宋都御街・龍亭公園 開封日帰り旅行2

鄭州からの開封日帰り旅行。夏の禹王を祀った禹王台公園の見学を終え、8路のバスで開封市街地へ。次なる目的地は宋代の宮廷画家・張択端の画巻『清明上河図』に描かれた風景・風俗を再現した古都開封市内の歴史文化テーマパーク・清明上河園。

中国北宋の都・開封の都城内外が賑わい栄えた様を描いた清明上河図。残念ながら1305年の黄河の氾濫により宋の都・東京は地中深く埋もれてしまったこともあり、清明上河図は当時の東京のありのままの姿を残した唯一の資料となっている。


東京開封府内外の人士が行楽する様子が全長約5メートル・縦24センチに渡って活き活きと描かれた清明上河図。その登場人物数は実に773人。幸せそうな市民の生活の様子が事細かに描かれ、宋朝当時の市街図や風俗図としても極めて資料的価値の高い資料となっている。

そんな古の街・開封。市街地への途中には磚積みの城壁が遺されていた。


戦乱や黄河の氾濫を経験してきた開封の城壁は多くの王朝が修復を繰り返してきたそうで、東西4km・南北3.3kmの範囲を取り囲んだ現存の開封城跡は、1842年に清王朝が再建したものになるそうだ。

最近になって建てられた鼓楼なんかも。

7代の王朝が都を構え、宋代にはコルドバ・コンスタンチノープルと並んで世界一の繁栄を誇った歴史的都市・開封であるが、今や人口50万人程度の中小都市。中華人民共和国設立後は省都の座もお隣の鄭州に奪われ、地方都市の一つに成り下がってしまった。そこでなんとか盛り返しを図ろうと、古都の名前を活かして観光都市としての再生を図っている最中にあるようだ。



文明市民は赤信号を渡らないよとの看板の直ぐ横を信号無視する非文明市民多数で、民度の低さをまざまざと見せつけられた。多分、赤信号に対して罰金を課すようにするくらい強気に出ないと効果は上がらないんだろうな。


鼓楼から清明上河園を目指して歩いていると、ちょうど宋都御街に行き当たった。北宋時代、北の皇居の宣徳門から外城の南熏門までの5Km余りに栄えた御街を模倣して造られた商店街ということらしい。こういった模倣物ばかりなのが残念なところなんだけど、黄河の洪水が頻発してきた当地では、街が栄えては洪水で埋もれるというサイクルを繰り返してきたようで、過去に築かれた歴代王朝は全て今の町の地下に地層となって埋もれているのだと。


ひだり みぎ
ひだり みぎ
現在の宋都御街は全長400m程で、通りの両側には土産物・骨董品・絵画・刺繍品なんかを取り扱う合計50程の楼閣店舗が軒を連ねている。屋号も宋時代の文献通りに書かれている程の拘りようなんだけど、道幅広く自動車が行き交っているからか、歴史街と言われてもどうもしっくりこないところがある。


樊楼も史書に基づき忠実に再建されたもので、東・西・南・北・中の5つの3層の楼閣から成り、それぞれの楼閣が飛橋で繋がっている豪華な造り。

宋都御街の北端には宋・金代の皇帝の御苑で明代の周王府の跡地に建てられた龍亭公園の入口となる午門と湖とが見える。地図を見ると、龍亭公園・天波楊府・中国翰園・清明上河園と王府跡地内で繋がっているようだ。

ひだり みぎ
湖と園林の景観が美しく、龍亭公園は中国の百家名園の一つとされているそうだ。はっきり言ってただの公園なんだけど、驚くべきは、湖の下6メートル程に明の周王府が、10数メートル更に深い所には北宋の紫禁城が埋没されているという事実。観光都市として巻き返したいのなら、こんな宋代の再現アミューズメントパークなんか作ってないで歴代王朝の都を掘り起こした方が…と思わざるを得ないのだが、何かしら採掘できない事情があるのだろう。

入場料50元を支払って園内へ。

ひだり みぎ
入口の門を入り、左右に広がる楊家湖と潘家湖という人造湖の間の道を歩いて行くのだが、この湖に纏わるストーリーが面白い。なんでも、宋の開国当初に活躍した楊業と潘仁美という二名の官吏に由来する湖なんだそうだが、公園の西側に広がる楊家湖は水がきれいで東側の潘家湖は汚く濁っているのである。まぁ平たくいえば、楊業は実績十分で公明であり、潘仁美は卑怯下劣で汚い男だった、ということらしい。

中門を抜けた先には、高く積み上げられた煉瓦の台の上に黄金色の瑠璃瓦屋根が眩しい龍亭宮殿、通称・万寿宮大殿が建てられている。煉瓦の台の高さは13mで、72段の階段を上って上部からの景色を楽しむことができる。

ひだり みぎ

周囲を囲む2つの湖や宋都御街や清明上河園などが見渡せる。


万寿宮大殿の中には当時の皇帝の玉座が再現されている。


続いて、先述の楊業の邸を再現したという天波楊府へ。別にここに来たかったという訳ではないのだが、龍亭で迷ってしまって、気付いたら龍亭公園の中にある天波楊府に彷徨いこんでしまったというわけ。入場料30元。


楊業氏?

ひだり みぎ
楊一族の屋敷と言われても、自分には知識が無いので、龍亭公園と同じくただのだだっ広い公園にしか映らない。


正直、楊一族に思い入れの無い一介の外国人観光客には、こんなんで金を取るんか?という内容。美しい公園程度に考えた方が良いだろう。


この日も36℃のカンカン照り。あー、暑いわー日陰に入りたいーと思っていた自分の前をバンドで日傘をおでこに固定して颯爽と歩き去るオッサン。必要は発明の母なり。なんか最後に中国の強さを見せつけられた気がしたね。

…謎の公園に時間をかけすぎたばっかりに結局ここでタイムオーバー。清明上河園を見ずして開封を後にする。

【鼓楼・清明上河園・龍亭公園】



Booking.com

報告する

関連記事一覧

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。