サンクトペテルブルク発祥の地・ペトロパブロフスク要塞

ピョートル大帝の遷都計画により造られた人工都市サンクトペテルブルク、その中では初めに工事が着手されたのが、これから向かうペトロパブロフスク要塞。ロマノフ王朝のバルト海進出に伴い対スウェーデン戦の橋頭堡としてネヴァ川の畔に築かれた堅牢な要塞で、要塞を取り囲む厚く高い塀の中にはピョートル大帝を始めとする歴代の皇帝が眠る霊廟や、各種博物館なんかもあったりして、サンクトペテルブルク観光の目玉の一つとなっている。


ちょうど前方に金色の尖塔が見えるのだが、これはテレビ塔ではなく、要塞の中心部に建つ霊廟兼大聖堂。要塞なんて言うんでもっと高い塀に囲まれているかと思いきや、案外そうでもないなw


道中には二本セットのロストラの燈台柱が。ネヴァ川の航路の安全の為に19世紀に設置されたものなんだが、敵軍の船首を切り落として柱の飾りにした古代ローマ海軍の習慣に由来して、このような船首が飛び出た設計になったらしい。トーテムポールかと思ったわw

ひだり みぎ
このロストラの燈台柱を目印に要塞へと向かっていると、前方右手に軍艦を発見。バルチック艦隊の主力の一つで、かの有名な、巡洋艦オーロラか!?と思いきや、単なるレストランだった。レストランという名のレストラン。


クンストカメラから歩くこと10分ほど、ようやくサンクトペテルブルク発祥の地である要塞へと入るための橋が見えてきた。


上から見ると函館五稜郭みたいなペトロパブロフスク要塞、陸からの入口は西南側(クロンベルクスキー橋)と北東側(イアノフスキー橋)の2ヶ所に設けられている。要塞内に入るのは無料だけど、要塞内の各種スポットに入るのに入場料がかかるシステムとなっている。島全体としては歩いて1時間ほどで一周できる小さなもの。


「首座使徒ペトル・パウェル大聖堂」「監獄」「司令官の館(サンクトペテルブルク博物館)」「ペトロパブロフスク要塞博物館」「宇宙とロケット博物館」の5か所それぞれに入場料が設けられているようだが、面倒くさいので5か所全ての通しチケットを購入。ラーメンとかでも困ったら全部乗せにする欲張りな男ですからね。

首座使徒ペトル・パウェル大聖堂


先ずは要塞内でも一番の見所である大聖堂、通称、ペトロパブロフスク大聖堂へ。

ひだり みぎ
聖廟にもなっているからか、中は他のロシア正教会とは若干異なる造り。イコンやイコノスタスが無くサッパリとした厳かさというか。

ひだり みぎ
聖堂内には、エリザベス1聖やエカテリーナ2世、ニコライ2世といった、ピョートル大帝以降の殆どの皇帝・皇后が埋葬されている。荘厳な造りの聖堂に大量の棺が並ぶという、なんとも不思議な空間っす。

ひだり みぎ
お休みのところ恐れ入ります。


ロシア正教会独特の雰囲気。

監獄

続いて向かうは要塞内の監獄。スウェーデンの脅威が低下した19世紀以降は要塞としての機能は落ち、もっぱら政治・思想犯収容所として活用されていたようだ。

皮肉なことに最初に投獄されたのはピョートル大帝の皇太子アレクセイ。謀反の罪で投獄され、拷問のすえ獄死。その後、反体制運動に従事したバクーニンやトロツキー、さらにはゴーリキーやドストエフスキーといった文学者も収監されていたらしい。そういえばドストエフスキーさん、シベリア流刑になったりしてたんだよな。

ひだり みぎ
薄暗い1階には囚人服や刑具といった展示品が並ぶ。冬服はフェルトのような暖かそうな生地でできてるけど、真冬でこの服だけというのはきっついわ。


展示コーナーを抜けると薄暗い廊下が続き、通路に沿って囚人部屋が並ぶ。


新入りが囚人服に着替えさせられる様子の再現。どことなくユーモラスな作りだが、当時のロシアの監獄とか絶対やばい。

ひだり みぎ
監獄は時代ごとの部屋が覗き込めるようになっているが、政治犯用の監獄故に大半は簡素な独房となっている。ただ、部屋によってはパネルに描かれた囚人が立てかけられていたり、落書きを再現してあったりと、ゾっとする演出もちらほら。


部屋によってはこういった入所者も。ナロードニキ運動の主導者が男女見境なく大量にぶち込まれていたらしい。別に彼らを称賛するという訳ではないが、革命に人生を捧げる人生とか本当凄すぎるわ。

次へ。

くっそ小顔なピョートル大帝像。大男だったことを強調する為か知らないが、手足も異常に長くて完全にキャプテン翼の世界。


この15頭身軍団に混じってても違和感ない。

司令官の館(歴史博物館)


お次はサンクトペテルブルク博物館となっている司令官の館へ。


と思いきや…中では音楽会が開催されているようで、ロシア語で罵倒(?)されながら死神落下傘の異名を持つセルゲイ・ハリトーノフ似のトランペット演者により摘み出される羽目に。いやいや、クローズしてるなら入場券の購入時に教えてもらいたいし、せめて入口にクローズの張り紙くらい張っておいてくれよ。なんで死神落下傘に罵倒されないといけないんだ。そのままスパイ容疑で隣の監獄にぶちこまれるのではないかと冷や冷やしたわ。

気を取り直して北東側の入口を目指して歩いていると、ドラゴンボールでギニュー特戦隊が乗ってきた丸型宇宙船を発見。
ひだり みぎ
キャプテン翼とかドラゴンボールとかオタクかよ!とつっまれそうだけど、ちょっ、まっw リクームとかグルドとか来てらっしゃいます?www

宇宙とロケットの博物館


いや、どうやらギニュー特戦隊が乗り捨てた宇宙船ではなく、ソ連・ロシアが誇る宇宙とロケットに関する博物館の野外展示品だったようだ。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
ひだり みぎ
ここにきてのいきなりの科学力自慢に戸惑うが、まだ宇宙飛行が夢だった宇宙開発競争時代を生きた先駆的な研究者の紹介から始まり、1957年の世界初の人工衛星スプートニク1号に搭載されたエンジン回りを含む基幹部品や、1961年にヴォストーク1号で世界初の宇宙飛行士となったガガーリンなどに関する興味深い展示品が並ぶ。


この籠みたいなのとか、なんだと思います?


英語での説明が無いので確証はないけれど、写真から判断する限り、史上初めて他の天体の上に到着した遠隔操作可能ロボット・ルノホートの車輪っす。それぞれが独立したモーターで駆動、接地部分にはチタンブレードが取り付けられている。

いやいや、まったくもってペトロパブロフス要塞やロマノフ王朝と関係なくね!?と突っ込みたくなるが、意外とここが一番楽しめたかも。


結局要塞には2時間半程いたのかな。見所を周り終え、北東のゲートから出てホテルへと戻る。

ひだり みぎ
ピョートル大帝が築いた水の都サンクトペテルブルク。その発祥の地であるペトロパブロフス要塞は要塞要素は薄いけれど、要訪問スポットです。敷地内に入るのだけは無料ですしね、要塞内で黄昏るだけでも観光気分に浸れます。


良いわー、聖ペトロの町・サンクトペテルブルク。

【ペトロパブロフス要塞(Peter and Paul Fortress)】

所在地:3 Petropavlovskaya Krepost, St. Petersburg
電話:(812)2306431
アクセス:地下鉄 ゴーリコフスカヤ駅下車
公式サイト:https://www.spbmuseum.ru/?lang_ui=en


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