イサーンとラオスへの小旅行

先日、成田の書店で何気なく手に取って機内の移動中に呼んだフランス人小説家マルローの「王道」。流されやすい自分ではあるが、今回も思いっきり感化されちゃいましたわ。「かつてインドシナの地にアンコールワットやアンコールトムを造営し繁栄を誇ったクメールの王国―<王道>とはそこに存在した道路である。巨万の富を求めて密林の奥深く古寺院を探して分け入るクロードとベルケン。悪疫、瘴気、そして原住民の襲撃。マルロー自身の若き日のインドシナ体験を基に、人間存在と行為の矛盾を追及した不朽の冒険小説。」

カンボジアのジャングルの奥深くへと分け入り悪戦苦闘あちこち彷徨い歩くフランス人二人が物語の主人公。今の世如くPSがあるわけでもなければ信頼のおける地図もない。当時のカンボジア、ラオス国境付近はフランス行政府の統治の及ばない、互いに仲の悪い少数の部族が支配する地域であり、傲岸な青空の下の広大な密林が大海原に広がる地域である。巨大な棕櫚、羊歯、棘だらけの危険な蔦、鋭い葉の巨大な萱が生え茂る中、見えない地表には足をすくう罠のように倒木が折り重なり、木々の間には侵入者を警戒するクモザルや蛇が徘徊し、ジャングルにはあらゆる肉に食らいつく赤蟻、マラリアを媒介する蚊、蠍、糞に群がる巨大な蠅も飛び交っている。こんな地域を、現地雇のガイドを引き連れているとはいえ不慣れな外国人2人が徒歩で進んでいくのである。そして、カンボジアの濃密な熱帯雨林の中に埋もれ、かすかに盛土と一部に残る敷石のまるで川床のようにあらわれたり消えたりしている「王道」の導いてくれた先に、荒廃したクメール王朝の遺跡の姿を見つけることができた。紫砂岩の壁面には彫刻がほどこされ、古え時代のインド様式の素晴らしく美しい浅浮彫があり、苔に包まれた石仏、人間の姿など見たことも無い生き物や石の上を這う百足、かくも放置されて崩れ落ちた寺院にて、遺跡のレリーフをはぎ取って…

だめだ、そのエキゾシズムに完全に冒険心を駆り立てられた。「王道」の舞台となったメコンとムーン川を結ぶイサーンの南半分、ラオス南部、イサーンの東端の彼方にあるチャンパサック地方には5-6世紀頃にクメール族の地域政体が複数生まれ、アンコール王朝時代(802-1431 年頃)には鬱蒼とした密林や疎林の中を盛土と一部敷石した王道がアンコールの都城と地方拠点都市を結んで延々と続いていたとされる。そのネットワークの規模は巨大で、西北方面へ向かう王道はダンレック山脈を越えて現在のピーマイ遺跡を経由してタイ中央部のスコターイ都城まで延び、東南方面はなんとベトナム中部の港町ダナン近くまでつながっていたそうだ。今年の国慶節休暇は久しぶりにまとまった休みが取れそうなので、土日の振替出社日の後、早速イサーンと呼ばれるタイの東北部からラオスに抜ける旅にでようかと計画中。メコン川を挟んで東にラオス、南側にはカンボジアを望むイサーンの地は、クメール王朝時代まで文明の中心地として栄え、クメールやラオからの影響を受けつつ育まれてきた独自の伝統文化が残る場所である。今回はその中でもナコーンラチャシーマー県やウボンラーチャターニー県などからなる南イサーンの地に埋もれて朽ち果てた歴史的遺構や王道跡を巡りながら往時を偲ぶ旅に出たいと思う。


CX751でバンコク入りした後は、タイ国有鉄道東北本線南線でイサーンの最東端近くまで一気に駆け抜ける。寝台列車での10時間の移動だ。

月曜日(夜行列車内泊)
14:25 CX751香港発
16:20 同便BKK着⇒フアラムポーン駅直行
20:30発ウボンラーチャターニー行きExp.67に乗車。車内泊

火曜日(シーサケート泊)
06:16シーサケート着
サ・カンペーン・ノーイ遺跡
サ・カンペーン・ヤイ遺跡
プラタートルンルアン

水曜日(ウボンラーチャターニー泊)
バスでシーサケート⇒カンターララック
カオプラウィハーン遺跡
バスでカンターララック⇒ウボンラーチャターニー
ウボンラーチャターニー市内観光

木曜日(ラオスのパークセー泊)
09:30発国際バスでウボンラーチャターニー⇒パークセー
ワット・プー

金曜日(パークセー泊)
レンタバイクでシーパンドン(4000の島)へ

土曜日(ウボンラーチャターニー泊)
コーンチアムのパーテム
ウボン市内観光

日曜日(戻り)
09:05 Ubon Ratchathani (UBP) 10:10 Bangkok – Suvarnabhumi International
Thai Airways International(TG2021)1

イサーン旅行ではコラートやピマーイ、スリンなども外せない定番旅行先なんだが、時間の関係上、今回はラオスを含むシーサケート以東に絞って旅行をすることに決定。果たしてうまくいくかどうか。

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