シー・サッチャナーライの遺跡は城壁内外の広範囲に点在しているので全ての遺跡を見て回るにはトゥクトゥクやバイクが必要となってくるが、城壁内は遺跡が集中してるのでギリギリ歩いても周れそうな規模感である。
一応20バーツで園内バスに乗って楽することもできるけど、遺跡内の雰囲気を楽しむ為に自分の足で歩いて見て回ることに。
枯葉で覆われた鬱蒼とした林の中に古代の井戸やら建物の跡が残っているが、いずれも名前すらないマイナー寺院のようである。タイの遺跡は圧倒的にレンガ造りが多いので崩壊が激しいが、石造りのアンコール遺跡と比べてそのぶん廃墟感が増す。
鬱蒼と生い茂る森の中に細々とした名も無き遺跡が続く中、漸く本格的な遺跡が顔を出す。シー・サッチャナーライの中心的寺院であるワット・チェディ・チェットテーオである。
南東の正門から中央のチェディへ向かう参道の両側に塔やら柱やらが立ち並んでいて壮観だ。
スコータイ独特の蓮の蕾を模した仏塔を中心に、ヒンドゥー教や各仏教など、この地を支配した各王朝の遍歴を示すように様々な様式を取り入れた大小33基の仏塔が残っている。
復元図。中央の塔の前にあった礼拝堂は木造だったのか殆ど全て朽ち果ててしまっていて、境内には多数の仏塔が残されるのみとなっている。これらの仏塔の大半は14世紀、ラームカムヘーン大王の孫でありスコータイ王朝6代目リタイ王の統治下で建造されたらしい。リタイ王は自らも出家経験があり、セイロン島から高僧を招聘するなど深く仏教に帰依した人物だ。
西側正面から見ると、やはり中央に立つスコータイ様式の仏塔とその前に立つ南部タイ様式の仏塔が特に目につく。
その中でも特徴的なのが、手前の仏塔に安置されたインド神話の蛇神・ナーガの上で瞑想する仏像。背光の代わりにナーガを置いた仏像は東南アジアでも見かけるが、仏が座る台座までがとぐろを巻いたナーガというのは非常に珍しい。
まだまだ修復待ちの瓦礫の山があったりと、何ともワイルドな遺跡である。
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