続いて、聖イサアク大聖堂から歩いてネヴァ川の対岸へ。
本命はペトロパブロフスク要塞だが、先ずは橋を渡った先のピョートル大帝記念 人類学・民族博物館を目指してみることに。創立は1714年、ピョートル大帝の個人的コレクションをベースとした作られた博物館で、ロシアで最初に創設された公的な博物館とも言われている。
珍スポット好きの好事家には「クンストカメラ」という別名で知られている。クンストカメラという語感からソ連製レトロカメラの展示館かと勘違いしてしまいそうだけど、ドイツ語の「Kunstkammer(驚異の部屋)」を由来とするピョートル大帝肝入りの博物館ということだ。
もともとサンクトペテルブルク自体が聖ペトロの町という意味で、ピョートル大帝が当時のヨーロッパの最先端文化を取り入れ築き上げた都市ですからね。ピョートル大帝の個人的コレクションを基に創設されたクンストカメラもロシア近代化の象徴であり、ロシア国民の教養レベルを底上げするための文化事業的な側面もあったそう。
やっぱり銅像が多い。
ロマノフ王朝の偉人なんだろうが、説明書きは全てキリル文字。意味のある言葉よりも絵文字や象形文字にしか見えず、脳みそが全力で理解することを拒んでくる。
聖イサアク大聖堂から真っ直ぐに5分ほど歩くと、ネヴァ川に出た。
対岸のバロック風の建物と川とのマッチが絵になるなー。
宮殿橋を渡って対岸へ。正面に見える淡いエメラルドグリーンの建物がクンストカメラらしい。
川辺に建つ優雅な雰囲気のクンストカメラ。ここでガイドブックをチェックする。
館内にはピョートル大帝が個人的に収集した世界中の民族資料や、人体標本コレクションがメインで展示されている。
んん?人体標本コレクション?
ええ!?
ガイドブックを二度見すると…
奇形児や胎児、エカチェリーナ1世の愛人だったウィレム・モンスと妹アンナ・モンスの頭をアルコール漬けにした標本なども展示されている…
と確かに記載されている。妻であるエカテリーナ1世の浮気に憤怒したピョートル大帝が相手の男の首を刎ね、アルコール漬けにして妻の寝室に飾らせていたものだそうだ。この皇帝の私怨…おそロシア。
恐る恐る中に入ってみると、1階は世界の民族コーナー。人類学・民族学と冠しているだけあり、世界各地から寄せ集められた民族学的資料が多数展示されている。
ヤポニア(日本)コーナーも。
日本の宗教観を表した展示品だろうか。稲荷神社とお釈迦様と一緒に小さなケースにぶち込まれた神主さんが困惑の表情を浮かべてる。
日本についてのコーナーは大々的に設けられていて、陶器や刀といった定番物から巫女装束や雛人形、茶摘み婆といった多数の展示品までが並んでいる。きっと他の国の展示品も、その国の人が見たら「んんん?」となる物があるんだろうな。まぁなんたって300年も前のコレクションですからね。物事が常に更新され、古いものは絶えず淘汰され押しのけられていく時代なのに。
二階は中国・モンゴル・韓国が中心となっているが、それぞれの扱いは非常に小さい。
ピョートル大帝はヤポニアへの興味が強かったのかな。やっぱり日本コーナーの充実ぶりは抜きんでてると思う。あと、謎のエスキモー推し。
ラテンアメリカは原住民の服飾文化に関する展示がメイン。ポロリもあるよ。
一通り博物館内を回ってみたけど、やはり衝撃的なのは、数多くのいわゆる奇形児のホルマリン漬けや標本が展示されたこちらのコーナー。
オランダの解剖学者フレデリック・ルイシュらから買い取った胎児のアルコール標本の数々が展示されている。
また、ロシア全土から奇形な体や規格外な体系を持つ人々を蒐集され標本となった方々も…。人類学・医学の研究のために収拾・公開したという大義名分があるらしいが、単にピョートル大帝の興味というか、見世物小屋的な動機だったんじゃないかな。処刑した妻の浮気相手の標本まで展示されてるわけだし…。社会主義的な狂気を感じる。
写真撮影は許可されているが、流石に露骨にホルマリン漬けの人間の写真を撮る気にはなれんかったので、興味のある方はぜひクンストカメラまで…
レストラン
クンストカメラを出たところに、クンストカメラの入場券を見せれば20%引きとなる洒落たレストランがあったので入ってみた。
ビーフストロガノフにボルシチ・ピロシキというロシア料理の3巨頭にロシアンビールを注文。
重慶火鍋を彷彿とさせる赤さだが、こちらはビーツ由来の赤さなので辛さは一切ない。ピョートル大帝の残虐ぶりを見た後だけに余計にグロく思える見た目だが、寧ろ見た目に反して口当たりが良い。
これだけ食べて936ルーブル(≒1,600円)。ルーブル安最高。
【クンストカメラ】
所在地:University Embankment, 3, Sankt-Peterburg, ロシア 199034
営業時間:11:00-18:00
定休日:月
入場料:大人300ルーブル、学生100ルーブル
ホームページ:http://www.kunstkamera.ru/en/
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