メコンデルタの玄関口・ミトーの街とカオダイ教ミトー支部

標高5,200mのチベット高原を水源に、中国雲南省、そしてミャンマー・ラオス、タイ・カンボジアを経由して約4千Kmの旅をする超大河のメコン川は、旅の最後にベトナム南部のメコンデルタ地帯へと豊かな水の恵みを運び、南シナ海へと注ぎ出る。その旅の終着地点のちょい手前にミトーという町がある。マンゴーや竜眼、ランブータンなど豊富な果物の名産地として名を馳せる小都市で、ミトーメコン川のリバークルーズも楽しめる観光地だ。モーター付きの木造船に乗り込み、川幅3Kmにも及ぶ大河の両岸にどこまで続く原生林を眺めながら、茶色く濁ったメコンの雄大な流れの中を行く。川の流れに身を任せ、のんびりと心地の良い川風に吹かれながら時折すれ違う貨物船や果物を満載した小舟、黙々と網を打つ漁師たちを見やっているだけでも大自然とその中で生きる人々の生活を感じることができるのだ。

これがベトナム旅行の鉄板コースの一つ、メコンデルタのクルージングツアー。かれこれベトナムには50回以上来ているが、メコンデルタには一度も行ったことがないことに今さら気づき、雨季ではあるが思い付きに任せてミトーの街へと日帰りで行ってみることにした。


こんな感じのツアーが楽しめる。


ミトーはホーチミン市から国道一号線を一路南西へ90分ほど車で走ったところにあるメコンデルタの玄関口だ。ホーチミン市からも近いことから、日帰りでも楽しめる1日メコンデルタツアーが人気のようだ。ホーチミンでツアーを申し込むと英語のみで$7、日本語ガイド付きで$17が相場とのことだが、今回は自由気ままな探索を楽しみたいので自分の足でミトーまで向かう事にした。ミトー市内を探索した後は船を貸し切ってミトーが誇る奇天烈宗教・ココナッツ教の総本山がある島に行ってみたい。


ホーチミン市街からミトー行きの直通バスは出ていないので、一旦ベンタイン市場前のローカルバスターミナルから2番もしくは39番のバスで40分かけミエンタイ・バスターミナルへ移動(勿論タクシーでも構わないが)、そこからミトー行きのマイクロバスに乗ることになる。ツアーの場合はデタム通りからバスが出発しているので、この点、自力移動は面倒だ。
ひだり みぎミエンタイ・バスターミナルからはベトナム各地への中長距離バスが引っ切り無しに発車しているようだ。バス会社ごとに窓口が分かれているので、ミトーのティエンジャン・バスターミナル行きのバスを運行する会社の窓口にて発券してもらう。ミトー行きは幾つかの会社がバスを走らせていてそれぞれ運賃が異なるが、最安値はVND35,000(≒130円)。まぁ運賃は似たり寄ったりだったので、そんなにどこのバスも大差ないだろう。運行時間は早朝05:30-18:00。


続いては乗り場へと移動し、数あるバスの中からミトー行きのバスを探すことになる。


ミトー行きバスを発見。外観はまぁ綺麗だが、乗りこんでみるとエアコンが無い!!さすが最安値!!!と激しく後悔。しかも出発時刻も決まっていないらしく、運転手すらおらず、発車する気配は微塵もない。その上、車内にはサングラスや帽子、ドリンク、香水、下着、宝くじに新聞、揚げ物などの売り子が引っ切り無しに乗り込んでくるもんで、色々とごった返してしまっている。大声でわめき営業する者、コメディー風に笑かせて営業する者、全く無言で商品を顔の前に押し付けてくる者など、十人十色の営業戦略が見れて良い暇つぶしにはなったが、ただでさえ照りつける太陽に蒸された狭い車中に人・物がぎゅうぎゅうになり、不快この上無し。


外で商機を伺う売り子たち。飲食品から日用雑貨まで何でも揃います。


こちらは宝くじ売りのおばさん。彼女のセールス方法は至ってシンプル。一切声を発さず、無言の目力で購入を迫る。要らないと言われてもめげずに、無言で宝くじを獲物の顔の目の前に突きだし、迫真顔で微動だにしない。獲物1人につき、1分くらい粘る。で、次の獲物の前に移動し、宝くじを獲物の顔面に1分間突きだす。このサイクルを続けるも、なかなか売れない。やがて私の方にもやってきたので、寝るふりをしてやり過ごす。結局これを乗客全員にやってバスを降りていった。営業成果はゼロ枚。ドンマイおばあさん。

ひだり みぎ
乗車から30分した09:30、ようやくバスが出発する。エンジンを回してもエアコンは起動せず、生暖かい風に当たりながらミトーを目指す。道路は舗装されていてるが、ホーチミン市内を抜けると窓の外の景色は一変し、川や畑の牧歌的な風景がどこまでも続く。このベトナムの国道一号線は北の中国国境の町ランソンから首都・ハノイと商都・ホーチミンを経由し、南はベトナム最南端のカマウまで全長2,236Kmを繋ぐ大動脈。これまでも部分部分ではあるが何ケ所かは走っていたのだが、ホーチミンから南は今までとは違い南国を越えた雰囲気が楽しめる。

バスは順調に走り、11:00前にはミトーのバスターミナルに到着した。バスを降りるなり周囲を無数のバイタクの運転手に囲まれ、身動きを封じられる。左右から肩を組まれ、手を掴まれ、腕を引っ張られ…なすがまま、半ば強引にバイタク集団の一人の原付に乗せられ、VND20,000でメコン川沿いの通りまで運ばれることに。ホーチミン市と比べ客が少ない分、競争が激しいのだろう。到着間もなく激しすぎるミトーの洗礼を浴びる。


来たぞメコン川。このあたりでも川幅が最大で3Kmにも及ぶとの事で、噂に違わぬ雄大さだ。メコン川下流の水質は、上流からの多量の堆積物が含まれている為、茶褐色に濁っていて見た目は悪いけど、それでも地域一帯に豊かな実りを運んでくるので、ベトナムでは偉大な河と呼ばれているそうだ。

川岸にもびっしりと住居が立ち並び、その一部は川にセリ出ていて、小舟で乗り入れできるようになっている。陸地の家屋と比べるとトタン屋根などの建材で造りも脆弱な家々が多いので、やはりミトーにおいても水上生活者の生活水準は低いのだろう。

川沿いの心地よい風を浴びながら散歩をしていると、百万の男たちからボートツアーに誘われる。彼らは皆、市政府未公認の私営ボートの所有者もしくはツアーの斡旋で口銭を稼ぐ男たちだ。誇張抜きに5mおきに1人のペースでお誘いが待っているのだが、費用は口合わせしているのであろう、協定価格で半日VND200,000と皆が口を揃えている。川沿いのティエンジャン・ツーリストではココナッツキャンディー工場や果樹園のあるトイソン島にヤシ教団の本拠地がある島、対岸のベンチェーにあるライスペーパー工場巡りのツアーがVND 350,000だったので、ボート貸切でVND200,000なら悪くない。その中で英語が最も気が弱そうな、「ベストボート」を所有している黒縁眼鏡に頼んで14:00からボートトリップに出かけることにした。

ひだり みぎ
さて14:00まで時間があるので街を探索したいと思ったが、想像以上にこの町は小さい。最も活気があるだろう市場に向かうも、どうも寂びれているというか死んでいると言うか、どうも活気が感じられぬ。

ひだり みぎ

ひだり みぎ
ミトー市場。主に調味料や野菜・魚などが売られていて、土産物などは皆無。狭っ苦しく薄暗い市場の中を自転車が猛スピードで走り回っているのには驚かされた。

さて、市場も冷やかし終わり、いよいよもってやることがない。ミトー市内への移動中に見えたカオダイ教寺院にでも行ってみるかと、バイタクにて移動。

ひだり みぎ
ありましたありました。近くで見ると、やっぱりカオダイ教のミトー支部でした。こんな特徴ある建物、見間違えませんよね。ちゃんと本堂の正面では「真実の目」が薄気味悪く正面を見据えています。今年3月にタイニンにある総本山を訪問して以来、5か月ぶり2度目のカオダイ寺院訪問になる。


メコンデルタの港町・ミトーだからだろうか、霊柩車も龍を模った小舟のような形をしている。

ひだり みぎ
本堂内部も総本山と瓜二つで、中央に祀られた「真実の目」に向かって信者さんが熱心にお祈りをしています。管理人みたいな人に声をかけられたので色々とお伺いしたかったのだが、残念ながら言語が通じずアウト。こんだけベトナムに来る機会があるのだし、そろそろベトナム語を勉強してみようか…とは思わないんだよなぁ。

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