シャングリラ独克宗古城でマニ車を回したり 雲南省旅行2

突然ですが、シャングリラ(理想郷)という名の街が実際に存在することをご存知でしょうか。このシャングリラという言葉はもともと、英国人作家ジェームズ・ヒルトンの冒険小説『失われた地平線』(1933年初刊)に登場する架空の土地の名前であった。あのシャングリ・ラ・ホテルズの名前も、このチベットの奥地の桃源郷に由来する。そんな桃源郷人気に目を付けたのが中国共産党。「シャングリラって実は雲南省の中甸がモデルになんですよ!」と声高に主張し、中国雲南省にある当時の中甸がシャングリラ(香格里拉)に改名されたのである。嘘の様な本当な話なんだけど、ここまできたらウリジナリストが「シャングリラ=韓国起源説」を主張するといった展開にまで発展しないかと楽しみになってくる。

ということでね。やっぱり市名を変えてまで観光地アピールするだけあって、中共もやる気満々。第二の麗江を狙って観光地としての開発が進められているようだ。


メインストリートの長征路沿いは雲南省外の地方都市と変わらぬ比較的立派な建物が並んでおり、歩道も整備されている。長征とかもう名前だけで十分ネタ感満点なんだけど、そこで終わらないのが中国共産党。もちろん新市街地の中心地では毛主席が天を突きさすかのように右手を高々と振り上げている。毛沢東万歳!


街は(なんちゃって)伝統家屋の建築ラッシュとなっているようで、こういった工事現場を町の至る所でちょくちょく目にすることができる。惜しげもなく使用される木材の消費量といったらこれまた凄いもの。凄まじい勢いで街周辺の森林が伐採されているに違いない。


長征路の南の行き当たりに独克宗古城ことシャングリラ古城への入り口を発見。古城といっても城があるわけではなく、チベット族が住む旧市街の街並みが1平方キロメートル四方に広がる旧市街地となっている。この古城は2014年に相当な範囲が大火災により更地化してしまったと聞いていたが、ほぼほぼ古城全域で再建工事が終わっているようだ。

約1300年前の唐代に建てられたという独克宗古城。火災に遭うまでは、中国国内で最も完璧に保存され最も規模の大きいチベット族の居住地だった。今は建て直されたばかりの真新しい木造家屋が並ぶだけとはいえ、映画のセットかの様な土壁と木を組み合わせた質素な造りの家屋の間をこぼことした石畳を歩くたびに、古いチベットの歴史の中へ溶け込んでいくような感覚になる。
ひだり みぎ
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真新しい木造の建物の多くは土産物屋やカフェ、旅館になっている。

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香格里拉のナッツ類・茶・乳酸品・線香などの仏具等々が並ぶ。


高地ということで登山ギアの店なんかもあり、漢族の店ではノースフェイスのゴアテックス(パチモン)なんかも置かれてる。いくらパチモンとはいえ100元って安すぎだろ。パチモンなのにタイプもカラーもオフィシャルショップかのような品揃えだしw

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タルチョと呼ばれる五色のチベットの祈祷旗やストゥーパなんかも至るところで見かけることができる。

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こういったお洒落カフェの店員は皆さんチベット族のよう。


タルチョ溢れる店内に入ってみた。

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ヤクのミルクから作られたというヤクヨーグルトを食してみる。クリームのように重くぶよぶよとした食感と濃厚な酸味のあるヨーグルトに粗目糖のじゃりじゃり感と甘味が混ざって何とも言えぬ味だった。まぁブルガリアヨーグルトに大量の粗目糖を入れたんと大差ないかな。「ふむ、これぞ高原の味!」とはならなかった。

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ヨーグルトを食し、細い路地を更に南に向かって歩いていると、古城の中心にある大亀山公園に出た。公園自体は記念撮影用のヤクと写真撮影係りがいるくらいであまり特徴らしい特徴はないんだけど、公園の奥の丘には街のシンボルともいえる巨大な黄金マニ車がグルグルと回ってるのが見える。

とりあえずグルグル回る塔を見に行こうと、公園に向かうとそこそこの階段が。流石に富士山八合目と同程度の標高だけあって、階段を上ろうと思うと確かに息が切れる。他の観光客も皆さん階段脇に座って休みながらゆっくりゆっくり上ってる。無理は禁物ですからね。
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階段を上がりきった先の寺院。残念ながら写真撮影が禁じられていたので撮れなかったが、チベットらしさが感じられる壁画が見応えあった。


おー、高台の上から見たら炎症を免れた瓦屋根びっしりのエリアも残っていることが分かる。

青く澄み渡る空にはためくタルチョーが美しい。これは日本で言うところの運動会や商店街で見る旗と同じという訳ではなく、この祈祷旗には経文や菩薩の絵が描かれていて、風になびく度に経文を唱えたことになるというチベット仏教独特の謎ルールがあるらしい。
ひだり みぎ
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色は全5色。青・白・赤・緑・黄の順番がそれぞれ天・風・火・水・地を表わしているのだと。

そして…マニ車キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!。側面にはマントラが刻まれており、内部にはロール状の経文が納められているので、こいつも回転させた数だけ経を読んだのと同じ功徳が積めるのだと。識字率とかに関係するのか?ちょっと「読んだことにしてあげるルール」が多すぎな気がしてきたぞw
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巨大で金ぴかなマニ車。マントラが刻まれてるはずが、ここでは何だか御利益ありそうなもの全部混ぜみたいな感じで色々と描かれている。

で、だ。息を切らせて階段を登りきった先にあるマニ車の根本に驚愕の光景が…

なんと!人が回している!!動力源がまさかの人力!この金ぴかで悪趣味なマニ車の根本近くにご丁寧なことに取っ手がついていて、入れ替わり立ち替わり、なんとなく誰かしらが回転させようとしてるんだけど、子供や御婆ちゃんばかりといった残念な布陣だからか全然回せてない。

というか、普通マニ車って赤ちゃんが乳母車に乗ってガラガラ回すおもちゃの様なの想像してたんだけど、これガチすぎだろ。大変なだけ得られる功徳もデカいという訳でもなさそうだし。


これ、ワイがイメージしてたマニ車。実際、古城の仏具店でもこんな感じのマニ車が売られてたし。

さて、自分も心を落ち着けてありがたい気持ちでお経を読むイメージで参戦!おもっくそ力をこめてみたが、日ごろの行いが悪いのか回すことはできなかった。まぁ旗が風にたなびいた時に経文を読んだことになったから良いんですけどね!と強気でマニ車を後にする。
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丘を下り、今度は大亀山公園に面する二つの博物館、紅軍長征博物館・チベット族自治州博物館を見て回ることに。

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先ずはヤバそうな匂いがする紅軍長征博物館。

予想通り過ぎて何の新鮮味もないんだが、やはりシャングリラ遠征のことが大々的にアピールされていた。


金沙江と玉龍雪山を越える偉大なる解放軍。

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如何に雲南省が解放されたかについての展示が続く。大部分が焼失した古城の中、こんな博物館エリアが焼け残っているというのがまたなんとも…

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続いて対面のチベット族自治州博物館へ。

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毛主席万歳!あなたは中華各族人民的大救星!


毛という名字でこの髪型は皮肉…この刺繍作品、毛主席をもっとカッコ良く表現してやれなかったもんかね!

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