贅の限りが尽くされたスルタン・カブース・グランドモスク マスカット

さて、せっかくマスカットまで来ているのに、宿泊先のインターコンチネンタルホテルの中でまったりと“外籠り”するだけというのは勿体ない。ちょっくら観光らしいこともしようとマスカットを代表する観光地であるスルタン・カブース・グランド・モスクまで足を運んでみることにした。

それにしてもこのモスク、モスク名がそのまんま国王の名前やんけ…と思ったら、スルタン・カブース・グランド・モスクは現オマーン国王であるカブースが国王就任30年を祝ってオマーン最大のモスクを造るぞという号令を発したことで建てられたモスクらしい。いちおう表向きは国王から国民への贈り物ということらしいが…。日本で安倍晋三の再選記念として神社を建てたなんていったら内外から批判の雨嵐が降ってきてプロジェクトが提案段階で頓挫すること必至だが、なんたってここは中東オマーン。カブースは国王でありながら首相・外務大臣・国防大臣・石油大臣・財政大臣・国軍最高司令官などを兼務するお方ですからね。逆らえる人がいないんだからしょうがないね。

因みにこの国王兼首相兼外務大臣兼国防大臣兼石油大臣兼財政大臣兼国軍最高司令官の威信をかけたプロジェクト、2001年の完成当時は「世界で一番」の称号を多数獲得した最上級のモスクだったらしい。カーブス様もさぞご満悦だったでしょう。それが2007年に隣国UAEのアブダビでグランドモスクが完成したと同時に「世界で2番目だらけ」に成り下がってしまったそうだ。きっと悔しさに歯ぎしりしてるだろうね、国王。二位じゃダメなんでしょうか?なんてうっかり聞いてしまった日には不敬罪で豚箱入りだろう。ということで不敬罪になるような国王のプライドに触れるような発言はしないよう気を付けてグランドモスクへと向かうことに。

場所はオマーン市街地のルイから西に15キロ程の幹線道路沿いにある。ホテルコンシェルジュに訊いたらグランドモスクまでホテルで待機してるタクシーに乗れば片道6レアル(1,800円)で、公共バス等他に安価な交通手段は一切ないとのこと。ただ、それはおかしいと思い自分で調べたら、ホテル近くの大通りにバス停があるっぽいんだよな。
ひだり みぎ

ということで真っ白い町並みを3分ほど歩いて大通りに来てみたら、やっぱりバス停もあるしシェアタクシーもバンバン走ってる。なんなんだよあのコンシェルジュは。

ひだり みぎ

とりあえずグランドモスク方面に走るルートタクシーを止め、「スルタン・カブース?」と聞いたら満面の笑みで何度も頷く運転手。聞くと、やはりグランドモスクはマスカットを東西に貫く大動脈沿いにあるので、ルートタクシーもシェアタクシーも簡単に見つかりまっせ、とは運転手談。
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15分程走ると左手にモスクが見えたので、運転手のニッコニコヒゲオジサンに下車する旨を伝えて降ろしてもらう。駐車できるスペースさえあれば基本的にどこでも乗り降り可能なようだった。


ただね、モスク近くで降りたはいいものの、モスク側に道路横断するのに一苦労。目の前を走る通りが大動脈だけあって片道三車線と道路は広いし、その中を猛スピードで車がバンバン走り抜けていくので道路横断の難易度が高すぎる。ちょろちょろと低速のバイクが走るだけのベトナムの道路横断が簡単に思えてくるわ。

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一瞬の車の流れの隙をついてやっとの思いで道路を渡るとモスクはもう目の前。高さ30メートルの大ドームを中心に5本の尖塔が天空を指すグランドモスク、青空にモスクの白がとても良く映えていて何ともアラビアーンな感じ。

モスク前の広大な庭園では印パ系外国人労働者がダラダラと花々を手入れ中。モスクなので神聖なるお祈りの場所なんだけど、同時に国民にとっての癒しの公園でもあるかのような雰囲気だ。とにかく他のモスクと比べて木々花々が多くて美しい。国王の名前を冠するだけありますわ。
ひだり みぎ
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噴水から続く水路を軸とする左右対称の石床通路の両脇に木立や芝生が配されている。日本庭園の非対称型とは対極を成すイスラム式対称庭園の美しさに思わず息をのむ。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
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モスクの建物もどの角度から見ても一切の隙が無い完璧な造りだし、昨日建てられたばかりなのかというくらいの真新しい状態にキープされている。


ひだり みぎ
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一定間隔にゲートや飾り窪みのアラベスクが並ぶ回廊も歩きごたえ十分。このアラベスクは世界各国のスタイルを模しているようでそれぞれが大変美しく、ムスリムでなくともこの神秘的な世界観は十分に楽しめる。

肝心のモスクの核心である礼拝堂はどうか。モスクの中へは通常はイスラム教徒以外は入ることが出来ないが、土曜日~木曜日の08:00-11:00の間のみ非ムスリムの外国人観光客でも内部の見学が許されている。ということで、靴を脱いで主礼拝堂にお邪魔しやす。

スルタンの好みに合わせてペルシャテイストがふんだんに取り入れられた礼拝堂内部は幻想的というか神秘的というか。もう本当にごいすー。


一際目を引くドーム屋根には高さ14m・幅8m・照明1,122個という超巨大なスワロフスキー製クリスタルのシャンデリアが吊り下がっている。王の威信をかけたのであろうね、贅の限りが尽くされてる感があるわ。税の限りも尽くされたのだろうけど。


フロアにも4263㎡という途方もない大きさの手織りペルシャ絨毯が敷き詰められていたりと、ただただ途方もないスケールの大きさに畏怖の念が込み上げてくる。アッラーへの畏怖の念でもスルタンへの畏怖の念でもない何かに対する畏怖の念。

ひだり みぎ
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モスクというより崇高な美術館という雰囲気で、天井のドーム屋根や壁のモザイクに目が行き、はたまた床のカーペットにも…ということで首が痛くなるような見学になった。


【スルタンカブースグランドモスク(Sultan Qaboos Grand Mosque)】



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