カントーの街でメコン川沿いを歩いてみる

さて、ホテルチェックイン時に図らずも明日の水上マーケットツアーも予約ができたので、残りの時間はゆっくりとカントーの街を見て回ることができそうだ。


今回宿泊するカントーサイゴンホテル前のマーケット。

今はまだ閑散としているが、陽が落ちたころから出店が始まり、精一杯背伸びをしてオシャレをしました感丸出しの地元の若者たちで賑やかになる。メコンデルタ最大の都市ということなので、周辺地区からの若いお上りさんも大勢いるのだろう。

このマーケットを横目にホテルから2~3分歩けば悠久の大河メコン川へと出る。チベット高原から流れ出るメコン川は全長4,000m余り、高低差実に 5,000m超の巨大な国際河川だ。ラオス・タイ北部など遥か上流では比較的激しい流れのようだが、最下流のここメコンデルタでは随分と穏やかな流れに なっていて、地元民により日常的に水上マーケットが開催されているという。
ひだり みぎ
船着き場では野菜や果物、穀物が小舟から荷揚げされる光景が見られ、メコンデルタの豊かさを肌で感じられる。果物だけでいっても、ドラゴンフルーツ、夏蜜柑、ジャックフルーツ、ドリアン、ブンタン、リュウガン、マンゴー、ランブータン、釈迦頭などなど、ありとあらゆるフルーツが実り、魚介類も生息が特定されているものだけで実に1,200種以上に上るという。まさに豊穣の水の都。これらもぎ立てのフルーツや新鮮な魚介類が毎朝多くの小舟に満載され、カイランやフォンディエンで毎朝開かれる水上マーケットで大々的に商いされるのだ。


荷揚げを済ませた後の小舟を使ったメコン川ツアーへのお誘いも盛んで、川沿いを歩いていると引っ切り無しにお誘いの声がかかる。ツーダラーツーダラー言っていたのでもしかしたらツアーではなく対岸に渡るだけの為の料金かもしれないが、如何せん喋れる英語がツーダラーのみのようで、詳しく内容を確認することができなかった。


手漕ぎの小舟だけでなく、観光ボートの客引きも多いこと多いこと。川沿いは遊歩道となって松や柳も植えられ良い感じに整備されているのに、10mおきにシャチョーシャチョーと声をかけられる執拗な攻撃で雰囲気が台無しだ。明日の予定が決まっていないのなら交渉も含めて彼らとのやりとりを楽しめるのだが、既にツアーは手配済みで静かにメコンの流れを眺めたい者にとってはウザイことこの上ない。それに、こんだけ競合相手がひしめく中で営業方法に思考をこらすといったことはなく、皆が皆、まったく同じことを口にしているので相手にしていても面白味がない。視界の隅に相手を捉え、彼らが何か言葉を発するのと同時に手のひらを相手に向けて近寄るなバリアを張ることにしたのだが、バリアの上からでも容赦無く攻撃を受け続ける始末。


まるで象をも倒すと言われた強打の世界的ボクサー・ジョージフォアマンがガードの上からでもおかまいなしのパンチを相手に浴びせかけるような獰猛さでアタックしてくるツアーの客引きたち。彼らから避難する形でカントー市場へと逃げ込むことにした。かつては豊富な生鮮食料品が並び活気に満ちた市場だったそうだが、川沿いの一帯が再開発エリアに指定されてからすっかり様相が変わってしまったようだ。今は東南アジアの一般的な市場のように活気があるわけではなく、どちらかといえば若者の集うオシャレスポットのような雰囲気となっている。


立派な建物の中に整然と店が並ぶ小奇麗な市場で、バンコクのアジアティークを思わせる。入居しているサオホムというレストランもセットメニューVND190,000~と庶民を寄せ付けない高級ぶりだ。かつて市場を賑わせていたであろう果物や食品類といったものは市場の外に追いやられてしまったのか、市場前の通りに細々と果物や綿飴、青野菜の出店が並んでいる。ツアーの客引きが諦めて離れていったことを確認し、道端に並んだ果物の中から柔らかくなった完熟マンゴーを2個選び、おばさんに皮を剥いてもらってかぶりつくと 、濃厚な甘さが口の中に広がる。今まで食べた中で最も大当たりのマンゴー、これが2個でVND10,000(≒40円)という幸せ。メコンの恵みありがとう。


マンゴーを食べ終わり、市場から川沿いを北上すると、左手に中国寺院兼と広肇會舘(中国の広州と肇慶出身者の同郷人集会所)が見えてくる。明の滅亡後、多くの明の遺臣が国内 の争乱を逃れて台湾経由などでメコンデルタに入植してきたそうだ。フランスの植民地時代には、ベトナム人の経済活動に対して強い制限が設けられたのに対し、中国人に対しては制限が弱かったため、世界でも有数の大穀倉地帯のメコンデルタにおいても華僑が米の流通を握り、以後、中越戦争までの間に華僑の入植が加速していったとされている。

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どことなく香港スタイルといった雰囲気の内部には人っ子一人おらず、外の喧騒が嘘のようにひっそりとしている。


続いて、老舗レストラン&ホテルのMekongで食事を摂る。メコンの風にあたりながら真昼間からビールを飲み倒す白人客を中心に繁盛している様子。

ひだり みぎビールは一瓶VND12,000~で、アルコール類で言えばダラットワインやハノイウォッカ、ジン、ラム、ウィスキーなんてのも揃ってる。軽食はバインセオや春巻きいった定番ベトナム料理の他、チャーハン(VND25,000~)焼きそば(VND38,000~)、ピザ(13×26がVND58,000~、26×26がVND98,000~)やスパゲティ(VND42000~)なんて洋食も供される。デブい白人がビール片手に椅子に踏ん反りがえってピザを食ってる光景なんか、ベトナムではなくてアメリカそのものでした。


うわあ、ヤモリが壁を走り回ってるwwwまぁ害虫を捕食して家を守ると言われる益獣だからな…料理に向かってボディーアタックかましてくるわけでもないし、あえてヤモリを飼い慣らしてるのかもしれませんw


肝心のお料理もまずまず。小エビと豚肉のバインセオ(VND40,000)に揚げ春巻き(VND25,000)。これだけ飲み食いしてVND100,000(≒400円)でお釣りがくるというのだから堪らない。


メコンレストランで夕日が落ちるのを眺め、涼しくなったので探索を再開。メコンの川沿いは夜になると家族連れや恋人が集まり賑やかになる。ホーおじさんの像の前の広場が憩いの場だ。死んでもなお遺体が冷凍保存され、tシャツにもなり、銅像にもなりと引っ張りだこのホーおじさん。こんなに民衆から愛されている故人はめったにいないのではないでしょうか。

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ニンキエウ公園横に停泊するクルージングレストラン。クルージングは毎晩19:30に出港で、乗船料はVND10,000。


カントーで上がった活きた魚を使ったメコン料理が楽しめる。残念ながら既に満席のようなので、腹が減ってないこともありクルージングレストランを後にする。


ビールは別腹なので、川沿いのカフェ&バーで一服することに。

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シシャもあります。ミント、レモン、キーウィ、カプチーノ、リンゴ、ブドウ、苺、スイカ、バニラと味が豊富で、小サイズ180,000、大サイズ280,000。ビールは22,000~と、日本に比べれば超格安。暫し川沿いに吹くまったりとした風を浴びながらタイガービールを楽しみ、夜のカントー市場を冷かしてからホテルに戻りました。これでカントー1日目は終了。


夜のカントー市場。地元の若者の憩いの場になっているようでした。

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