ワットポーからトゥクトゥクに乗って5分ちょっと走ったでしょうか。高~く雲を突くように天空に向かって聳え立つ、まるで鳥居のような建築物を発見。
ワットスタットの正門前の広場に建つこの赤い鳥居状の建築物はサオ・チン・チャーと呼ばれているそう。奇妙な形をしているが、これはヒンドゥー教のシバァ神に捧げる為に総チーク材で造られたもので、何とブランコ!高さ21メートルのブランコ!!子供の頃はスリルを求めてよくブランコで遊んだものだが、これではスリルではなくただの危険である。
ワットスタット建立に先駆けて1784年に建てられ、1935年以前は毎年旧暦2月のバラモン教祭典の際に4人の司祭が6本のロープによってここに吊り下げられた小舟に乗り、前後に大きく揺すってマストの先にあるお金入りの袋を口で取るというトリーヤムパワーイと呼ばれる何とも命懸けの儀式を行っていたそうだが、墜落事故が相次いだためにラーマ7世によって行事の廃止命令が下されたらしい。高さ21mで揺らされるのに、命綱もなかったのだろうか…王の命令は絶対とはいえ、文字通り司祭を死地に赴かせるような凄まじい企画。この赤は血塗りの赤?と疑いたくなる程、見た目の爽快さとは裏腹に、幾人もの司祭を葬り去った何ともいわく付き、非常にブラックなブランコである。
鳥居の前には人間を恐れない人慣れした鳩が食糧漁りに励んでいる。近くを歩いていても逃げるそぶりすらなく、踏んでしまわないかと気を遣いながら歩くことになる。
ジャイアントスイングと呼ばれるジャイアントなスイング横の鳩を避けながら歩き、ワットスタット寺院に入ります。ここはラマ1世により建立された王室寺院で、1807年から完成まで27年の歳月を要した超大作。ラマ1世が新たにバンコクを建都する際に大仏を置こうという思し召しから、スコータイのワットマハータートから全長7m、幅6mのブロンズ製シーサーカヤームニー像が水路で運ばれ、ワットスタット境内の中央にある礼拝堂に安置されました。この仏像の御座には現国王の実兄にあたり、1946年に崩御されたラマ8世の遺骨も納められていて、敷地内には彼の等身大ブロンズ像も置かれています。正式名称はワット・スタットテープワララームといい、ヒンドゥー教の天国のインドラの住む町を表しているそうです。ラマ1世が造りあげ、ラマ8世が眠るワット・スタットテープワララーム、いざ突入です。
ここでも外国人には参観料が課されます。入って右手の小さなアドミッションセンターで支払いを済ませるも、周りを見ていたらどう見てもタイ人には見えない白人たちは誰一人として支払いをしないままにエントリーしている。チケットもなくノーチェックで参拝が許され、未支払いでも入れるという管理の緩さ。まぁ20バーツで良心を痛めるよりは、キッチリ払って清い心で参拝したいと思うけどなあ。
境内を囲む回廊には大理石が使われていて、156体もの仏像が寺院を取り囲むように鎮座しています。
いざ、靴を脱ぎ礼拝堂に入ります。
入る前から見せつけられる存在感。チラリズム。
これがスコータイから水路イカダで運ばれてきた高さ7m、幅6m近い金色の大仏!台座だけで4m程の高さがあり、涼しげな表情で下界を見下ろしています。 通常の寺院では大仏は正面からはしか拝めないことが一般的かと思いますが、こちらの大仏様は横から後ろまで360度、拝謁することが可能です。
というわけで、記念にその御尻をパシリ。美しいボディーラインに思わずうっとりしてしまう。
また、建物の柱や壁、天井に描かれた壁画も見応えがあります。1つ1つに仏教に因んだ物語が描かれているので、仏教に造詣が深い方が見たら何時間でも見て周れるのでしょう。私みたいな素人が見ても面白いものです。
宮殿の画でしょうか。民衆が混乱している様子が見て取れるような…
刀を持った罪人が遊女を誘拐するところ?何を表した絵なのか想像を張り巡らせるだけでも面白いですが、建物内は如何せん暑すぎるので、残念ながら長居は禁物。寺院の本堂を目指します。
ワットスタットの内部案内地図。本堂は礼拝堂の奥50mほどのところに位置。
本堂に向かうまでに見られる多くの石像はラマ3世が中国からの帰国の際に舟を安定させるために船底に多くの石仏を積んできた時の物だそうです。
本堂の入口には…
痩せこけて何とも慎ましい御姿の仏像。その悲痛な御表情と浮き出た肋骨を見せられては、こちらも厳かで慎ましい気分になってしまいます。
本堂に入ると、大仏の前で仏様の説教を聴く僧たちの人形がズラーッと並べられている他は礼拝堂と同じような造りです。
本堂での参拝を済ませ、今一度境内の中庭をぐるーっと一周してみると…
このような非常に奥床しい仏像も。
境内の西の一角には等身大のラマ8世像があります。
現在王様であるラマ9世の実兄にあたる方で、1946年に20歳の若さで崩御された短命の王様です。
ワットスタットは綺麗でキッチリと整備された印象でした。ワットポーの様に観光客でごった返すわけでもないので、落ち着いて参拝することができ、お勧めです。
●拝観時間:08:30-17:00(本堂、礼拝堂は16:00まで)
●拝観料:20バーツ
●バス:15,35,47,48,508
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