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サラーラのアルバリード遺跡と乳香博物館


二日間のサラーラ観光を終え、いよいよ運転手のSuhail氏とお別れする時間がやってきた。

イエメン国境近くからサラーラへの帰路、記念品を渡しそびれたので…という理由から途中で近くの砂漠に立ち寄ることに。なんで記念品の為に砂漠に行くのか理解できなかったが…砂漠の中で車を停め何やら地面をあちこち探し出すSuhail氏。



あったぞ!と氏が拾い上げたのがこちらの石。本当に笑っちゃうくらいラクダの糞にまみれてた石なんだけど、内部が晶洞になっていて、地下水のミネラル分などの作用で石英のようにピカピカとした結晶が形成されている。そこら中に落ちてる糞まみれで無料の代物だが、こういった心遣いは嬉しいじゃないですか。糞も乾ききってるから気にならないだろう、人糞じゃないしって。流石にホテルに着くなり一番に石鹸で手を洗いましたがw


ありがとうミスターSuhail!と固い握手を交わしてホテル横にあるアル・バリード博物館にて今生の別れ。

ということで、ここからは少し寂しいが一人でアル・バリード遺跡を見学することに。
アル・バリードは、世界遺産に登録された「乳香の道」を形成する古代遺跡の一つ。先に訪れたホールルーリのサンフラム遺跡と同じく乳香の積み出し港として栄えた街で、4世紀頃には世界貿易において重要な役割を果たし、乳香貿易が盛んだった東アフリカ・中国・インド・ヨーロッパの諸国と取引関係にあったとされている。各国の王が神の領域との交信を図る為に焚香を捧げてたような古代世界に於いては祭式の香が採れるオマーンは富める強国だったんだろうな。

入場料はアルバリード遺跡がOR4、隣接する乳香博物館がOR2の合計OR6(≒1,800円)とまぁまぁの値段。オマーン人向け価格も存在しているようなので、Suhail氏にチケットを代行購入頂いてから別れれば良かったと、分かれて僅か2分でSuhail氏との別れを後悔することに。

乳香博物館

先ずは入り口脇にある乳香博物館へ。
乳香の原料であるフランキンセンスという樹木は数千年も前からサラーラ一帯をふくむドファール地域に自生しており、フランキンセンスの樹から採取される乳香は金と同価格程度の値で世界各国に輸出されていたこともあったそうだ。言わば古代のオイルっすな、そりゃあ当時のオマーンは乳香バブルで潤ってただろうし、その乳香貿易の中心地である積み出し港の跡にいま自分が立っていると考えとロマンに胸が高鳴ってくる。
ひだり みぎ
博物館はヒストリーコーナーとマリーナコーナーで構成されていて、乳香や乳香の交易に関して学ぶことができる。ただ、軍人なのか軍人コスプレが好きな博物館職員か知らないが、すっごい厳つい顔して訪問客一人一人の一挙手一投足に目を光らせる男がいて居心地が悪かった。写真撮影はもちろん、メモを取っていても怒られたからな。大した内容の博物館とは思えんのだが。ネット規制を敷いたり国王への不敬罪もあったりと、オマーンに居るとなんかすっごい管理社会のように思える時がある。町中に国王の写真が掲げられてるのも気味が悪いし…なんて言ったら当局にフランキンセンスの枝で致命傷を負うまでチクチクやられそうなんでこれ以上の文句は止めておく。

ひだり みぎ


博物館の裏手にはアラビア海の入り江が広がっている。当時は内陸部までラグーンが巡らされ、乳香やアラブ馬の積み出しに利用されていたそうだ。

ここからは海岸沿いに広がる巨大なアル・バリード遺跡群を歩いて周る。

アル・バリード遺跡

ひだり みぎ
アルバリード遺跡は完全には発掘調査が完了しているわけじゃないようだ。既に発掘された石積み建造物の下層部には更に後世の遺跡が埋もれていることも分かっているらしいので、更なる調査と発掘が期待される。

現時点までで発掘されている遺跡の大部分は9世紀~10世紀のものであるが、町の歴史は大変に古く、出土した陶器やコインなどの研究調査から、紀元前1,300年頃には初期の文明社会がこの場で始まっていたと考えられている。

ひだり みぎ

城壁内部の面積は東京ドーム約13個分に相当する64ヘクタール。当時にしては相当に大きな都市であったようで…灼熱の太陽の下を歩いて見回るのはだいぶキツイ。


前方の段差のある石積みの遺構はお城かなーと思いきや、人の集合住宅であったと推測されているそうだ。2000年の発掘活動で掘り起こされ、井戸や放牧用エリア、農地跡なんかも発見されている。


こちらは数世紀に渡って建てられたとされるモスク跡。一番古い層で西暦850年程のものらしい。

ひだり みぎ

144本もの石柱に支えられていて、さながら砂のパルテノン神殿といった雰囲気だが、メッカの方向に向け設けられた半円形のミフラーブがあることからモスクと推定される。

基本的には土漠の中に石積みの遺跡がある程度のものなんだが、「乳香の土地」で世界遺産登録されている事情もあってなのか、敷地内には幾本かの乳香の木も申し訳程度に植えられている。この木の幹から出る木の樹液を固めたものが乳香になるのだが、ドファール地域でも海岸から80kmまでのエリアでしか乳香の木は育たないのだそうだ。
ひだり みぎ
これらの樹木の樹皮に鋭利なナイフで傷をつけると樹脂が分泌されるのだが、この樹脂は空気に触れ時間をかけるとゴムのように固化していく。1-2週間かけて涙滴状の塊となったものを焚いて香としたり、他のエッセンスと調合して香水として利用するようだ。乳香の樹脂は質によって4つの等級に分けられるのだが、基本的には老木の方が良質な樹脂を採取できるらしいが、乱獲や害虫被害により絶滅待ったなしコースを辿ってしまっているようである。そりゃあオマーンさん、今や新たな金の生る木としてオイルを見つけちゃったからな。

これにてサラーラの観光は終了。明日早朝便で陽が出る前に首都マスカットへと移動して、明日・明後日はマスカットに滞在して周辺の見所を周る。

【アルバリード遺跡と乳香博物館】

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