バンコクでのムエタイ観戦

体にねっとりと絡みつく独特の熱気に、選手たちの肢体がリング上でぶつかり合う生々しい音に飛び散る汗、選手の攻防に呼応してあがる観客の歓声や叫び声と、戦いを囃し立てる謎の民族音楽の旋律。立ち技世界最強格闘技とも称されるタイ式キックボクシング・ムエタイの迫力を味わうには、やっぱりライブでの観戦が一番!

バンコクのムエタイ会場といえば2大スタジアムと評されるラジャダムナンとルンピニー。

●ルンピニースタジアム
・アクセス:地下鉄ルンピニ駅から徒歩5分
・試合開催曜日:毎週火・金曜18:30~、土曜16:30~、20:30~
・料金:リングサイド2000バーツ、2階席1500バーツ、3階席1000バーツ(外国人料金)

●ラーチャダムヌンスタジアム
・アクセス:BTSサナームキーラヘンチャート(国立競技場)駅からタクシーで10分
・試合開催曜日:毎週月・水・木・日曜18:30~
・料金:リングサイド2000バーツ、2階席1500バーツ、3階席1000バーツ(外国人料金)

なかなか値が張りますね…タイ人料金でも500バーツはするようです。ここで耳寄りな情報。毎週水曜日18:00~20:30にMBK前の特設リングでムエタイが無料観戦できます!しかもリング下、セコンド横という超VIPスポットでも観戦可能!


なんてったってアクセスが抜群!買い物天国MBKのすぐ下にリングが設けられています。

ひだり みぎ
BTS(スカイトレイン)シーロム線のナショナルスタジアム駅からMBKセンターに向かう途中に見えるこの特設リング。普段は皆さん素通りしていますが、毎週水曜日はリングの周囲は賑わいを見せます。スカイトレインの駅からだとリングを俯瞰して観れるので、駅の高架にも観戦客が集まっていました。

ひだり みぎ
リング周辺にはムエタイ関連グッズの出店やムエタイ技の解説書などが並んでいます。
立ち合いからいきなり膝、両選手が組みあった首相撲状態で膝蹴りをの応酬!みたいな光景をよく目にしますが、ムエタイは他の格闘技競技と比しても極めて攻撃制限が少なく、他の格闘技ではご法度な肘・膝を使った顔面、後頭部、背中への攻撃などにも制限が設けられていないことから、しばしば『世界で最も危険な格闘技』・『立ち技最強格闘技』等等、物騒な形容をされることがあります。外国人受け入れ可能なトレーニングジムへの斡旋なども行っているらしいので、本場タイでのムエタイ修行にご興味のある方は是非。

18:00からの開戦に備え、会場は17:30くらいからボチボチと人が集まります。NMBリングの最大の魅力は何と言ってもリング下最前列の席も無料開放されていること!この日、私は気合を入れて16:30に会場入りし、最前列を確保しました。ハッキリ言って早く行き過ぎて後悔。これならば17:20くらいでも十分に最前列席が確保できた。もしかして余り人気無いのか!?と不安な気持ちになる。

しかし、開戦前になると幾重もの人の層がリングを囲むほどの大盛況となり、私の頭を過った一抹の不安は一掃される。開催者による申し訳程度の控え目なマイクパフォーマンスの後に観客を含む全員が起立した状態でタイ国家が流れ、いよいよNMBファイトナイトが幕開け。


いかにも壷からコブラでも出てきそうな音楽が流れ、第一試合を戦う選手が入場。コブラ音楽に合わせ、ワイクルーというストレッチを兼ねた(?)踊りを披露したり、コーナーを歩いて回ったりします。本日の初戦だからか、ファイターは共に若く、中高生くらいだろうか。タイ人(赤)VSベトナム人(青)の国際マッチ。


私は早めに会場入りしたこともあり、セコンド横の最上等席で観戦できることに。選手の汗が降りしきるこの席は砂かぶり席ならぬ汗かぶり席。隣にはラウンド終了のゴングと同時に選手が座る椅子と椅子の下に置く水避けの為の金盥をリングコーナーに上げ、インターバルの終了と同時に片付けるという仕事を担う興行スタッフがいたのだが、途中から彼が途中で職務放棄して逃亡(?)した為にこの仕事が私に一任されることに。こんな経験滅多にできません。

ひだり みぎ
試合は序盤から膝膝膝!ひたすら膝の応酬。ジュニアの試合だからか試合は3R制。2R後半からは両者ともガス切れしたのか、一気に試合のペースがスローダウン。泥試合に。


試合は3R判定でベトナムの勝利。通常のムエタイは5R製ですが、NMBファイトナイトでは試合によって3Rと5Rが用意されています。

その後も見所に欠ける勝負が続く。この会場ではラジャダムナンやルンピニーと違って試合結果が賭けの対象になっていないからか、観客の盛り上がりもイマイチ。3年強前にルンピニーで観戦した時の観客は目の色を変えて絶叫しながら観戦をしていたのに。しかし、今日は帰りたいにもインターバル間に椅子と金盥を上げ下げする仕事が任された以上、この場を離れられない。退屈し始めた矢先、第五試合でようやく本格的なムエタイ戦士が入場してきました。

この筋骨隆々、どっしりとした体つき!まさにこれぞムエタイファイター!と言った雰囲気があり、殺気すら漂わせている。


この獲物を狙う目!武田幸三さんバリの鍛え抜かれた超合金ボディーの選手が登場し、会場のボルテージも最高潮に。

ひだり みぎ
足にはドラゴンタトゥー。爪先から頭の上までオイルでテカテカで、見るからに強そう。

ひだり みぎ
モナカのようにクッキリ割れた腹筋。もはや漫画の世界のようなレベルの体つき。このゴッツイ選手が座るピンクのプラスチック椅子とその下の金盥をロープの隙間から上げ下げするのが私の任務。椅子を差し出すタイミングを間違えたら私までボコられかねないので、嫌な緊張感を持って任務に当たらねば。

ひだり みぎ
試合前の準備運動でも百戦錬磨の雰囲気を漂わせる。がっしりとした黒いテカリのある筋肉の塊は迫力十分だが、コブラ音楽に合わせて踊る姿は優雅で美しくもある。

ひだり みぎ
ひだり みぎ



動きすげえ速ぇぇぇぇぇ!!!!素人目に見てもハイレベルな戦い、目にも止まらぬ足技の攻防の連続に会場が歓声と絶叫で湧き狂います。赤パンツの腹筋モナカは終始押し気味に試合を進めるも仕留めきれず、5R判定に持ち込まれる。辛くも赤の判定勝ち。脚を狙うローキック、ボディを狙うミドルキック、頭部を狙うハイキックにニーキック、スピーディーな足技を中心に試合を組み立てていくスタイルは何処か芸術としてのしなやかさや美しさも感じさせてくれました。

世界最強の格闘技と呼ばれているムエタイですが、本日はK.O.はおろか、ダウンも無かった。ヘビー級総合格闘技に慣れた日本人には少し物足りなさも残るかもしれないが、それでもやっぱりライブで見るムエタイは雰囲気も含めて見応え十分。MBKでは毎週水曜日6試合~7試合が組まれています。最初の3~4試合前座的な意味合いが強くて盛り上がりにも欠けますが、最後の1~1試合は本格的なマッチが組まれるようです。無料でアクセスも良いのでおススメ!


●開催時間:毎週水曜日18:00~20:30
●開催場所:BTSシーロム線のナショナルスタジアム駅、MBKセンター入口前

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