旧市街の迷路地獄からも抜け出せたことだし、続いてはぶらぶらとカサブランカの新市街を歩いてみることにします。
モロッコ最大の都市ということだけあって、高層ビルが立ち並ぶ幹線道路は渋滞とクラクションの雨嵐がエグいことエグいこと。また、クラクションだけでなく、ウインカーも出さずに無理に車線変更してはトラブって大声で罵り合ったりと、結構なカオスっぷりです。映画カサブランカによる影響もあってロマンチックでノスタルジックな雰囲気を想像していましたが、全くもってそんな優雅な雰囲気はありませんね。
そんなカオスな交通状況を横目に歩いていると、大通り沿いのレストランの中からスパイスの効いたエキゾチックな香りがしてきました。
1980年創業の老舗モロッコ料理屋 Restaurant Des Fleurs。くっそ上品なフランス訛りの英語を話すウェイターのムッシュは蝶ネクタイまでしちゃって、いかにも高級店といった風格が漂います。くっ、チープでカジュアルな装いの外のテラス席は罠だったか…
法外な金額を請求されたらどうしようと思いつつも、恐る恐る、ムッシュのお勧めモロッコ料理コースをオーダー。すると、15分ほどでカラフルでインスタ映えするチキンクスクスとモロッコサラダがやってきて、4人洋のテーブルを覆いつくしました。なんか多くね?美味いから良いけど。
エキゾチシズム全開のモロッコ飯、ほんとウマイヤ朝ですわ。付け合わせでパンやらオリーブやらスープやらがモリモリっとついてきましたが、それでもモロッコワイン1杯と合わせて込々で2,000円弱。ナイスチョイスをありがとう、ムッシュ。
続いてはマルシェセントラルこと中央市場へ。土産物でもあるかなーと思って足を運んだのですが、“昔ながらのカサブランカの台所”という機能の市場だったようで、中は食材を扱う商店やローカル飯屋がメイン。土産物はポスターや陶器がちょこちょこっと売られてるくらいでした。
排泄物の匂いがキツくて近寄り難い中央市場の門を入ると、中から地底を揺るがすような低い声の雄叫びが聞こえてくる…これ、やばいやつ?用心しながら中へと入ってみると、どっかのサッカーの試合が開催されていたらしくてお祭り騒ぎ。ゴールが入ったら騒ぐとかじゃなく、中盤でパスカットしたりスローインがマイボールになったくらいのことで宝くじが当たったくらいの騒ぎ方しますからねw 一喜一憂が一々激しすぎて、何故か部外者のワイまでどんちゃん騒ぎに巻き込まれて揉みくちゃにされるしw
で、気づいたら見知らぬ男にブラザー呼ばわりされてまして、「ブラザー、俺らのチームが勝ってるから俺の店に来い!俺らは常にベストプライスだから安心だ!」と腕を掴まれ彼の店まで連行されるという意味の分からない流れに。
本日のお勧めは採れたて牡蠣とマテ貝さ!旬だよ~と誇らしげに食材をPRするブラザー。これで一個10ディルハム(≒105円)は確かに安い…が、さっきエキゾチシズムに溺れ死にするくらいエキゾチックなモロッコ料理を食べ倒したんで、もうお腹いっぱいっすわ。
ここまで3分くらい終始腕を掴まれたままでしたが、満腹である旨を伝えると、あっさり解放してくれました。あれ?世界三大ウザい国なのに、あっさり引き下がっちゃってなんだか拍子抜けだな~。
結局、市場では土産物は見つからず、掴まれた腕に付いた指の痕くらいしか得るものがありませんでした。
気を取り直して町の中心であるムハンマド5世広場へと向かってみます。
中央市場からムハンマド5世広場に向かう一帯のエリアは、フランス統治時代に建てられたのであろう洋風な邸宅や商店が立ち並びます。高層ビル街がありーの、庶民の暮らしが垣間見れる旧市街がありーの、モスクがありーの、ビーチリゾートがありーの、ヨーロッパ風の街並みがありーのと、中々多様な都市っすね。
そんな洋風街の中心にあるのが、フランスからの独立を勝ち取った英雄ムハンマド5世の名前を冠したムハンマド5世広場。周囲を市庁舎、裁判所、郵便局などが取り囲む官庁街の中の中央広場的な場所のようで、ちょっとした市民の憩いの場になっているようでした。沢山の家族連れと、その家族連れを狙ったコスプレした鳩の餌やりおじさんと水売りおじさんで賑わってます。
と、ここまではまぁ普通のほのぼのとした広場なんですがね。ただ、ここはなんといっても世界三大ウザい国。観光客が写真を撮っていようものなら、ウザいコスプレおじさんたちが黙ってはおりません。ここは彼らの縄張りなのです。
早速、水売りオジサンがちょっかいを出してきます。
水:おっ、写真撮ったな?
私:いや、あんたの写真じゃなくて公園の写真を撮ったんす。
水:どれ、見せてみろ。
私:ほら。広場の写真ですよ。
水:おう、私がここに映ってるじゃないか。撮影料50ディナール。
私:端っこに少しフレームインしてるだけじゃないっすか。
水:私の存在が写真の見栄えを良くしている。
私:じゃあこの写真を消して公園の写真を取り直します。あっ、ほら、あっちに水欲しそうな潜在顧客があっちにいますよ。本業の方で頑張って!
水:ぐぬぬ…
あれ、ここもあっさり退いた。もマラケシュやフェズといった観光地じゃないからか、世界三大ウザい国という割には皆さん戦闘力と根性は低めっすね。
Related posts(関連記事):
しばしば観光資源の無い退屈な大都市とこき下ろされるモロッコ最大の都市カサブランカですが、見所が全くもって無いというわけではありません。 これぞカサブランカ!という観光名所もありまして、それが、世界で7番目に大きなモスクであり、世界最高のミナレットを持つというハッサン2世モスク。あー、なんだ、またモスクか…そう思ってしまいそうなところですが、せっかくなのでアッラーへのご挨拶も兼ねハッサン2世モ...
遂にやってきましたモロッコの空の玄関口・カサブランカ ムハンマド5世国際空港。ここはぱぱっと入国して宿泊先へと向かいたいところですが… イミグレーション混んでるなー。単純に入国者の人数が多いというよりも、窓口の数が少ない&審査官がちんたらと非効率に作業しているので列の消化が悪すぎる。そもそもモロッコに入国する外国人がこれだけいるというのにも驚きだし。 結局、50分ほどかかってワイの...
さあ、いよいよポルトガルを離れてる時がやってきました。TAPポルトガルエクスプレスのフライトでモロッコのカサブランカへと移動します。 カサブランカまではジブラルタル海峡越えのショートフライト。イベリア半島とアフリカ大陸ってほんと目と鼻の先というくらいの距離なんすね。 アフリカ大陸に上陸した後は、モロッコ→チュニジア→エジプトとアフリカ初心者向けイージーコースを周った後、カイロ発券の...
マラケシュやフェズといった世界遺産都市や西海岸のリゾート地と比べると観光的には冴えないカサブランカ。見どころ無き殺風景な大都市と評判で、モロッコの空の玄関口だというのに旅行者の皆様からはスルーされがちな存在感の無い町なのですが… 何に刷り込まれたのか分かりませんが、なんか自分はカサブランカという町の名前の響きに、ある種の幻想みたいなものを抱えてたんすよね。前世モロッコ人だった疑惑が出るくらい...