コトル旧市街で中世ヨーロッパへとタイムタイムトリップ

コトルの要塞から下山し、魅惑のコトル旧市街をブラブラと探索してきます。

黒い山と深い緑の海に抱かれるように佇むコトルの旧市街。淡い色調のオレンジ屋根が特徴的で、エメラルドグリーンのコトル湾と共に美しすぎる情景を織り成しています。

この角を曲がったらどんな絶景が待っているんだろう?というワクワク感が常にon。陽気なドゥブロヴニクに対してコトルの方は中世のどこか重々しい空気感に包まれているというか。モンテネグロというどこかミステリアルな国家のイメージとも相まって、未知なる世界への冒険心のようなものがくすぐられます。

幅1メートルにも満たないような小路が迷路のように入り組んだ旧市街。
ドゥブロヴニクもそうでしたが、ヨーロッパの古い町並みはメルヘンチックで可愛らしい雰囲気を全面に押しだした感じの町が多いのですが、ことコトルについていえば可愛らしさは皆無。どちらかといえば武骨な街並みで、より現実的な中世時代といった風情が色濃く残されています。

城門前の広場には1602年に作られたという歴史的な時計塔も残されていて、今も現役で時を刻んでいます。どこからともなくバイオリンの音色も風で運ばれてくるし優雅な広場だなーと優々たる雰囲気に浸っておりましたが、実際はこの広場は罪人の公開処刑の場であったようです。まぁこれもまた中世ヨーロッパらしいっちゃらしいので良いのですが、優雅な気分は吹き飛びました。

とても小さくのんびりとしたコトルの町ですが、城内には様々な宗派の宗教施設が非常に多く密集しているのに驚かされます。西の海からはカトリック教会が、東の山からは東方正教会がコトルへと伝播し、東西教会が交わるちょうど分岐点だったことの名残のようです。

特に興味深い存在なのは1195年建立の聖ルカ教会。元々はカトリック教会として建てられたもののセルビア王国の支配下となってから正教会となり、19世紀までカトリックと正教という宗派の異なる二つの祭壇が共存して置かれていたとか。ユーゴスラビア紛争では民族や宗教の対立であれ程の破壊と殺戮が繰り広げられただけに、色々と考えさせられるものがあります。

こうした地理的・歴史的背景から、コトルの街歩きは必然的に教会巡りとなります。↑の画像はコトルが誇る東西教会のエースで、1540年建立のセルビア正教会の聖ニコラ教会(左)と、1166年建立のカトリック教会・聖トリプン大聖堂。

教会の多くは門が正常され堅く閉ざされている中、聖二コラ教会だけは門戸を開いて信者と観光客を受け入れていました。

比較的新しく俗っぽい雰囲気ですが、内部にはビザンチン様式の壁画や正教会独特のイコノスタシスなどが飾られており、この教会が辿ってきた数奇な歴史を伺い知ることができます。

写真撮影もOKだし、レアものの正教関連グッズも売られていたりと、とても寛容的でウェルカムな雰囲気の教会です。

教会を出ると、ちょうど陽が暮れてきました。鐘の音が響き渡る夕暮れ時の路地裏なんか、もはや完全に中世そのものの雰囲気です。

聖ニコラス教会から徒歩1分。小さな小路から更に奥まった路地裏にあるRestaurant Cesaricaというお店に入ってみることに。
モンテネグロの人はのんびりした国民性で知られているそうですが、きびきびした印象のドゥブロヴニクと比べると確かに時の流れがゆっくりに感じられる気がします。ホテルのスタッフもそうでしたが、人々の擦れてない感じが緩くて本当に素敵。

アドリア海を臨むコトルは新鮮な魚介類の宝庫。獲れたてのイカやムール貝、エビなどをフライやグリルした海鮮料理が名物となっているようです。
ここでは主食の海鮮リゾットと合わせてイカのグリル&エビのすり身をオーダー。素材本来の味を引き立てるようオリーブオイルと塩胡椒でグリルしたシンプルな味付けで、もうこれは美味いのなんの。お代もビール2杯を入れても30ユーロ以下と隣国クロアチアと比べてリーズナブルだし、自分の中でモンテネグロ株が爆上げストップ高です。

美味しい海鮮が食べれてウキウキ気分での帰り道、店内のネオンに誘われるようにJazz Bar Evergreenというジャズバーに立ち寄ってみることにしました。

注文したのはTrebjesa Breweryというローカルの醸造所が出しているNikšićko IPA。IPA感は薄目でしたが、シトラスの風味が強くてこれはこれでアリかな。

一人しぽしぽと飲んでいるとナイスシニアな老夫妻から手招きを受けてご一緒させてもらうことになり、2時間ほどドゥブロヴニクやクロアチアの歴史に関するレクチャーを受けました。
このオッサン、ただ若者に絡みたい初老の酔っ払いではなく、話の内容は啓蒙的だわ引き出しも豊富だわ、こちらからの突込みに対する返しも一々お洒落だわというまさにジェントルマンでして。只者ではないことは直ぐに分かったのですが、彼の正体を聞くとまさかのクロアチアの元高級官僚。
今度ザグレブでまた意見交換会しようと言われて名刺を渡されましたが、ワイみたいな小物が気軽に連絡できるような人ではありませんでしたw

Jazzの生演奏はありませんでしたが、ガチのキャリア組みおじさんから即席ヒストリーレッスンを受けられ最高の一日を締めくくる最高の夜となりました。

中世の雰囲気を味わえるコトル、控えめに言って最高です。

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