搭乗記 エミレーツ航空 B777-300ビジネスクラス テヘラン⇒ドバイ

さぁ、今回の旅行もいよいよ大詰め。
「イランどうだった?」「イラン人どう思う?」「イランの食事どうだった?」「イラン近代文化の象徴とされる宮殿に行った?どうだった?」「イランの博物館はどうだった?」ホテルから空港へ向かうタクシーの運転手から無限に放たれてくるイランに関する質問をさばき切り、テヘラン⇒ドバイ⇒香港⇒羽田と小刻みに飛行機を乗り継ぎ東京へと戻ります。

帰りもテヘラン⇒ドバイ・ドバイ⇒香港も元々はエミレーツのファーストクラス!…だったはずなのですが、エミレーツ名物の機材変更による強制ダウングレードでビジネスクラスになってしまいました。


F機材が飛んでるから旅行の〆をテヘランにした自分ほんと涙目w テヘラン⇒香港でF機材飛ばしてるのを発見した時はめっちゃテンション上がったんですけど。


チェックインでは、「オウ、涙を拭けよ!」とばかりに親切に対応して下さるアーリア人女性に癒されました。涙を拭いて飛んできます。


香港までは通しのチェックイン、Fからスライドしてきたからか、座席は指定せずとも1Aになっていました。エミレーツ都合のダウングレードですが、もちろんドバイでの使用ラウンジもビジネスクラス。涙は拭いたがテンションだだ下がり。

テヘラン エマーム・ホメイニ空港(IKA) CIPビジネスクラスラウンジ


拍子抜けするくらいあっさりと出国審査と保安検査を終え、グランドフロアにあるFirst &Business Class Loungeへ。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
もちろんアルコールは無いですが、敵国のコカ・コーラは置いてありました。ザムザムコーラじゃないんすね。その他は派手な蛍光色の激アマドリンクやイラン産のノンアルコールビール、フルーツジュースなどが供されています。


HEYDAY!イランのノンアルビールですが、これがまたくっそマズかったw

ひだり みぎ
最高なのはアイスのバラエティーの豊富さね。外気温0℃でもがっつり頂きまっせ。


シュークリームのようなアイスに、ピスタチオとバニラアイスを包んだもっちり系アイス。アイスのレベルの高さにイランの国力の高さを感じます。こんだけ美味いアイスを作れればアメリカとも渡り合っていけますねw

ひだり みぎ
ロゴがグリコにクリソツですが、おそらくきっとローカルメーカー製ですw

フライト:テヘラン⇒ドバイ


いやー、搭乗してびっくり。ぴっしりとスーツを決めた金持ちそうなペルシャ商人が多かったので混んでるかなーと覚悟してたんですが、C席の搭乗者数4人とガッラガラ。こりゃあF機材なんか飛ばしませんわ。

ひだり みぎ

機材はB770-300。残念シートではありますが、ドバイまで2時間程度のショートフライトですし、隣席が空いてるんで全然オッケー。レッドアイのドバイ⇒香港でコイツが来たらキツいですけど。



出発は燃料の補給に時間がかかって多少遅れたけど、無事にテイクオフ。周りは清々しいほどに何もないっすねw


砂漠の中に突如として現れた白銀のナマック湖。首都テヘラン以外にも見所が豊富すぎます。イラン。

機内食

機内食はランチ仕様で、メインは3択。最後までエキゾチックなムードで行きたかったのでケバブを選択。

Appetiser:
Percian Salad

Main Dish:
Kabob Koobideh
Butter Chicken
Cod a lamoricaine

Dessert:
Faisalieh Kashta


これがまた大当たり。ちょっと固いけどジューシーな肉の塊にパサパサピラフ、そして濃厚なサフランのクリームソース、それぞれの個性が良い感じにマッチした上品なペルシャ料理でした。


このピスタチオの削りカスが乗った謎のデザートも激うま。中にクリームチーズが入ってました。飛行機で食べたペイストリーでは人生で一番といっても過言じゃないレベル。

アプローチ


大満足の機内書を食べ終えた頃には、ペルシャ湾を越え、乾いたアラブ半島の大地が見え始めました。

ひだり みぎ
対岸の祖母浮くなイラン側とは大違いで高層ビルが立ち並ぶ賑やかなアラブ世界に上陸。

ひだり みぎ
圧倒的人工感。


蜃気楼っぽくブルジュハリファなどドバイ市街の高層ビルが陽炎で揺らめいてる様が幻想的。

あー、今回の旅行ももうすぐ終了だー。

見どころ満載 イラン考古学博物館(国立博物館)でペルシャの歴史をおさらい

さてさて、お次はテヘランで最も楽しみにしていたイラン考古学博物館(国立博物館)へと向かいます。長~い歴史と凄~い文明を誇ってきたペルシャの地で見つかった紀元前6000年から19世紀に到るまでの国宝級美術品を集めたイラン最大規模の博物館ですからね。きっと見所満載に違いありません。


博物館は大きく分けてイスラム化前後で建物を分けて展示しているみたいですが、残念ながらイスラム化後のイスラムコレクションを展示する別館は休館中。ということで、この日は8世紀のウマイヤ朝支配後にイスラム化する以前のペルシャの歴史に絞ってみていきます。


開口アーチ門のエントランスが美しいイラン考古学博物館本館。時代を遡ってアケメネス朝、アルサケス朝、ササーン朝時代のペルシャの様子をぱっと覗いてきます。

建物の中は長方形になっていて、入り口を右に進んで反時計回りに進めば年代順に歴史を追えるようになっています。

ということで、時代は一気に有史以前に遡って紀元前2,400-2,800年、初期青銅器時代に造られたとされる美しい造形の青銅器から。4,000年以上に存在していたくびれ美人が見事な頭上運搬を披露してくれてますw


古代オリエントに栄えたエラム王国のチョガザンビル遺跡で見つかった、紀元前1,250年頃に神への供え物として作られたとされる牡牛の像。身体に刻まれた楔形文字がメソポタミア文明との文化的繋がりを示しています。


決して焼き肉屋のこれじゃありません。

ひだり みぎ
その古代エラム王国の中心地が、イランで初めて世界遺産に認定されたチョガザンビル遺跡。バベルの塔のモデルとも考えられていたジッグラトと呼ばれる聖塔は破壊されてしまっているが、マンションの完成予想図のようなクオリティの復元図に拠ると、メソポタミア文明特有の大きな階段状ピラミッドのような形状だったよう。
古代ペルシャ文明レベル高すぎぃぃ。


ひだり みぎ
時は進みアケメネス朝ペルシャ(B.C.550- B.C.333年)時代の宮殿ペルセポリスへ。ダレイオス大王の謁見図のレリーフには、中央に鎮座するダレイオス1世と背後のクセルクセス1世に謁見する高官のシーンが描かれてます。


古代ペルシャのシンボル的国宝で、保存状態も極めて良好。硬い石灰石の浮彫で髭のチリチリ感と髪の毛のふっさふさ感をここまでリアルに表現するとは!


ひだり みぎ
ペルセポリス宮殿の謁見の間へと続く階段もバッチリ残っています。北向きの階段脇にはペルシャ人とメディア人の高官が交互に並ぶ様が、南向きの階段脇には贈り物を献上する属国の使者が鮮明に彫り込まれてます。今にも各国使節団が動き出しそうなくらいリアルで、見れば見るほど気味が悪くなる程です。

ひだり みぎ
種馬や布を持ち込むカッパドキア人、正装ドーティを纏ったヒンドゥー教徒のインド人、弓矢斧など尖塔道具を納めたソグディアナ人、半袖+ブーツでカジュアルな装いのアッシリア人など、各国からの使節団の格好や献上品が絵心たっぷりに描き分けられてるのには驚かされます。


こちらはダリウス1世の謁見の間にあったとされる、彩釉煉瓦によるペルシャの兵士像。紀元前6世紀頃の作品とは思えぬクオリティの高さ。


更に時は流れてアルサケス朝パルティア(B.C.248-A.C.226)時代。王族の威厳や優雅さたっぷりに威風堂々と構えるパルティア王子像がデーンと構えます。



パルティアは遊牧民の族長が興した王朝で、東はパキスタン西は現トルコまでを支配下に置くなど版図を拡大。地中海周辺国を巡りローマともドンパチやりあってたからか、石像のお顔立ちが気持ち西洋風になってきた気がします。

ひだり みぎ
農耕民族系イラン人が226年に興したササン朝(226-656年)。農業で鍛えた身体でローマ軍をも破ったことからササーン朝時代の遺跡でも多量の西洋風モザイク画が発掘されています。どれも保存状態が良くてびっくりするわ。
やっと日本で水田じゃー!土器じゃーってやってる中で卑弥呼が出てきたのがここら辺ですからねw 歴史の違いをまざまざと見せつけられます。

【グロ注意】こちらはソルトマンと呼ばれる岩塩鉱山で出土した人間の頭蓋骨とレザーブーツを履いた左脚の骨だそうです…。


面白がってカツラや付け髭なんか着用させたるなやと思ったら、なんと頭髪も髭も本物。DNA鑑定によるとB型・37歳男性、1,700年前ササン朝ペルシャ時代の御仁で、鉱山内で起きた不慮の事故によりお亡くなりになられたそう。

ここからペルシャの地は美味いや美味いやウマイヤ朝の台頭によりイスラム化。その後、ウマイヤ朝(661-750年)、アッバース朝(750-1517年)、セルジューク朝(1038-1157年)、イルハーン朝(1256-1335年)、ティムール朝(1370-1507年)、サファヴィー朝(1501-1736年)、ガージャール朝(1779-1925年)、パフラヴィー朝(1925-1979年)、イラン革命でイスラーム共和国(1979年-)と続いていきます。
歴史の層が厚すぎますよ、イランさん…

世界史だと中央アジアの歴史ってさらっと流されちゃった記憶がありますが、ウマイヤ朝後のペルシャコレクションもきっと凄かったんだろうな~

【イラン考古学博物館(国立博物館)】

ゴレスターン宮殿とイラン人のホスピタリティ精神と

近世イランを代表する建築物とされるゴレスターン宮殿へ。いやーこれがまた凄い宮殿でした。インパクトの強さでは世界の宮殿でも一番じゃないかというくらい。


ゴレスターン宮殿は群雄割拠時代を制して18世紀末にイランを統一したカジャール王朝(1796年~1925年)が税の限りを尽くして建てた王宮で、世界一煌びやかな宮殿という声もチラホラと聞こえるようなテヘランを代表する観光スポットです。ただ、その割にエントランスが地味すぎて、ここが煌びやかな宮殿の入り口だとは気づかずに何回か目の前をスルーしちゃいました。どこぞやの遺跡みたいに世界遺産アピールの看板とかも一切ありませんし。

本当にここがかの有名なゴレスターン宮殿の入り口?訝しげに思いつつも中に入ってみると、「ウェルカ~ム、マイフレーンド!!」という強烈なテンションのマリオ髭したオッサンが一人。むろん、ワイとオッサンはこの時が初対面であるが、あたかも旧知の仲かのように接してくれました。

そして、眼鏡をいじりながら慣れた口調で料金システムの説明をしだすオッサン。入場するだけなら15万リアルだが、宮殿内のそれぞれの建物や展示室への入場料が追加オプションになっているようだ。当然、オプションを付ければ付けるほど支払い金額が大きくなっていく。

うーん、どうしようか。

プライスリストに目をやろうとするワイを尻目に、説明を終えるなりテキパキと何やら作業をしだすオッサン。
「はい!460,000リアルな!Main Hall、Marble Throne、Wind Towerの3カ所に入れるから!みんな行くのは決まってこの3カ所なんだよ、私は知っているんだ。」

え、説明までしといてワイに選択権与えてくれないんすかwww
せっかくなんで全部盛りでいきたかったんですがw
ほんとイランの人って、外国人(特に日本人)に対して親切すぎて、結果としてこういう先走った親切の押し売りみたいになっちゃうことがあるんすよねw 悪く言えばお節介なんですけど、このパターンの人はホスピタリティ精神が制御できずに爆発しちゃってるだけなんで、ほぼほぼ悪気無いんですよね。

ということで、なんだかよく分らないけど、オッサンに言われるがまま宮殿内へ。

中にはタージマハルの設計にも影響を与えたと言われるペルシャ式の庭園が広がっていて、中央の池を中心に精巧なタイルやモザイクアートがびっしりと施された建物が並んでいます。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
ひだり みぎ
精巧なモザイクやタイルアート、浮彫芸術の雨嵐でペルシャ芸術の宝庫っぷりをまざまざとみせつけてくるゴレスターン宮殿。宮殿の建物内に入る前から早くも圧倒されてしまいます。

メインホール(タラーレ・アスリ TALAR E ASLI)

ひだり みぎ
外観のペルシャブルーを一通り堪能したところで、おっさんのお任せコースを消化していくべくメインホールの中へ。


これがまた凄い。外は落ち着いた色合いのペルシャンブルーのタイルで壁一面びっしり埋め尽くされていたのに、内装は全面鏡張りというセンス。右も左も見渡す限りギンギラギン、全然さりげなくありません。


鏡をカットしてモザイクに使っちゃうとか、どんな発想なんですか!宮殿に相応しく豪華で凄いのは分かりますが、ここに住みたいかと言われるとちょっと遠慮しちゃいそう。


ひだり みぎ
室内なのにサングラスが要りまっせ。眩しさだけでいったらヴェルサイユ宮殿の鏡の間以上です。

gold
何事も一番がいい!なぜだか、エゴ全開だった頃の彼のゴールドスーツ姿を思い出しました。


宮殿内のどこを見ても豪華絢爛だし、各国からの金銀財宝なんかも惜しげもなく披露されている。さぞかしガージャール朝の時代は華やかな時代だったんだろうなぁ…そう思いたいところなのですが、ガージャール朝時代は関税自主権の喪失や領土の失地喪失、相次ぐ内乱など、イランにとって内憂外患の暗黒の時代だったそうです…


ド派手な宮殿作ったのでスパンコールのイケイケドレスでも身に纏ってるのかと思いきや、王自らの服装は意外と地味でちょっと草w
このガージャール朝4代目の王であるナーセルッディーン・シャーはヨーロッパ文化大好き人間。ヨーロッパとペルシャの建築文化の折衷様式でゴレスターン宮殿を建てるよう命令を下したそうだ。オスマンのドルマバフチェ宮殿もそうだけど、この時代のイスラム世界には西洋文化に対するコンプレックスでもあったんすかね。

Marble Throne タフテ・マルマル(TAKHT E MARMAR)

続いては、大理石の玉座や王の棺が置かれているという玉座の間へ。


ひだり みぎ
担当者の人力により365日24時間体制で担ぎ上げられる大理石の王座。ある者は肩で、またある者は頭で王座を支え続けてます。


ひだり みぎ
金銀ギラギラ一辺倒だったメインホールとは趣が多少異なる空間。君主の嗜好や建築文化が反映されているのでしょうか。


ひだり みぎ
大理石の玉座では、歴代の王の戴冠式などが行われていたそうです。

ガージャール朝の君主:
アーガー・モハンマド・シャー(1796年1797年)
ファトフ・アリー・シャー(1797年-1834年)
モハンマド・シャー(1834年-1848年)
ナーセロッディーン・シャー(1848年-1896年)
モザッファロッディーン・シャー(1896年-1907年)
モハンマド・アリー・シャー(1907年-1909年)
アフマド・シャー(1909年-1925年)

Wind Tower 風の塔(Emarat-e Badgir)


最後に見学するは、バードギールと呼ばれる天然の採風塔が設置された“風の塔”。

ひだり みぎ
これまた内部はギランギランで強烈…

ひだり みぎ
ひだり みぎ
すごいよなー。凡人じゃ考えつかないですよ、こんなデザイン。

で、帰り際に髭のオッサンがシフト終わりなのかちょうど外に出てきたんで、「すごいよなー。凡人じゃ考えつかないですよ、こんなデザイン。」って言ったら、満面の笑みでサムズアップしてナーンを一切れ下さいましたw 愛すべきイラン人の国民性w 短い滞在でしたけど、ほんとガチでこんな良い人ばかりだったんですよ。世界遺産のゴレスターン宮殿のインパクトも凄かったけど、正直イラン人のあっつあつなホスピタリティ精神の方が強烈に印象に残りましたねw

【ゴレスタン宮殿(Golestan Palace)】

所在地:Tehran, Tehran District 12 Fifth Khordad Avenue, Arg Sqr، Panzdah-e-Khordad St.
円輪:+98 21 3311 3335

テヘランの町をぶらぶら バザール、アーブギーネ博物館(ガラス&陶磁器博物館)

やってきましたイランの首都テヘラン。
テロ支援国家、悪の枢軸、核開発問題、経済制裁、大規模デモなどなど、何かときな臭い感じでフレームされがちなイランですが、来てみたら全然全然平和なところっす。

寧ろ、人がやたらとフレンドリーなのに驚かされたりします。


通りを歩いていたら「おー、マイフレンド!イランは最高だろー。どこ行くんだ?送ってってやるぞー」なんて軽いノリで声をかけられたり、一緒自撮りしよう!と求められたり。通りを歩いているだけで何故だかナーンを寄進されたこともありましたw
エジプト人やインド人のようにウザくもなければ見返りを求められることもなく、良い意味でイラン人のホスピタリティには何度も驚かされました。

人も良ければ、首都の貫禄たっぷりの街並みも良いっすね。
沢山の人、沢山の車、排気ガス、砂埃り、タバコ、香辛料、ガソリンの匂いにケバブ屋の煙…色んなものが盆地の底で混ざり合ったエネルギッシュな町で、ぺルシャ人の生命力の強さが感じられます。それでいてエジプトやインドよりは秩序だってて洗練されてるし。
ひだり みぎ
ひだり みぎ
目に入るもの全てがエキゾチック!

ただ、銀行行っても屋台行っても、数字もエキゾチックすぎて読み取れないので少々辛いところ。
ひだり みぎ
銀行に英語名つけるくらいならエキゾチックすぎて数字もアラビア数字にしてw

グランドバザール

とりあえず人の流れに沿って歩いていると、気づけばバザールに行き当たりました。都市圏人口1,400万人という超巨大都市テヘランのバザールだけあって、世界でも最大規模のバザールらしいっす。

さあ、ここでものを言うのは敵国通貨のUS$。経済制裁などの影響でイランリヤルが絶賛大暴落中で、イラン国外から来た旅行者にとってはウハウハバブリー状態。胃拡張修行や土産物の調達が捗ります。


ひだり みぎ
ひだり みぎ
風情たっぷりのバザール内。金銀宝石に絨毯、ドライフルーツや香辛料などなど、中近東らしい商材を扱う個人店舗がひしめきあって活気があります。欧米企業から強烈な経済制裁を喰らってるのに商店のには軒先にはみ出してくる程の物資が並んでて、アメリカに真正面から対抗し続ける地域大国の自力の強さが伺えます。実際、ABCD包囲網どころじゃないくらいのえげつない制裁を喰らい続けてるのに、ここまで長い間よく耐え忍んでるなって思う。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
職人の技術力の高さにも目を見張るというか、冴えない個人商店風の店舗に置かれてる銀細工や象嵌細工などでも本当にクオリティが高くて驚かされます。絨毯とか陶器とか、小物の生産技術を芸術の域まで昇華させちゃうような職人肌の人が多いですよね、ペルシャ人。


ナーンとかも一々くっそお洒落ですし。美意識が高いんでしょうな。

そんなペルシャ職人たちの粋を堪能するべく、お次はガラス&陶磁器博物館ことアーブギーネ博物館という場所に向ってみました。

アーブギーネ博物館(ガラス&陶磁器博物館)



ペルシャ富豪の邸宅のような佇まいの博物館。ガージャール朝時代の1910年に時の権力者のお住まいとして建てられたそうな。


権力者の館だけあって内部もゴージャスだし、個人コレクション程度の小さな博物館なのかなーと思いきや、かなーりの規模感。紀元前400年から現代に至るまでのガラスと陶磁器の数々が年代順に展示されています。


ひだり みぎ
ひだり みぎ
ガラス化粧瓶のショーケースも宝石店ばりw


ひだり みぎ
東地中海スタイルの要素が混じったササン朝(226-651年)ペルシャ時代の陶器。造形センスもさることながら、機能性も現代作品と変わらぬ領域にありビビります。ただの農業頑張るマン集団じゃなかったんですね、ササン朝ペルシャ。


2-4世紀頃のミニ香水入れ。ササン朝ペルシャの貴婦人もダマスクローズの香水とか使ってたのかなー。


こちらは有名なササンガラスかな。Probablly Sasanian Timeって自信なさげに書かれてたけどw

ひだり みぎ
ひだり みぎ
年月を経たが故の深みからきてるのか、在りし日は更に美しい色相なのか、神秘的な配色の小物が盛り沢山。古くシルクロードを伝って奈良時代の日本の正倉院に納められたという切子硝子椀のようなササンガラスもありました。シルクロードの東の終着点とされる奈良に伝わった切子硝子椀のまさに西側のルーツと呼ぶべき芸術品ですからね。これは感動ものです。

ひだり みぎ

12-13世紀になると、だいぶテイストが変わってきますね。いわゆるペルシャブルー的な作品も多くなってきます。

ひだり みぎ

14世紀になると、金色のラスター彩の陶器が多くなります。


こちらの優雅な曲線を描いた印象的な形のガラスアートは18世紀のもの。戦地へ赴いた夫を待つ妻が涙を溜めたとされる涙壺だそうです。

ひだり みぎ
この19世紀の陶器の円卓も超大作。イラン最大の民族叙事詩であるシャー・ナーメのハイライトシーンがびっしりとガラス上に描かれてます。日本でいうとイザナミとイザナキの黄泉国での夫婦喧嘩みたいなシーンが描かれてるみたいなことになるのでしょうか。

いやー、素晴らしいっすペルシャ文化!この調子で絨毯博物館や宝石博物館も行きたかったのですが、残念ながらアーブギーネ博物館の見応えがありすぎて、ここで時間を使い果たしてしまいましたw

いやー、テヘラン良いっすよ!もちろん地方都市の方が遺跡が沢山あってペルシャ文化に浸るには良いんでしょうが、テヘランもテヘランでテヘランなりの楽しみ方が沢山ありまっす。

【Abgine Glassware Museum】

所在地:Tehran Province, Tehran, District 12, 30th Tir St, イラン
電話:+98 21 6670 8153

宿泊記 テヘランでの滞在先 Ferdowsi International Grand Hotel

イランに来るにあたって一番困ったこと、それは宿泊先の確保。
イランにはエアポートホテルのノボテルとイビス以外に大手外資ホテルは展開していないだけでなく、アゴダ等の予約サイトでもイランの宿は殆ど取り扱ってないですからね。
テヘラン到着後に自分の足で周ってホテルを探すなんてバックパッカーばりの曲芸もあったけど、ホテルの予約なしだとそもそも入国すらできない可能性すらありますし…。

困った困った。
もうね、仕方なく適当にローカルサイトをあたりまくりまして。
口コミとかも殆どなくどんなホテルかも良く分かりませんが、適当にヒットしたFerdowsi International Grand Hotelを予約してみました。ホテルの公式サイトでの直予約で、サイト内で予約したら速攻で予約確認のメールが飛んでくるなど、中々の対応。InternationalとかGrandって付いてますし、国際的でそれなりのホテルなんでしょう。

レートは、Twin VIP With Free Breakfastという空港でのピックアップ付きプランで一泊込々US$60でした。
空港からの移動は渋滞無しで1時間程。地下鉄駅も近いし、ゴレスターン宮殿・バザール・考古学博物館といったテヘラン市内の見所も徒歩圏内に集まっていて観光にはうってつけの便利な立地にあります。


自称四つ星ホテルだけあって、思いのほか立派なホテルで一安心。エントランス前の道路は保安検査をパスした車輛しか入れないようになっていたりと、セキュリティ面もばっちりで安心して泊まれますし。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
ローカルサイトでペルシャ風ホテルと紹介されてことが決め手の一つとなってここを予約したんだけど、頭に想い描いてたペルシャの感じとはちょっと違いましたかね。チャラいドアマンの風貌も含めてモダンペルシャな感じが凄いです。


廊下も凄いド派手なテイストで、ハウスキーパーの御婆さんも魔女みたいな感じでしたw

部屋:Double VIP With Free Breakfast


ひだり みぎ
部屋も真っ赤でラブホみたいなデザインだったらどうしようw なんて心配をよそに、室内は普通に落ち着いた雰囲気で、ところどころ控えめなペルシャ文化要素が盛り込まれてて異国情緒ある感じです。

_20190207_103124
wifiのユーザーネームとパスワードも異国情緒ありすぎて読解不能。Englishを選択してUsernameとかは英語になったのに、肝心のところがペルシャ文字になったままというねw


壁には傾城傾国のペルシャ美女の絵が飾られているのですが、これがまた見れば見るほど吸い込まれていきそうというか。単に写実的だけでなく、妙に奥行きがあって立体的なんですよね。夜になってこいつら動き出すとか、絵画の中の世界に引きずりこまれるんじゃね?ってくらい少し気味が悪い作品でした。



ペットボトルの水、金庫、ハンガー、スリッパなどなど、必要な物は粗方揃ってるかな。

ひだり みぎ

ウェルカムフルーツとスイーツは食べてなくてもデイリーで追加されていくという気前の良さw

水回りも清潔で良いじゃないですかー。流石はグランドにインターナショナルなホテル!
ひだり みぎ

ただ、インターナショナルと言ってもやっぱりアメニティ類はイランの国産品オンリー。

朝食


ひだり みぎ
ひだり みぎ
ひだり みぎ
朝食は見た目も味もエキゾチックなペルシャ料理中心。

ひだり みぎ
窯も完備してて、焼き立てのナーンを用意してもらえます。

ひだり みぎ
焼けたぜーっていって陽気なにっこりナーン配給おじさんが焼き立てナーンをホイってテーブルに置いてくれるんだけど、分量が明らかにファミリー用。


スープにナーン、ソーセージにナーン、チーズにナーン、ジャムにナーン。誰とでも合わせられるし単独でも良い味出す。やばいナーン万能選手すぎるやで。
パリっとカリっとした仕上がりだったら肉やら茄子やらチーズやらを載せクリスピーピザのようにして食べたり、モチモチ感強めだったらクリームやデーツと合わせてクレープにしてみたりと、その日の状態によっても使い分けられますし。最強の主食じゃないですかナーン選手!

チェックアウト

支払いは米ドルでの現金支払いが良いでしょう。アメリカ資本のビザやマスターカードも8%の手数料を上乗せすれば使えるとホームページ上では謳われてますが、私が泊まった時はダメでした。経済制裁が続いているうちは無理でしょうね。

もっとネタ的なトラブルやイベントがあるかなーと思ってたんですが、意外にといったら失礼ですが普通に泊まれてしまいました。次にまたテヘランに来ることがあったら間違いなくまたここに泊まると思います。

【Ferdowsi International Grand Hotel Tehran】

所在地:Tehran, No.20, Kooshk e Mesri street, Beginning of Ferdowsi Ave., North of Imam، Khomeini square،
電話:+98 21 6672 7026
公式サイト:http://www.ferdowsihotel.com/en