メコンデルタ最大の街・カントーに行ってきた

ベトナムを代表する観光地帯・メコンデルタ。遥か北のチベット高原から4,000Kmを旅する母なる大河・メコン川の終着地点であるメコンデルタには、網の目のように広がるメコンの本支流が織り成す豊かな自然が残されていて、東南アジア屈指の豊穣な土地として世界中から訪れる旅人を魅了する。そんな魅力的な土地柄の為、当然ながら国内外のツアーではミトーやベンチェー、ヴィンロンなどのメコンデルタ各都市へのツアーが鉄板コースになっているのだが、その中でも一番人気の目的地が、今回訪問するメコンデルタ最大の街・カントーだ。大河と共に生きる南部の人々の暮らしと南国の空気を肌で感じ取れる水上マーケット巡りのクルーズツアーなんかが一押し観光コースだとか。ホーチミン市からはファングーラオ・デタム通り周辺の旅行会社がカントーへのオープンツアーを出しているが、今回は同じくメコンデルタの街・ミトーへ日帰り旅行に行った時のように、自力移動で自由度の高い旅行をすることにした。


カントーはホーチミン市から西南に160Kmのことろにあり、ホーチミン市東部に位置するミエンタイ・バスターミナルから05:30~19:00の間にバスが出ている。ここからカントーまでの所要時間は渋滞無しで3時間半だが、ホーチミン市内からミエンタイまでローカルバスで1時間弱、タクシーでも30分はかかってしまうので、バスの待ち時間などを含めるとホーチミン市内から実質5時間程度は見込んでいたほうが良い。


カントーまでのローカル乗り合いバスの運賃最安値はVND70,000。前回のミトー日帰り旅行では最安値のバスがエアコン無しで辛い思いをしたので、今回はバス業界最大手の一つ・Phuong Trang社の大型バスで移動することに。運賃はVND125,000と割高感は否めないが(といっても日本円で200円程度しか変わらない)、設備の清潔感や座席スペースはローカルバスとは雲泥の差で、再大手だけに安心・快適な移動が楽しめそう。参考までにデタム通りにあるSinh Cafeではベンチェー・カントーの一泊二日のツアーが宿泊費交通費込みでVND1,239,000(≒5000円)となっている。こちらはツアーの開始も終わりもホーチミン市内なので、面倒を省いて手っ取り早い旅行をお求めであればシンカフェのツアーを利用されたら良いかと思う。

ひだり みぎ
Phuong Trang社はベトナム南部中部の交通を網羅する業界最大手だけあって、ミエンタイターミナルの敷地に自社専用ターミナルを設けている。ローカル乗り合いバス乗り場とは違い、物売りなどはすっかり排除されているので静かにゆっくりとバスまでの時間を過ごすことができるが、逆に暇潰しには事欠いてしまう。

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さて、ホーチミン市を定刻通り07:30に出発したバスは、国道一号線を一路南西に走る。これぞ快晴!!という青々と澄み切った空の下に広がる緑の大自然が車窓の外に広がり、あぁ南に向かっているなと実感できる。

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途中、フードコートでの休憩を挿むことに。トロピカルフルーツジュースとバインミーを買って席を探すも、どの机にも食べ残しの皿やら箸やら空き缶やらが散乱していて座る所が無い…食後に後片付けしたくない客側と人が食べた物など片づけたくない店側の思惑が重なり合い、机の上は残飯に群がるハエたちの戦場と化している。単に最繁期でスタッフの手が回っていないだけかもしれんが、とにかくフードコートでの食事は諦め、外の日陰で食おうと思ったら、日陰も全てベトナムの方々に占拠されていた。人、多すぎでディズニーランドみたいな人口密度になっている。

休憩は15分程で終わり、全ての乗車客が戻ってきたことを確認しないままにバスはカントーへ向けて再出発。一応フードコートにはベトナム語でアナウンスらしきものは流れたいたが、客先放置トラブルとか起きないものなのだろうか…

恐らく全ての乗客を乗せたバスは休憩後渋滞なく順調に走り、昼前にはカントーのバスターミナルに到着した。ミトーと同じでバスを降りた瞬間、うわぁーーーーーってバイクタクシーのオヤジたちに取り囲まれるw本当、ウワァァァーーーーーーー!!!って寄ってくるので、かき分けかきわけオヤジの群を振り払いつつ歩いているうちに、市街地までの運賃の言い値が勝手に下がっていくwww最初VND50,000だったのが、ただ歩いているだけで値段交渉もしていないのに40,000、30,000となり、20,000になった。まぁ市街地まではどのみち歩くことができないので、20,000あたりが相場と考えてバイタクで移動することに。


カントー市内の街並み。なるほど、メコンデルタ経済、文化、科学技術の中心都市と言われるだけあって、どこか寂れた感のあったミトーとは違い活気がある。空港や河港、工業団地などもありインフラストラクチャーが安定している為、FDIの伸びが期待されているとのことだ。単なる大自然溢れる南国都市ってわけではないんですね。

バスターミナルから宿泊先のホテルに向かう途中、クメール寺院と思しき建物を発見したので下ろしてもらう。

ああ、やっぱりそうだ。あの独特のクメール文字が刻まれている。プノンペンの黄金寺院と比べれば地味な感は否めないが、それでも道教などの中華系寺院ここカントーの街にあっては異色の建築物として目立っている。

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祠堂内部を見学していると、若いクメール人女性に声をかけられた。肌が黒く、目がパッチリしていてなかなかの別嬪さんだ。ここにお祈りに来たら見慣れない人物(私)がいたので声をかけたそうだ。名前は失念したが、ここカントーのツアリズム専門学校に通っているらしく、中々に流暢な英語を話す。カントーの見所などを語ってもらい、次はカントー博物館に行く予定だと言ったらバイタクで送ってくれた。

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カントー博物館は中々立派な建物のようだ。お礼を言い、クメール人女性とはここでお別れ。1階にはカントーの地理・自然・歴史やオケオ遺跡の出土品展示コーナーなどが並び、2階には抗仏・ベトナム戦争時のカントーの苦難の歴史が紹介されている。なるほど、ここカントーもクメール王朝の勢力範囲だったのか。ならば街中にクメール寺院があるのも納得できる。

【カントー博物館】
・営業時間: 08:00-11:00、13:00-17:00
・住所: 1 Hoa Binh, Cantho.
・電話: 382-0955

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耳のホルマリン漬けにギロチン。

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処刑場に向かう受刑者と、刑務官に抗議をする囚人たち。2階は何か物騒な展示物ばかりだぞ。


そんなこんなでカントーの街をぶらぶらと歩き、ホテルへと移動。夜の画像しか撮っていなかったが、こちらが今回宿泊したSaigon Cantho Hotel。サイゴンかカントーかどっちなんだ!という紛らわしい名前の老舗ホテルだ。ホテル前に夜市が出されるとのことだったことと、メコン川へ徒歩一分というアクセスが魅力で、立地条件を第一にこちらのホテルを選定した。

ホテルに入って驚いたことに、クメール寺院で会った女の子がロビーのソファーに腰掛けているではないか!!「あら偶然。ところで明日はどのようなご予定で?」などと輝く笑顔で聞いてくる。これはまさかのデートのお誘いか?なんてことはなく、前置きは程々に早速ボートツアーの営業トークが始まった。そうか、先ほど迂闊にも私の宿泊先を言ってしまったもんで、恩を売ってツアーに参加させる狙いだったのか。安易に宿泊先を漏らしてしまうとは、どうも若い女性に声をかけられると脇が甘くなってしまうようだ。

彼女の話を聞いてみると、父親がボートを所有しており、明日の朝一でフローティングマーケットに連れて行ってあげるとのことで、タブレットPCで水上マーケットの画像などを見せてくれる。さっきの親切がこの営業の為だと思うと少し寂しい気持ちになったが、まあ恩は受けたので返さねばと彼女の両親によるツアーを受けることに。朝7時に彼女の母親がホテルに迎えに来てくれて、母親の船頭によりカイランの水上マーケットへと向かい、その後は自由にメコンデルタのジャングルを見て回るというプランでUS$40。はぁ。しょうがない。どっちにしろカイザンのフローティングマーケットには行く予定だったので、彼女の言うがままにサインをする。ツアリズムの専門学校に通っているというくだりも獲物を射止める為の嘘だった可能性も高いし、寺院で20分くらい話したが、いったいどこからどこまでが本当だったんだろう。何か悲しくなるなぁ。

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ホテルの部屋と部屋からの景色。夕方になるとホテルの直ぐ外に市場ができて便利だし、メコン川へも徒歩1分で出られるという素晴らしい立地条件。建物自体は古いが清潔だし、朝飯も付いて3000円なら悪くない。図らずも明日のボートは確保できたし、メコン川沿いの探索に出かけることにする。

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