シャングリラ古城を見て回り、続いては古城の入り口からバスで10キロ弱程離れた納怕海(ナパ海)へと向かうことに。
海抜3,200m超の地点に広がるナパ海の総面積は31平方キロ。ザ・桃源郷といった広大で風光明媚な大自然の中、湿地帯ではヤクや豚がのんびりと牧草を食み、湖畔では国連が定める絶滅種の一つ・オグロヅルやガンといった鳥類が餌を漁ったり遊び戯れたりする動物の楽園が広がっているらしい。
古城からナパ海方面へと向かう2路のバスが中々来てくれないので、仕方なくタクシーを止め交渉にあたる。
悪名高き香格里拉のタクシー。予め滴滴配車アプリで相場を調べてから交渉にあたったところ、特にぼったくられることもなく相場通りの運賃(28元)が提示された。思ったよりも安かったんで、試しに「市内⇒ナパ海⇒藍月山谷風景区⇒松賛林寺」という本日の観光計画の足を丸々お願いした場合のチャーター代を聞くと、なんとまぁ100元だと。いくら走行距離が短いとは言え運転手を半日拘束して100元は広東省では考えられん安さだったので、即決でお願いすることに。
道中、北西方の山麓に光り輝く建物群を発見。運転手に訊くと、本日の最後の目的地である松賛林寺とのことだ。ビュースポットでは車を停めてくれるし、率先してガイド業務まで引き受けてくれる。こりゃあアタリ運転手だわ。
松賛林寺から更に西へと進むこと10分、農場の入り口のような場所で降ろされた。そこら辺の公道脇からナパ海を眺める分にはタダだけど、ナパ海のベストビューを楽しめるこの敷地の奥に入るには40元かかるとのことだ。有料観光地をゴリ押しする訳でもなく、きちんと40元かかるという事実を伝えた上で判断を当方に委ねてくれる運転手の姿勢に好感が持てる。
100元で馬にも乗れるとのことだったが、乗馬体験にはあまり興味が無かったのでお断り。普通に自らの足で歩いて湖畔一帯を探索することに。
敷地に入ると、目の前には三方を山に囲まれた緑豊かな大草原が広がっている。雨量の少ない春から夏にかけては湿地帯として緑一面に覆われるが、雨量の増す夏の終わりから初秋にかけて湖面が広ってきて、群れを成したオグロヅルや鴨なんかが集まってくるそうだ。ナパ海と思って見ると拍子抜けだが、これはこれで大変に美しい景色である。
9月末は雨量も少なく、残念ながら鶴の姿は見かけなかったが、代わりにあちらこちらに点在したヤクの群れが短い夏の残り香を享受せんとばかりに頭を地に付け這うようして牧草を食べていた。なんと雄大で長閑な風景であろう。
因みにヤクは高所順応型の牛。暑いところには住むことができず、3,000メートル超の山間で高原遊牧民の家畜として飼われている。体毛が長いのも、高地の寒さに必要な進化だったんだろうな。
放牧されたヤクや豚が牧草を食べるのに忙しそう。なんというか、草食動物のサファリパーク状態。もうすぐ夏も終わり、直ぐに乾燥した草原へと変わってしまうので、今のうちに短い夏を存分に楽しんでくれたまえ。
この牧歌的で美しい光景にケチをつけるわけではないが、ヤクの周りは見事に糞だらけなので要注意。もっと近づきたかったけど、ヤクの周りを衛星が如く無数のコバエが飛び回っているので諦めた。
6月から7月にかけての短い夏場にはピンクや紫といったカラフルな高原の草花が咲き乱れ、緑の草原に彩どりを加えるそうだ。シャングリラ観光の見所だけあって、季節ごとに「これぞ地上の楽園」という絶景を味わうことができる。
なんとまぁ空が近いこと。できればコテージでも持ってきてキャンプをしたくなるような牧草地だ。夜になるとさぞかし星が綺麗なんだろうなぁ…。
【ナパ海】
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