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中国最大の客家囲屋跡 龍崗客家民族博物館


IHG修行で5,000ポイント付き宿泊パッケージをオファーしていたクラウンプラザ深セン龍崗ホテルへとやってきた。土日を使ってわざわざ羅湖からMTRで1時間の郊外まで来ているのだ。折角なのでホテル周辺の観光地も見て回らんと勿体ない。

とは言っても、こんな僻地に観光地があればの話だ。先ずはいつもの通りグーグル先生と睨めっこしてみる。すると、3Km程離れたところに龍崗客家民族博物館なる観光名所を発見。名前から察するに、以前に訪問した香港の三棟屋博物館のような歴史的囲屋が残る場所だろう。ちょっと行ってみたくなったではないか。

早速コンシェルジェに相談してメータータクシーを呼んでもらう。5分後、これに乗ってくれと促され、車寄せに停車したメータータクシーに乗車する。でも…先客が助手席にいるではないか!「早上好!」じゃないでしょ。誰ですか?あなた?

さっき拾った彼女をMTRの駅に降ろしてから博物館に向かうから宜しく!って…当然のように発言するタクシー運転手。そう、当地では見知らぬ客人とタクシー相乗りということもありえない話ではない。ただ、クラウンプラザでこれをやられると思わなかった。私の払い分は15元とのことで若干の割高感はあるが、抗議して揉めるのも疲れるので、道案内料として割り切ることに。どうせメーターで走っても10元以上はするだろうし。

ひだり みぎ
MTRの駅から5分くらい走ったところに見えてきた。周囲の住宅街に埋もれながらも、見上げる程に高い壁に仕切られた一角が。1817年に広東興寧客家人の羅氏一族3代数十年に渡る懸命の作業により完成させた客家専用集合住居「鶴湖新居」跡だ。敷地面積は25,000㎡と全国でも最大の客家囲屋跡で、専門家からは客家建築の芸術的結晶などと称されているそう。博物館の周囲は高層ビルに取り囲まれ、この場所だけが静かに時代に取り残されてきた感じである。

ひだり みぎ
正門の両側には大砲が二門設置されていて、その前は大きな池になっている。やはりこの囲屋も防御的な意味合いで造られた閉鎖的コミュニティーと捉えて間違いないだろう。客家は黄河中流域に暮らしていた漢族一派の末裔とされているが、国の動乱や戦禍を逃れて一族で南下を繰り返した流浪の民。客家の移住先では原住民との軋轢も多く「よそ者」的な意味で「客家」と呼ばれるようになったと言われている。もちろん外部からひょっこりやって来たよそ者に与えられる土地は不安全・非衛生・不毛・不便と劣悪な居住条件の土地ばかり。そこで、血縁関係のある同族者だけで集団で安全に暮らすことができる、分厚い土壁に囲まれた巨大で堅牢な住居を造りだしたのだ。果たして、この閉ざされた空間での暮らしぶりは如何なるものだったのか。早速入ってみることに。

要塞兼住居のような機能をしていたことから四角に囲まれた壁を2重にすることで防御力を高める構造になっている。意味合い的には縄文弥生社会の環濠・環壕集落の外堀を外壁にしたバージョンというイメージだろう。
ひだり みぎ
最初の門をくくった所で入場券(10元)を買い求め、中へと入っていく。


俯瞰図を見てみると、正確には台形に近い形となっている。祠堂を中心に閣、楼、庁、堂、房、井、廊、院などが内部に設けられているようだ。

ひだり みぎ
入り口正面のメインストリートには歴代当主や著名な客家たちの肖像画がズラリ。東洋のユダヤ人とも喩えられる客家だけに出身メンバーは豪華そのもの。太平天国革命の洪秀全、革命軍人の朱徳、革命家・孫文、鄧小平、そしてシンガポール建国の父リークアンユーなどなど錚々たる面々が並ぶ。

ひだり みぎ壁に残る雨だれの跡のような黒いシミが時代を感じさせる。なんというか、かなり古めのメゾネットタイプの団地のような雰囲気で、昔情緒たっぷりの路地裏を歩くと、ちょっとした昔町の迷路探索気分を味わうことができる。

ひだり みぎ
屋根の樋は後付っぽいけどな。


厚い壁に囲まれた城塞だが、内部には井戸があり家畜を飼うこともできた為、長期籠城も可能だったようだ。

ひだり みぎ
こんな感じで各路地にあるそれぞれのドアの中が独立した家屋になっていて、各家屋の中に客家の風習や歴史、文化などに纏わる展示物が並べられている。


たまーに開けちゃいけないダミーがあるようで、ドアを開けようとすると係員に怒られる。

試しに、入り口横にある農業コーナーに入ってみる。
ひだり みぎ
ドSな農夫が笑みを浮かべながら水牛をムチ打ってる。客家の人々は農業を中心に生計を立ててきたようで、主産物は米と茶だったようだ。

ひだり みぎ
実際に使われた農具なんかも展示されていたり。内部は湿気も酷いし熱気も凄く、厳しい囲屋内での生活が偲ばれる。

ひだり みぎ
こちらはタイポグラフィ専門家のオジサン。

ひだり みぎ
活気漲るかつての客家人マーケット。タイポグラフィ専門家や靴屋、漢方屋、果物屋、占い師などが多く商いをしていたそうだ。


食文化。流転の多い生活から、携帯や保存の利く漬物、乾物、燻製をよく利用するようになり、塩漬け技術を発達させてきたそうだ。庶民的・経済的にみえるのは、基本的に自分たちで食べる為の素朴な料理として伝わってきたためだろう。決して華があるわけではない。

ひだり みぎ
客家の衣服も手作りで至って質素。勤勉で質素倹約を好む客家人の気質が表れている。

こんなところかな。余りの暑さに1時間でギブアップ。後はクラウンプラザでチェックアウト時間ギリギリまでまったりすることに。
実際の家屋がほぼそのままの状態で展示されているという観点では非常に貴重な文化的財産だと思うし、客家文化に幅広く触れられる良い博物館だと思う。世界遺産にも登録され注目を浴びた福建の土楼よりは香港からのアクセスも良いので、客家や文化人類学に興味のある方には手ごろに訪問出来るおススメの博物館である。ただ、興味の無い方にとっては単に古臭くて薄れ汚れた遺構に過ぎないので、わざわざ足を運ぶ価値は無いかと思います。

【龍崗客家民族博物館】
住所:深圳龍崗区羅瑞合北一路
電話:0755-8429-6258/8429-7960
営業時間:09:00-17:30

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