン>ラクシュミーの順で強くなっていき、それぞれが下の像の10倍の神力を発揮して寺院を護っているのだとか。戦闘力だけでいったらラクシュミーより伝説の聖獣グリフィンの方が強そうではあるのだが…。まさかグリフィンってモンスターダンクで有名なMLBプレイヤー・ブレイクグリフィンのことじゃないよな。ブレイクグリフィンならいくら抜群の身体能力を持つMLB界の怪物とはいえ、ラクシュミーより弱くても納得できる。


石段の上からはネパールの原風景的なバクタプルの街並みを一望できる。

なんとものんびりとしたネパールらしい空気が漂うバクタプル。一泊くらいはここに泊まるべきだったかな。



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