ブハラでは初日から思いっきり飛ばして旧市街地の見所を全制覇。
そして2日目。この日は町の郊外にある“ブハラ王の夏の離宮”ことスィトライ・マヒ・ホサ宮殿と“死者の都”ことチョルバクルという観光地を周ってからサマルカンドへと向かうことに。
ローカルバスを乗り継いでも行けるみたいだけど、観光に充てられる時間を最大化したかったので、そこらへんに屯していた野生のウズベク爺さん数人と交渉。観光地2カ所+ブハラ鉄道駅の3か所を巡って90,000ソム(≒1,150円)と最安値を提示してくれたおっさんにお願いすることに。相場は分からぬが、ブハラからサマルカンドの鉄道乗車券が56,700ソムということを考えれば、もう少し交渉できたかもしれんな。
スィトライ・マヒ・ホサ宮殿
ブハラ旧市街地から白タクで20分ほど走り、こじんまりとしたゲートの前で降ろされた。王の離宮にしては地味だけど、これが宮殿へと続くエントランスゲートらしい。
ブハラの旧市街地にはシャイバーニー朝時代からの遺構が多く残されているけれど、この宮殿は比較的最近の1911年完成のもの。シャイバーニー朝を起源として興ったブハラハン王国の最後の君主・アーリムハーン王により建てられた。シルクロードの悠久の歴史を感じるというよりも、ブハラ王の贅沢な暮らしっぷりを目の当たりにして嫉妬するような場所のようである。
それにしても、なんでこんな辺鄙で何もないところに宮殿を建てたのだろうと疑問に思ったのだが、君主なりの独自理論に基づき当地を選定したそうだ。
先ず、多くの羊を放し飼いにして生育状況を観察。ひたすら観察。そして一定の期間が過ぎた後、羊の生育状況を比較。最も肥えた羊が育った土地の居住環境が最も優れているとして、丸々と太ったヒツジが住み着いた当地に宮殿を建てることにしたのだと。うーん、このガバガバ理論…。理論というか、動物占いみたいなもんすね。
こちらが動物占いで宮殿の場所を決定されたアーリムさんのご尊顔。
画像参照元:ウィキペディア アーリムハーン
ちなこのアーリムさん、宮殿の建築様式にも強いこだわりを見せ、自らが心酔するロシアの建築様式をブハラの建築様式と融合させて個性的な宮殿を建てたそうだ。伝統的なウズベキスタンの建築様式とロシア帝国の建築様式とか、相性はすこぶる悪そうな感じがするけどどうなんだろう。
ゲートをくぐると、直ぐに見えてきたこちらの建物。広場を囲うように建つ爽やかな白亜の建物がアーリムさんの夏の離宮になる。
可愛い模様で彩られたオフホワイトの壁にバステルブルーのハート形の窓が可愛らしいこちらの離宮、“月と星の宮殿“とも呼ばれているらしい。パッと見た感じは厳つさ満点のアーリム氏だが、意外とチャーミングなロマンティストだったのかしれない。
中には部屋ごとにアーリム氏の私的コレクションの数々が並べられているのだが、内装のセンスがエキゾチックで凄い。東西の要素がごちゃ混ぜになっていているようで統一感が無く、この中にいるだけで眩暈がしてくるような。
これみよがしに展示された壺とか皿とかといった君主自慢の陶磁器コレクション。また、イタリア製の鏡やポーランド製クリスタル、オーストリア製ランプなど、世界中から気に入った選りすぐった調度品も当時のままの状態で保存されている。
宮殿だけでも王の豪奢な生活の様子が伝わってくるのだが、アーリム氏の贅沢の極めつけはこちらの建物。
こちらの建物は一見ありきたりの住居のようだけど、なんとハーレムの館だったそう。30人前後の側室を住まわせてブイブイ言わせていたようだ。
ハーレムの横には見張り台のような建物と池があるのだが、この池で美女軍団に水遊びをさせ、王はこの台の上から夜の相手となる女性の品定めしていたのだと。
ただ女性を選ぶのも面白くないと考えたのか。テラスから相手を定めてリンゴを投げ込み、リンゴを拾った女性に夜の相手を務めさせていたらしい。微妙にこのリンゴ下衆野郎の投球コントロールが試されるようなルールでウケるわ。コントロールミスで間違って違う奴が拾ったらガチ切れたのかな。
さぞかし優雅な夏の楽園だったのでしょうね。水遊びに興じる美女軍団にハーレムに、と…。ワシも来世あたりはどこかの王様でお願いできませんかね。
【スィトライ・マヒ・ホサ宮殿】
君主の性の館の見学を見終え、この世の楽園から死者の都へと移動する。
死者の都“チョルバクル”
夏の離宮から再び車を走らせて、30分ほどしたところで到着した。
死者の都へと続く道。RPGの砂漠ダンジョンで突き当りに土偶戦士みたいな土属性のボスが待ち構えてる感ある。
死者の都の中心地と思われる広場に出たのだが、一切誰もいなくて静まりかえってる。なんだこれは。チンギスハンに壊滅させられたままの町とか、そういうコンセプトの村?死者の都とかいうから、マイケルジャクソンのスリラー的な感じを予想してたんだけど。
いや、これ墓っすね。なんでも、10世紀頃からある廟群で、預言者ムハンマド一族が葬られたいう伝承から規模が大きくなっていって、16世紀にはモスクやメドレセなんかも敷地内に作られていって町かのように発展していったそうな。こりゃあ確かに死者の都ですわ。
静寂に包まれた厳かな雰囲気なんだけど、そんな中、突如として男衆の地鳴りのような低い唸り声があがってきた。イベント発生、土偶戦士出現か。
モスクから唸り声が聞こえたので中を覗いてみると、男が寄り添いあって一心不乱に別世界との交信の儀式(?)を執り行っていた。
なんか、マザー2に出てくるような気味の悪さとワクワクドキドキ感が混じり合った独特の世界観が味わえる場所っす。廟なんで面白いアトラクションや観光コンテンツが楽しめるという訳ではなく、独特の世界観を楽しみに行く場所っすね。
【チョルバクル】
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