砂漠地帯の中の動植物の楽園・ Wadi Darbatでラクダと戯れた後は、海岸沿いまで下ってイワシ漁で栄えるタカ(Taqah)の町を見て周ることに。
じゃじゃーん。
遠くインド洋に広がる地平線まで見渡せる岩崖ビューポイントに到達。
アラビア海の海岸線に沿って広がるタカは、ドファール地方で三番目に大きな町というよりは静けさ残る海辺の村落といったほうがしっくりくる本当に小さな小さな漁村。家の色は全て爽やかな白やベージュ色で統一されているのだが、これは後に首都マスカットで出会った大学生の話に拠ると、暑さ対策で基本的には家屋の色は白やベージュ系にするよう義務付けられてるんだと。家のデザインなんかも事前申請制で認可が下りてからの着工になるんだと。行政区域ごとに運用が異なるのかもしれないけど。
サラーラから東に30キロの海岸沿いに栄える漁村・Taqah。高台から眺めるアラビア海の絶景、ドルフィン・タートルウォッチング、小さなフィッシュマーケットが主な村の見所になるが、ビーチが見渡せる小丘に建つタカ城も村の簡単な歴史や文化に纏わる説明が受けられ中々楽しめる pic.twitter.com/0RP9QfntI4
— ポンズ (@Worldtravelog) 2018年1月1日
延々と見渡す限り続くエメラルドブルーの海面に浮かぶ白い点は観光客を乗せたドルフィンウォッチング用の船舶。ドルフィンウォッチングやシュノーケリング、スキューバダイビング、水上スキーといったマリンアクティビティが楽しめるのもサラーラの魅力である。あぁ、あと季節によったらウミガメも見れるとか言ってたな。
絶壁からのプレミアムビューを堪能した後は、白い家屋が立ち並ぶタカ市内へと入っていく。
家屋についても色だけではなく高さや設計面での取り決めも設けられているようで、家々の一戸一戸がなんともエキゾチックな雰囲気を醸し出している。ドバイやアブダビといった進化し続けるUAEの未来都市と比べると、マーンの街並みには古き良きアラブのおっとりとした雰囲気がたっぷりと残す“エッセンス・オブ・アラビア(アラビアの真髄)”などと評価されるのも頷ける。
インドや中東でよく見かけるハイパーマーケット。ハイパーと名乗るからにはちょっと大きかったりハイエンドな品揃えを誇ってたりとスーパーマーケットに対して何かしらの優位性があるのかとも思ったが、ことオマーンに於いてはハイパーだからといって決してスーパーマーケットの上位互換版マーケットという訳ではなさそうだ。あと、派生語としてコマーシャルマーケットというのもオマーンではよく見かけたかな。この微妙な言葉の違いについてはオマーン人運転手もよく分かっていなかったというか気にしたことがなかったらしい。
市街地を抜けると、高台に砂の城的な要塞が見えてきた。これがタカ・フォートということだ。
この建物、実はめちゃくちゃ由緒正しき建築物で、現オマーン国王 兼 首相 兼 国防相 兼 外相兼 財務相のカーブース=ビン=サイードの両親の為の私邸として19世紀に建てられたそうだ。カーブース=ビン=サイードが王座に就いてからはワーリー(Wali)とよばれる地域行政長官用の公邸として利用され、1994年には郷土博物館として一般開放されている。
妙に小さい入り口から中へ。
全て地元タカ産の石灰石を使って建てられたアラブイスラム様式の邸宅。なんか子供の時に見たのび太とアラビアンナイトにもこんな建物出てきた気がするわ。これでもかってくらい素人が想像するアラブな要塞要素に満ち溢れた建物だ。
良い感じの中庭。護衛が四隅に建てられた見張塔から監視できるようと高い塀に囲まれた天井のない刑務所を兼ねていたそうだ。
これが刑務所なんだけど…地域行政長官危さぁ、こんなところに罪人と一緒に住み込むとかリスク管理能力無さすぎだろw
他にも複雑に入り組んだ迷路のような内部に幾つもの小部屋があり、それぞれが展示室のようになっている。
派手な嗜好が施されたベッドルーム。蚊帳やクッションの趣味が中東人っぽくないというか…ちょっとネパールっぽさを感じる。
現国王。彼の写真や肖像画は町中の至る所に掲げられている。
現在の平和そのものの穏やかなオマーンからは想像もつかない話だが、オマーンはつい50年ちょい前の1960年代まで各部族ごとに土地や財産を奪い合う戦国時代で無政府状態が続いていたのだと。そんな無政府状態の戦国時代を終わらせたのが、現国王のカーブース・ビン・サイード。クーデターにより父王を追放後に自身が国王に即位するなりイスラム的伝統を堅持しつつ近代化政策を強固に押し進め、今日の平和で豊かなオマーンを作り上げたのだと。そりゃあさぞ国民に愛されているのでしょう…とは思うのだが、町の至る所に彼の写真を見ることができるし、オマーンで使われているお札の全てに国王の顔が印刷されてるいるのはちょっとやり過ぎ感というか違和感を覚えてくる。オマーン国王 兼 首相 兼 国防相 兼 外相兼 財務相って全権力が一人の人間に集中しすぎてて独裁国家さながらだし…まぁ中東の国なんてどこも似たり寄ったりなのかな。
あとは貯蔵室だったり調理場だったり。武器や燃料になる木材やナツメヤシ等の保存食が大量に貯蔵されていたという。
港町だけあって漁具の展示も豊富。まぁ城砦の中の郷土博物館みたいなもんだな。
海岸線には他にも似たような漁村がチラホラあって、もう少し東に進めばマルバート(Marbat)という町もあるのだけれど、運転手曰くタカもマルバートも似たようなものなので、余程時間を持て余しているといった事情がない限りはどちらか一か所だけ見れば良いっしょとのことだった。ということでこれにてサラーラの東側の探索を終え、午後からはサラーラの西側からイエメンとの国境方面に広がる見所を巡っていく。
【タカ(Taqah)】
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