世界遺産の福建土楼

今日は福建省の山中に築かれた世界遺産・福建土楼へと向かいます。

ちな福建土楼とは客家が建てた集合住宅のことで、山岳地帯の僻地にあり特徴的な形をしていることから冷戦時代に衛星画像で土楼を発見したアメリカ軍が核サイロやらミサイル地下発射台だと見誤ったという逸話があるそうですw それくらい風変りな場所に建つ風変りな建造物ということで、世界遺産にも登録されたりもしています。


というわけで世界遺産の土楼が待つ山岳地帯へ。こんな山奥にも中共の開発の魔の手が忍び寄っているようでビビります。


険しい峠を越えた先の開けた一角に大きな土楼が見えてきました。こここそが今やアジア圏に散らばり幅広く活躍する客家の根拠地です。

まぁ別に客家も好き好んで僻地の山奥に住み着いたわけじゃないんですけどね。
といいますのも、もともと客家の人たちは黄河中流域の中原に住んでいた漢民族の一派だったのが、西晋末期頃から戦乱を避けるために中国南部へ流浪の旅を続けてきたのだと。それでもたどり着く先々にも先住民がいるわけで、後から来た客家は僻地の山間部に住まざるを得なかった、と。
東洋のユダヤ人と形容されるのもシックリきます。

円形土楼



こういった歴史的背景もあり、客家の集合住宅地である土楼は防御力高めの要塞チックな構造になっているものが多いようです。
建築資材はほぼほぼ近所で調達可能なものだけだそうで、土や石灰、細かい砂を混ぜて突き固め、箇所によっては黒砂糖や卵の白身などを入れて混ぜることで壁の強度を高めたりしているそうだ。地元の自然素材だけを用いた超絶ロハスな住宅です。

ひだり みぎ
強固な土塁により築かれた土楼。低層部は掘り込まれないよう花崗岩で強化。出入口は1箇所のみとし、厚み10数cmの木材装甲板の門でカバーと鉄壁の防御力を誇ります。


北方の四合院と同じく、外に閉じ内に開くという概念により設計されていて、中は思ったよりも広々。住民全員が平等な共同生活を送れるよう全ての部屋は同じサイズ、同じ材料等級、同じ内装、同じ窓や同じドアで造られているそうな。

ひだり みぎ
祠堂を中心とした土楼内。最盛期には500名もの氏族が共同生活を営んでいて、外との接点を持たずに数カ月籠城できたとされている。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
観光地として整備されているだけかと思ったのですが、思ってたより生活感あって驚きます。上層階には洗濯物も干してあるし、実際に住んでる人がいるのかも。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
一階部分の一部は商店になっていて、エキゾチックな南国フルーツの数々が楽しめます。
火星果はウリ+パッションフルーツ味のウイダーインゼリーで、赤バナナはねっちょりとした濃厚な口当たりの大人のバナナといった感じ。日本ではなかなか食べることのできない珍味っす。

方形土楼


ひだり みぎ
続いてやってきたのは方形の土楼。周囲の自然景観と一体になり溶け込んでるあたり、動物の擬態的な狙いがあるのだろうか。

ひだり みぎ

ひだり みぎ
1階・2階は共用スペースの調理場と倉庫で、3階より上が居住空間という配置が一般的。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
内部の一部は博物館として開放されていて客家文化について学ぶことができます。

ちな客家の有名人ってどんな人がいると思います?福建省地方都市の書記とかといったレベルの小物役員クラスじゃなく、世界の経済と政治を牛耳ってきたような濃いメンツが揃ってるんですよ。

1番ショート 宋慶齢、宋美齢(孫文夫人、蒋介石夫人)
2番セカンド 蔡英文(現台湾総統、客家人と台湾原住民のハーフ)
3番サード 鄧小平(開放おじさん。元中国最高指導者)
4番ピッチャー 李光耀、李顕竜(シンガポール初代首相、現同国首相)
5番キャッチャー 李登輝(元台湾総統)
6番ファースト アーサー・チュン(ガイアナ共和国初代大統領)
7番レフト コラソン・アキノ、ベニグノ・アキノ(元フィリピン大統領)
8番ライト 謝珠栄(シャ乱Qたいせいの姉。元宝塚男役)
9番センター タクシン・チナワット、インラック・チナワット(タイ国元首相)
監督 洪秀全(太平天国の天王)

泣く子も黙る超重量打線を組めるほどの層の厚さ。これは東洋のユダヤ人っすw


ひだり みぎ
お祭りや儀式の場ともなっていた中庭。異世界感が半端ない。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
一通り土楼の雰囲気を満喫し終えたので、昼食のために川を下って古鎮へ。


農民食堂の豊満ママ「ご飯足りなかったら言って。おかわりし放題だから(食いきれるもんなら食ってみろ)」と言って出てきたのがまさかの洗面ボウル盛り。団体客用だろこれw

ひだり みぎ

樹齢618年の大きな桑の木の下で小休憩。どこを切り取っても絵になるフォトジェニックな古村です。

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