鎮墓獣・唐三彩の宝庫 洛陽博物館 洛陽・鄭州・開封旅行2

灼熱の洛陽に降り立って直ぐ、先ずはホテルに向かう前に空港からの移動途中にある洛陽博物館を目指す。

この日は端午節初日。白タク運転手も気合が入っているのだろう。自分が乗客の中で一番に空港を出たということもあるのだろう、空港を出るなり「ヘイ兄ちゃん!市内のどこに向かうんだい!道中工事で道が閉鎖されてるので迂回が必要だけど、100元で行くよ!今直ぐ出発だ!」と威勢の良い客引きに囲まれる。

事前に地図で確認したところ、洛陽北郊空港と市街地との距離は僅か10キロ程、これを100元で走るとか馬鹿げてる。シカトを続けて市街地行きの83路バスの方向へと歩を進めるにつれ、言い値がみるみるうちに下がっていったので、最後まで食いついて追いかけてきたオヤジに「洛陽博物館まで20元でどう?」と聞いてみたら、額を手でポーンと叩いて絵に描いたような「アイヤー」を頂き、「渋滞で大変なんだ。30元にしてくれよ」と。さっき100元と威勢よくほざいてたのは何なんだと突っ込みたくなるところだが、こちらとしても限りある観光の時間をバスの出発待ちで浪費したくはないということで、30元で手を打った。ウィンウィンの商談成立だ。

と思ったらエンジンをかけたのに出発せず、私に続いて空港から出てくる客に次々と声をかけるオヤジ。私が値切った分を相乗りにして補填しようとしてるらしく、今度は「50元で今すぐ出発だ!」と高らかに叫び声をあげている。で、案の定、値引き交渉を喰らってもう一人の乗客も30元で交渉成立。幸いにして交渉が直ぐに纏まったので時間のロスは殆どなく出発することができた。
ひだり みぎ
どうやら工事中につき迂回しなければいけないのは本当らしく、空港から少々遠回りをしながら20分で着いたのがこちら。2011年に新規オープンした参観無料の洛陽博物館、無料の割には西安の大明宮のような立派な建物が建っている。



中央が広い吹き抜けで、1階2階の周りが展示室になっている。
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古くから中国歴代王朝の都として栄えて古都洛陽の周辺には、二里頭遺跡という旧石器時代の遺跡や漢魏代の城壁なども今尚遺っている…というアピールの展示が吹き抜け部分にあり、ここから四周に展開した展示スペースへと進んでいくことになる。

洛陽近隣から出土した文物が約800点、先史時代の出土品から年代順に展示されている。
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北京原人より古い藍田原人の頭蓋骨や更新世の淮河古菱齒象という像の一種の化石から始まる中原の歴史の旅。

紀元前3000年頃-紀元前2000年頃に黄河中流から下流にかけて花開いた龍山文化期からの陶器の発展の歴史を追っていく。
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左が黒陶文化とも呼ばれる龍山文化期の豆型器で、右は夏代の陶鼎。龍山文化後期には青銅器も出現しており、中国最古の王朝であると考えられている夏代(紀元前1900年頃-紀元前1600年頃)は青銅器時代に入る過渡期であったと考えられている。


商代には形状が複雑化。

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西周の代には青銅器は単なる酒器や食器ではなく宗教的儀礼のための祭器としても作られており、器の所有者の地位や権威を象徴する政治的・社会的意味も担っていった。


春秋戦国時代に鉄器時代に入ったとみなされているが、青銅製の器物はその後も秦・漢時代までは引き続き製作されていく。

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東漢時代。日本では劉邦の前漢、劉秀の後漢と分けて呼ぶが、中国では都の位置で分けていて、長安が都の漢を西漢、洛陽が都の漢を東漢と分けて呼ぶ。

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魏晋南北朝時代には匈奴ら南下した牧畜民が中心となった国が興亡。その関係から明らかに漢族には見受けられない風貌の人物像も増えてくる。尚、ワイが学生時代の世界史で習った五胡十六国時代は胡の字が異民族に対する差別的な意味合いがあるということで、それに代わって東晋十六国の名称が普及し始めているそうだ。こんなところにもポリティカルコレクトネス。

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隋唐時代にはおなじみ唐三彩の芸術文化が花開く。王侯貴族の美術品や副葬品として作られた人物やラクダ・犬や壷などの焼物で、緑・褐色・黄色などで鮮やかな彩色が施されているのが特徴だ。

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墓に遺体と一緒に埋葬される鎮墓獣のコレクションも充実。春秋戦国時代から唐代にかけて悪霊から墓を護る目的で多種多様な鎮墓獣が作られていたそうだ。これ、お土産で売ってたら買ったんだけど。

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人とも野獣とも思えない珍獣の数々がこれでもかと並ぶ。いかにもキメラよろしくラリホーの術を唱えてきそう。

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強そうな胡人と駱駝の上で疲れ切った漢族の文官。

唐代といえばシルクロード。シルクロードと言えば西安。世界遺産として認められているシルクロードは西安以西なんだけど、実はシルクロードの起点は洛陽!みたいな感じでシルクロードアピールをしたような展示も多い。

シルクロードの東の起点たる洛陽には西方から多くの胡人がやってきましたよ。


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胡人の皆様、めっちゃ強そう。


駱駝も活き活き!


因みにシルクロードの東端=洛陽説は洛陽市政府によるでっち上げでもなんでもなく、中国国家観光局お墨付きの歴史的事実であり、公式にシルクロード起点を示した碑石が洛陽市郊外に建てられたそうだw。中国人同士のドメスティックな舞台でもこんな争いが繰り広げられてるんだなwそれでも世界遺産的には西安が起点と考えられてますし、圧倒的大多数の人間はシルクロード=西安という認識でいるままだと思う。頑張れ洛陽市政府観光局!


石像コーナー。

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元代と明代の石翁仲。ここまでの時代になると、遺物の保存状態は頗る良い。

巨大且つ近代的な展示スペースはゆったりとしていて素晴らしいのだが、展示品が陶器ばかりだったので少しばかりがっかりしたかな。洛陽博物館というよりも、洛陽陶器博物館と名称を変更した方がしっくりくる。

【洛陽博物館】

住所:河南省洛陽市中州中路298号
営業時間:08:00-17:00(夏季は17:30まで)
入場料:無料


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