標高4,500mの世界 藍月山谷風景区と石卡雪山 雲南省旅行4

ナパ海から車を走らせる。向かうは香格里拉市内の外れに聳える石卡雪山の藍月山谷風景区だ。

道中、モクモクと煙が立ち込めていたので炊煙かと思ったら、なんと鳥葬による煙というではないか。鳥葬とか、外国人が日本にまだ忍者がいると考えているくらいのもんで過去の風習かと思ってたけど、未だにチベット文化圏では鳥葬が最も一般的な葬儀方法になっているらしい。断片化した死体を鳥葬台に安置し、香木に火を点してハゲワシを誘きよせ…。ここから先はグロ注意になるので興味ある方は自分でググって下さい。

鳥葬の煙を浴びながらシャングリラの大自然の中を石卡雪山に向かって走っていると、通りの左右にチベット風の石積みの塔の波が出てきて自分がチベット文化圏にいることを再確認させれる。まぁチベット風といっても、実際に建てたのは共産党観光推進委員会とかそういった類の組織だろうけど。



塔の奥の草原には赤い野草が広がっていたので、「鮮やかだなー。何の花ですか?」と運転手に聞いてみたところ「季節によって色合いが変わる特殊な毒草」との予期せぬ回答が返ってきた。普通に牛だかヤクだかは美味しそうに一心不乱に貪り食ってたんで、人間に対してだけ有毒性がある花なんだろうけど、一体何の花なんだか。ツツジ科なんだろうけどシャクナゲにしては色がくすんでいるし。

ひだり みぎ
そんな毒草と仏塔に囲まれた通りを真っ直ぐ突き抜けると、標高3,300メートル地点にある藍月山谷風景区の入口に到着した。ここから2本のロープウェイを利用して高所まで上るのが藍月山谷風景区のアトラクションである。

まず1本目のロープウェイで標高3300mの入口から標高3750m地点にある亜拉青波牧場へ、そして2本目のロープウェイで標高4500m地点にある石卡雪山山頂付近まで移動するのだが…4,000メートル超の世界は自分も未体験なので若干ビビってる。

防寒具レンタルなんかもあったりするし、酸素が薄い上に風が強くて寒いんだろうな。


ひだり みぎ
チベット風の洒落たチケット売り場でも、「大丈夫?今から4,500メートルの世界ですよ?酸素は?防寒具は?」といった広告多数で恐怖心を煽ってくれる。

ロープウェイの往復運賃として220元(≒3,800円)を支払ってロープウェー乗り場へ。


山頂付近のトレッキングマップ見てたら死亡谷とかあるし。中国でも死亡=死亡という意味だよなぁ…。念の為に中日辞書で確認すると、「[動] 死亡する」と出た。サンキューグーグル!

ひだり みぎ

寒さや酸素濃度に加えて怖いのがこのロープウェー。他に誰も観光客がいなくて不安になる中、意を決して乗り込んで標高3750mメートル地点へと向かう。シャングリラ市街の標高ですら自分の人生での最高地点なのに、更に高い未知の領域へと向かうわけだから、自分の体が適応できるのか若干心配だった。僅か20時間前まで標高21メートルの広州にいたわけだし。

ひだり みぎ
ロープウェイステーションでスタッフが物資を積み下ろしする関係で途中で軋みと共にちょいちょい停まってくれるし、ちょっと生きた心地がしなかったわ。

まるで別の惑星に降りたつかのような緊張した気分で山の中腹へと降り立つと、目の前には至って平凡な草原が広がっていて、赤頭巾をかぶったチベット民族のおばさんたちが掘っ建て小屋で井戸端会議を繰り広げていた。
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亜拉青波牧場。標高約3,800メートルと富士山より高いところにある牧場で、チベット族の皆様はここでジャガイモを栽培したりヤクを放牧したりして生活を営んでいるらしい。決して藍月山谷風景区の営業時間無いだけここにいて給料を貰うアルバイトではないそうだ。


10分程休んで体を順応させた後に第二のロープウェーへ。森林限界の線がくっきり見えていてちょっとおじけづきそうになる。

ひだり みぎ
ちょっと立派なステーション。ここでも最後の警告が掲示されていて、「重大危害」「自己責任」の文字が看板に踊る。

ひだり みぎ
第2ロープウェイは長さ2,000メートル・高度差600メートルで、ゆっくりゆっくりとモミなんかの針葉樹が生い茂る山を4,500メートル地点まで登っていく。


森林限界を越えた先のゴツゴツとした岩山が目の前に迫り、いよいよ終点が見えてきた。

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標高4,500メートル…。気圧の低さは気にならなかったが、風が吹き荒れ猛烈に寒い。

気温的には10℃ちょっとあるんだろうけど、吹きっさらしの風が本当に強烈で…。最初は雲に包まれ真っ暗な中を小雨が降りしきるような天気だったのだが、極寒の中を20分程粘ってようやく晴れ間がのぞいてくれた。粘り勝ちだ!
ひだり みぎ

視界が開けたのはほんの少しの間だったけど、山間に広がるシャングリラの町や、香格里拉を囲む大迫力の山々まで見えてもう感無量。標高21メートルの広州から3,200メートルの香格里拉まで飛行機で、3,200メートルのシャングリラから4,500メートル地点までロープウェーを使って苦労ゼロでここまで上ってきたというのに目の前に広がる絶景に感動してしまった。

ひだり みぎ
石積みストゥーパに括りつけられたカラフルタルチョーが音を立ててはためいていて、なんともチベットっぽい4,500メートル地点。なんか運気が上がった気がするわ。220元のロープウェー代を払う価値あるね。


運転手に電話したら「え!?もう下りてくるの?オレ今ちょっと市街地戻ってメシ食ってるんだけど!」とか言われたけど、想像以上に寒かったので、4,500メートル地点での滞在僅か30分足らずで下界へと降りることに。

【藍月山谷風景区と石卡雪山】

電話:8232565
営業時間:08:00-18:30(入場は16:30まで)
ロープウェイ運賃:220元

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