呪いの寺院跡 ワット・ラーチャブーラナ

ワット・ラーチャブラナ(Wat Ratchabrana)は、アユタヤ王朝末期の1424年、クメール王朝を倒したアユタヤ王朝8代目の王ボロムラーチャー2世によって創建された比較的地味な寺院です。『アユタヤ王朝年代記』に拠ると、ボロムラーチャー2世の実父であるナコーンイン親王の死後、二人の実兄(Chao Ai PhrayaとChao Yi Phraya)が王位継承を巡って互いに殺し合いを演じて共倒れした末に末っ子ののボロムラーチャー2世が王位に就き、その後、二人の遺骨を納めて霊魂を鎮める為にこの寺を建設したとされている。創建にこうした背景があるからか、「最初にこの寺を訪れた王は早死を免れない。」という伝説が広まり、歴代のアユタヤ王は誰もこの寺院を訪れなかったそうな。

そんな曰く付き(!?)の寺院がアユタヤ遺跡巡りの第一発目。最初にこの寺に来た王は早死にする運命となるらしいが、自分は王じゃないのでこの呪いは無効だろう。レンタサイクルショップからチャリを漕いで約5分、早速前方右手に見えてきたのがワット・ラーチャブラナ。チャリを停め、入場料を払って鏡内へと進む。この寺院にはクメール様式のブラーンと呼ばれる塔状祀堂が中央の高い壇上に築かれていて、それを囲む廻廊と共に手前に礼拝堂が、背面に戒壇堂が配されるという造りになっている。世界遺産祭りだというのに閑散としていて、遺跡内に漂う寂寞感が廃墟となった遺跡から伝わる寂しさを増長させる。

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ワット・ラーチャブラナの礼拝堂の壁と、奥に見えるクメール式の塔状祀堂。

ひだり みぎ

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礼拝堂の片側の壁は大きく傾き、今にも崩れ落ちそうである。往時には華々しく仏像が並んでいたのであろうが、1767年のアユタヤ陥落の際にビルマ軍に破壊された為、今は廃墟と化している。静けさが何とも言えない物悲しさを演出している。余りに観光客の姿が見えないが、この寺院は主要観光ルートに入っていないのでスルーされているのだろうか。

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しっくいの装飾が施されたクメール様式の祀堂。

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中腹まで登ることができ、そこから階段で基壇部内部にある遺体安置部屋まで下りる事が出来る。塔の内部からは1431年にクメール王朝を攻略した後に兄に奉納されたとされる宝箱が1957年から行われた発掘調査と修復作業の間に発見された。仏像や王冠仏像、宝石や美術品、100Kg以上の金塊などの貴重な品々が発見され、チャオ・サン・プラヤー国立博物館に展示されることになりました。内部には壁画などが施されているそうですが、他に観光客がいないのをいいことに白人カップルが内部でいちゃついていたので、邪魔しないことにした。

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いくつかの衛星仏塔も建てられています。

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男のような顔つき(しかも仏頂面)の上に何故か鶏冠頭をしているが、胸が出てスカートを履いているので、これらはクメール文化の中心地・シェムリアップのアンコールワットなどでも見られる女神・アバターであろう。アンコール帝国との戦争中に捕虜となったクメール職人によるものだろうか。当時のクメール王朝って本当ロマンの塊だ。

拝観時間:8:00~18:00(ライトアップ19:00~21:00)
拝観料:外国人=50B、タイ人10B


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