オマーン-イエメン国境近くの山岳地帯を走る

いよいよサラーラ観光も大詰めの最終局面へ。
サラーラ周辺の見所らしい見所を見終えた我々は、時間の許す限りイエメンとの国境方面に向かって車を走らせていくことに。

ビーチリゾートのあるマグセイルの町を過ぎると、あとはイエメンとの国境までひたすらゴツゴツした荒山が続く。他に車も走っていなければ人もいないような山岳地帯であり、乾季の気温は50℃にも達するこんな荒涼とした月面みたいな場所にもケープノウサギやガゼルといった生物の存在が確認できたのには驚いた。ウルフやタカ、ハイラックスなんかも生息しているらしい。
ひだり みぎ
ひだり みぎ

切り立った崖の間の細い道を西へ西へと進むにつれ、雄大な景色が次々と表情を変えながら現れる。
ひだり みぎ
水がないので木が生えず、岩が剥き出しの岩山を道路が這う。驚くべきことに、オマーンではカブースビンサイード現国王が現職に就いた1970年まで舗装道路はほぼ皆無だったのだそうだ。そしてたかだか47年間でここまで全国の交通インフラを整備しというから驚きだ。もちろん財源となっているのは1962年に発見された石油と1990年代末から加わった天然ガス。ただ、石油の埋蔵量は近隣の産油国と比べると甚だ少なく、現産油量を続けると目先数十年で枯渇するのではないかと言われていると、運転手は嘆いていた。それでも石油が出ないで大変な国情にあるお隣イエメンと比べれば圧倒的に幸運でしょ。



そんな貧しいイエメンとの国境方面へ向かい、アルカイダや無国籍武装集団が潜伏してたらどうしよう!と心配になるような赤みを帯びた険しい山岳地帯をこれだけ上ってきた。今までは海岸線を最短距離で真っ直ぐ走ってきたので、イエメンまで100kmを切っているのでもうすぐそこ!と思ってた自分は甘々で、こんな月の谷のイロハ坂のような山道をくねくねと上りながら進むので時間がかかることかかること。

こんな魔境を走るサラーラからイエメンへと向かう国際バスで一度は旅行してみたいものだ。もう少しイエメンの情勢が安定してればサユーン行きのバスに飛び乗ったのだが。


まだ見ぬ未踏の地・イエメンへと思いを馳せていると、急に山の中腹で車を停めだす運転手。オマーンにはこんな厳しい環境にも自生する逞しい植物があるんだぞ!と運転手のオマーン自慢が始まったので車から降り、柵も何も無い断崖絶壁に自生する植物の観察をすることに。


ひだり みぎ

生命を寄せ付けないような荒々しい岩山ではあるが、確かに植生が確認できた。黄色いアルガンの実のような果実を成らす刺々しい木があったり、生えたてのベニイロリュウケツジュ(運転手はBlood Brother Treeと呼んでいた)が岩の隙間からちょろちょろっと生えてたり。


植物だけでなく動物も。アラビア海に面した崖の方では可愛らしいラクダのペアが絶景を前にいちゃいちゃしてた。



ほんとこの愛くるしい動物たまらんわ。中国敦煌にいたフタコブラクダのような獣臭や不機嫌そうな威嚇声もなかったし。ラクダにも国民性が表れるんだなw



我々が邪魔をしてしまったからか、バツが悪そうにイエメン方面に歩き去っていくラクダカップル。どこを目指して旅しているのか知らんが、いつまでも御達者でな。


ラクダを見送りイエメン方面へと目を向けると、崖の下にRakhyutのシークレットビーチを発見。イエメンは西に30キロのところにあり、周囲を高い断崖絶壁に囲まれていることから、知る人ぞ知る秘境感抜群のビーチらしい。事前申請すればテントを張ってのオーバーナイトステイなんかもできるんだって。



イエメンへと続く険しい山道を見つめる運転手。やっぱりここから先に進むには更に時間がかかりそうなので、西進はここで諦めサラーラへと引き返すことにする。ホテルの隣のアルバリード博物館も行きたいし、明日の朝も04:30の飛行機に乗るのに夜中2時起きなんで早く寝たいしな。


ということでサラーラへと引き返し、先ほどまでの荒涼とした岩山が嘘のように豊かで爽やかなサラーラのビーチ沿いを走る。


これにてサラーラにて二日間お世話になったSuhail氏ともお別れだ。来る前はレンタカーを借りて自分で運転しようとも思っていたが、彼がいなければ行けなかったであろう場所や体験できなかったであろう体験も沢山あったので、氏には本当に感謝してる。ありがとう。



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