ロシア正教会をテーマとした美術館? 聖イサアク大聖堂

エルミタージュの本館・新館と巡り、続いてはエルミタージュの宮殿広場からも近いサンクトペテルブルクのアイコン的存在・聖イサアク大聖堂を見に行くことに。

血の上の救世主教会、カザン聖堂、トロイツキー大聖堂とロシア正教の美しい教会が多数ある古都サンクトペテルブルクであるが、その中でも見応えナンバーワンは世界最大級の聖堂ともいわれる聖イサアク大聖堂でしょう。高さ101.5m、面積が800㎡を誇る世界最大級の聖堂で、遠くから見ても圧倒的な存在感を放っている。高さ101.5mって、日本で言うと通天閣(103m)ほどの高さ、そんな大きな聖堂が徳川家の時代に建てられたというだけで凄みを感じるわ。やっぱりツァーリがナンバーワン!

また、エルミタージュ美術館や大聖堂のみならず、他にも町中の至る所にオシャレなロマノフ王朝時代の建物がゴロゴロと残るフォトジェニックな町・サンクトペテルブルク。こんなに街歩きしててワクワクドキドキする町も珍しい。


エルミタージュ美術館から歩いて5分くらいかな。公園の奥に見えてきた立派な造りの建物が聖イサアク大聖堂。中央の黄金に輝く巨大なドームと四方に配した小ドームで上空から見ると十字に見えるという、ロシアビザンチン建築様式で建てられているらしい。


この黄金のドームはサンクトペテルブルクのどこからでも見ることができ、町のシンボルとなっている。ちょっと格好良すぎやしませんかね。

聖堂を取り囲む柱廊には新古典様式らしいコリント式の円柱が合計48本並ぶ。この円柱は最大で1本114トンという大きさのもので、近くで見るとド迫力っすね。114tって全盛期の小錦380人分ですから。

ひだり みぎ
このイサアク大聖堂、実は現在のこの御姿は第四形態になるらしい。ドラゴンボールのセルでも第三形態までだったのに、その上を行く第四形態。
ピョートル大帝の命により建てられた初代の木造教会は洪水によって流され、石造りとなった二代目は地盤沈下と火事で敢え無く崩壊。エカテリーナ二世の旗振りにより建造が始まった第三代目は再建事業が滞ったが、エカテリーナ二世の孫にあたるアレクサンドル1世の治世になって、ペテルブルクの豪華な街並みにあってないとして取り壊しの憂き目に。その後、フランス人建築家のオーギュストモンフェランが聖堂の建築事業を引き継ぎ、1818年から40年もの年月をかけ、アレクサンドル2世の時代になって現在の大聖堂が完成したのだと。

威風堂々とした佇まいで外観も特別だけど、ロマノフ王朝が誇る最新の建築技術をもって造られたという内部はもっとヤバい。

青銅製の重厚な扉から恐る恐る中に入ってみると、入場一歩目で、独特の厳かな雰囲気にお漏らししそうになる。内装には金400kg、青金石500kg、銅1,000kg、孔雀石16,000kgなど40種を越える貴石が使用され、著名な建築家・彫刻家・名高い学者にエンジニア、そして100万人もの作業員たちが建設に携わったらしい。ただただ圧巻。


外壁は花崗石で、内部は大理石貼りという仕様。彫刻の並びは新古典主義様式、丸天井の装飾はバロック様式といった具合の折衷様式で、西欧の宮殿かのような造り。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
床にも壁にも天井にも装飾がびっしりで、どこをどう見て良いのか分からず困惑するワイ。


ひだり みぎ
どこを切り取ってもやばい。どこからともなく讃美歌が聞こえてくるし、完全に聖書の中の世界に迷い込んでしまった。


こちらは外の柱をつり上げる為に使った道具の模型(実物の1/16)。聖堂の外にある柱だけど、フィンランド産の花崗岩の一枚岩で作られてるそうだ。高さ17m、重さ114tにもなるこれらの柱を立てるのに、この独特な木材構造が用いられたそうだ。沼地で地盤が弱いだろうし、大変な工事だったんだろうな。


こちらはイサアク聖堂の前身となった教会の模型で、全て1/166の大きさ。今の聖堂だけスケールが違い過ぎる。


大聖堂を建てたオーギュストモンフェラン氏の像。1786年にパリの郊外で生まれ、建築学校を卒業し、有名な建築家のもとで修業。30歳の時にペテルブルクに移り、イサアク聖堂のみならず、イサアク広場のニコライ1世の銅像、宮殿広場中央のアレクサンドロの柱やペテロブルクの貴族の屋敷、冬の宮殿の幾つかの部屋の内装などを手掛けたが、最後にこの聖堂を完成させ、その1か月後に他界されたそうだ。燃え尽き症候群だったのか。

そういや、モスクワの聖ワシリイ大聖堂の設計者は、寺院完成後に、これ以上に美しい寺院を建てることができないよう皇帝に目を潰されたという逸話があるらしいが…。


こちらは12本の孔雀石と天門脇の2本の青金石の装飾列柱が美しい到聖所とイコノスタシス。ピョートル大帝・エカテリーナ2世・アレクサンドル1世・聖ネフスキー、聖母子、聖パウロ、聖イサクなど錚々たるメンバーのイコンが飾られています。

ひだり みぎ
至聖所の中にはキリストの復活を描いたステンドグラスが光を浴びて輝いている。神々しいことこの上なし。


見上げると…上にもジーザス。迫真の表情で最後の審判中。



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他にも、天井のいたるところに聖人が描かれてらっしゃいます。なんたって通天閣がすっぽりと収まるレベルの高さの聖堂なもんで、しっかりと細部まで楽しむにはオペラグラスが必要ですな。



モザイクアートも。まさに美の殿堂。大聖堂というよりも、ロシア正教美術館といった雰囲気である。

展望台

一通り内部の見学を終えた後は聖堂への入場料とは別にお金を払い、聖堂上部の展望台へと上らせて頂くことに。

映画Virtigoを思い出すような、目の回るような螺旋階段を上がる。

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サンクトペテルブルクで一番高い展望台から、市街を一望することができる。

これがまたね、展望台の上で歩を進める度に床がギシギシときしんでスリル満点。吊り橋効果みたいなものなのか、スリルがある分だけサンクトペテルブルクの町が余計に綺麗に見えるような気がしますw

所感

無数のステンドグラス、フレスコ画やモザイク画、大理石や孔雀石の彫刻といった美術品で埋め尽くされたロシア正教会のイサク聖堂。
ロシア独特の重苦しく張り詰めた空気に支配された中では神聖な讃美歌が響き渡り…
博物館とは違う意味でロシアを味わえるオススメスポットです

【聖イサアク大聖堂】

所在地:4 St. Isaac’s Sq., St.Petersburg
電話:(812)3159732 /
営業時間:10:30-18:00(夏季は22:30まで) *入場は閉館30分前まで
定休日:水曜
公式サイト:http://www.cathedral.ru/



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