近現代美術品が並ぶエルミタージュ美術館新館

エルミタージュ美術館の見学を終え、宮殿広場を挟んで反対側に建つ旧参謀本部内のエルミタージュ新館へ。

こちらの新館にはゴーギャン、ピカソ、モネ、ルノアール、セザンヌなどの印象派以降の絵画を中心とした近現代美術の数々が並んでいるのだが…本館と違って入場料も安いのに人気が無く、誰もが知ってる巨匠による近現代の名作の数々を独り占めすることができる穴場的な美術館になっている。

本館の対面に立つ旧参謀本部。中央の凱旋アーチを中心に西翼と東翼が繋がっていて、西翼側が旧参謀本部のエルミタージュ美術館新館、東翼は旧財務省と外務省。


宮殿の反対側のエメラルドグリーンの建物が旧宮殿であり、現エルミタージュ美術館本館。有事の際は直ぐにでも参謀を宮殿に呼び立てられる距離にあったんすね。

早速、列に並ぶことなく入場券を買って閑古鳥の無く新館へ。

絢爛豪華でコッテコテの宮殿仕様な本館と比べると、ぐっと落ち着いた造りの新館。旧宮殿の本館とは違い、こちらは元が政庁の館だったこともあり、どこか役所っぽい雰囲気がある。

ひだり みぎ
入ってみると、いきなりくっそ前衛的なアートがお出迎えしてくれる。なんなんだこれらは。


ケネディやんけ!と思ったらほんとにケネディだった。なにをやってるんだケネディがこんなところで。

ひだり みぎ
パプアニューギニアあたりの魔術道具とかゴーギャン作品っぽい奇天烈な展示品が並ぶ。

ひだり みぎ

抱き合う男女、意味深なタイトル“The Lie”。

ここからようやく有名どころの絵画コレクションが始まる。

ポール・ゴーギャン

先ずはフランスの19世紀ポスト印象派をリードした芸術家・ポール ゴーギャンから。ヨーロッパの文明世界に疲れ切って移住した先のタヒチで描いた作品を中心に展示されている。

ポール・ゴーギャン作:果物を持つ女(あなたは何処へ行くの?)
Paul Gauguin (1848-1903) :Woman Holding a Fruit (Where are you going?)

たわわな果実とおっぱい…、肥沃な大地の香しき楽園で、胸もあらわに妖艶な表情をまとった女性。
因みにゴーギャン氏、地球の裏側にあるポリネシアの楽園で自らの内なる野生を目覚めさせてしまったのか、初めてのタヒチ滞在では13歳の少女を孕ませ、二度目のタヒチ滞在では14歳の少女との間に2人の子供をもうけている。また、その後に向かったマルキーズ諸島でも14歳の少女と結婚をし、1人の子供が生まれている。

この美術館にあるのも、歪んだ人間の欲望がそのままアートとして昇華された…といったような、女性に焦点を当てた作品ばかり。おお、ゴーギャン先生よ。



素っ気ない展示室に一級品の世界的名画の数々が何気なく並び、至近距離でご対面可能。ライブ会場がごとく人口密度の本館での押し合いへし合い状態での鑑賞を余儀なくされることもなく、絵画好きにとってはヨダレものの贅沢な空間だ。

パブロ・ピカソ

続いては日本でもお馴染みのピカソ。彼もまた、ゴーギャンの影響を受けた前衛芸術家の一人。

パブロ・ピカソ作:アブサン
Pablo Picasso (1881-1973):Absithe

作品名になっている「アブサン」というのは、ニガヨモギを主原料としたアルコール度数50-90という強烈なお酒の名前。強烈なアルコール度数ゆえに、一たび口にすると強烈な陶酔感と幻覚・興奮作用が引き起こされるらしいのだが…ハミングウェイはアブサンを“午後の死”と名付け、ランボーはアブサンを“美しき狂気”と呼ぶなど、多くの芸術家がインスピレーションを引き出すための禁断の霊酒として崇拝・愛飲したそうな。

この作品の男も目がいっちゃってますね…。それもそのはず、このアブサンは危険な悪魔の酒とされ、20世紀初頭には欧米諸国でアブサンの製造・流通・販売が禁止されたほどらしいっす。

ポール・セザンヌ

お次は近代絵画の父ことポール・セザンヌ。

ポール・セザンヌ作:パイプをくわえる男
Paul Cezanne (1839-1906) :Smoker

作品名通り、確かに物憂げなおっさんがパイプをくわえてらっしゃいますね。
この絵もただのパイプをくわえたおっさんなんだけど、妙に深みがあるというか、奥行きがあるというか。セザンヌの作品は、二次元の静物画ながらも、三次元のような感覚を覚えるような作品が多いそうな。

在りし日のセザンヌ:
「自然を円筒形と球形と円錐形によって扱いなさい。自然は平面よりも深さにおいて存在する。その為、赤と黄で示される光の震動の中に空気を感じさせる青を入れる必要性があるのです。」…
うーんなるほど、ようわからんw でも、彼のこの平面の深みを取り入れた作品がキュビズムの先駆けとなり、ピカソにも多大なる影響を与えたらしい。セオリーは分からんが、確かにおっさん一人を描いた作品でも、妙に芸術性を感じる(小並感)。

所感

どの展示品も押し合いへし合いで見ることになる大人気の新館と違い、名画の数々を独り占めできるエルミタージュ美術館新館。絵画のことなぞこれっぽっちも知らん!という門外漢でも知ってるような作品も並んでいますし、時間があれば本館のついで寄ってみるのも良いかと思います。文化人を気取ることができますよw

【エルミタージュ美術館新館】

所在地:Palace Square, 6/8, Sankt-Peterburg, ロシア 191186
ホームページ:www.hermitagemuseum.org


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