カンボジア人民党の街宣活動

ほぼ計画通りの時刻にキリングフィールドとトゥール・スレン博物館の見学を終え、次はトゥクトゥクに乗って市街地北部に位置するプノンペンナイトマーケットを目指す。まだまだ見渡す限り陽は明るいが、週末だし何かしらの催し物が開催されているのではと淡い期待を抱いていたのだが…

独立記念塔を東に進み、街の東を流れるトンレサップ川に面した通りに出てから一気にナイトマーケットまで北上するルートを取った名倉運転手(ネプチューンの名倉にそっくり!)だが、大規模な選挙キャンペーンの為に北に伸びる道が塞がれてしまっていて、これ以上は進めない事態となってしまった。地図を見るとここからマーケットまではまだ3~4Kmもありそうな距離だが、道路封鎖であれば歩いて行くより仕方がない。約束していたUS$12を名倉に手渡すと、大袈裟なくらいに感謝された。相場前後のお金だし、約束していた額を払っただけなのに、名倉は堀の深い目を細め、何だか長々と謝意を語った後、満面の笑みで去って行った。

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選挙運動に目を向けると、プノンペン中の若者を総動員したのではないかと思えるくらいの大群である。旗を右を左に振り、喧伝車まで走らせ狂気の声を上げている。日本の選挙活動なぞかわいいもの。こちらは千人単位の活動隊員が隊列を成し、お揃いのユニフォームに身を包み、爆音隊を引き連れながら街中を走り回るようだ。事後に知ることになったところによると、当日のキャンペーンは7000人の支持者による練り歩きだったそうだ。

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党旗とカンボジア国旗を雄々しく掲げ、何やら叫びながら威勢良く走り過ぎていく活動隊員たち。カンボジアの国会は二院制で、元老院(上院)と国民議会(下院)とがあるが、実権を握るのは法案成立の最終権限を持つ国民議会だそうだ。旗や看板の文字を見ると、今回の選挙キャンペーンは現在のカンボジア国民議会で全123議席中90議席を占める圧倒的な最大与党のカンボジア人民党による ものらしい。1979年、ベトナム軍の侵攻でポル・ポト派をタイ国境地域に駆逐した後にベトナムの後ろ盾で樹立されたという政党で、今や、軍、国家警 察、憲兵隊などの治安機関ふ含む各種大手団体を牛耳る最大最強の与党。今年の総選挙はフン・セン首相率いる与党・人民党が年率6%超の経済成長と実績を既存支持層にア ピールするのに対し、前回26議席のサム・レンシ―党と同3議席の人権党の合併によって建党されて若者を中心に支持を広げる第一野党の救国党が「汚職の国 から清廉な国へ、不正義から正義へ、闇から陽光へと変革を!」をテーマにどこまで人民党“独裁支配”の基盤を切り崩せるかが焦点となっているとのこと。

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ひだり みぎ
公道では選挙活動が物凄い盛り上がりを見せる一方で、すぐ横にあるドリームランドという遊園地では閑古鳥が鳴いている。入園しようかとも思ったが、どういう訳だか入園口のチケット売り場に人がいなかった為に断念。このまま徒歩でリバーサイドを北上しすることに。

ひだり みぎ
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リバーサイドには出店もあり、市民の憩いの場となっている。

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フルーツを満載した入れ物を頭に乗せて歩く器用なおばさん。

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王宮は17:00までの開放とのことで既に閉まっているが、王宮前広場には観光客を中心に多くの人が何をするでもなく集まっている。

暫し王宮前の川沿いのベンチに腰掛け周囲を観察していると、先ほどの選挙キャンペーン隊(?)が爆音量をならしてやってきた!!
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=sr5hezy_egU[/youtube]
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=IwuruEtJ7DU[/youtube]

ひだり みぎ
ひだり みぎ
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Cambodian Peoples Party

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フン・セン首相(副党首)、チア・シム元老院議長(党首)、ヘン・サムリン国民議会議長(党名誉議長)の大御所三羽ガラスのポスターは街中至る所に張り出されている。軽トラ、ボロ乗用車、高級車、原付、三輪車、チャリんこ、大型トラックなどあらゆる乗り物を総動員。どでかい大音量スピーカーも装備して、歌いながら、踊りながら、演奏しながら、絶叫しながら…颯爽とリバーサイドを駆け抜けていく彼らの姿を食い入るように見つめる観客たち。冷ややかな目というよりは、祖国の未来を託すべく政党への応援の眼差しといった観衆の目が印象的で、市民の政治熱の高さも伺わせるものだった。

今年1月に行われた米国の共和党国際研究所による出口調査によると、国民の実に79%がカンボジアは全体として良い方向に向かっていると回答したという。その理由には「道路が増えた(74%)」「学校が増えた(58%)」「診療施設(Health Clinics)が増えた(34%)」という社会インフラの発達を挙げる者が大多数だったようだ。
Cambodia
(出展元:共和党国際研究所)

人権侵害や労働問題、汚職問題、人民党の縁故主義などは国内でも指摘されているらしいですが、目に見えて社会が豊かになっていると国民が感じている今、野党が変に議席を伸ばして政治的対立が深まり足の引っ張り合いになるよりは、政治的には現状維持の方がマシだと考えられているのかもしれません。さて、どうなるか、2013年度カンボジア総選挙は7月28日です。

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