ゴレスターン宮殿とイラン人のホスピタリティ精神と

近世イランを代表する建築物とされるゴレスターン宮殿へ。いやーこれがまた凄い宮殿でした。インパクトの強さでは世界の宮殿でも一番じゃないかというくらい。


ゴレスターン宮殿は群雄割拠時代を制して18世紀末にイランを統一したカジャール王朝(1796年~1925年)が税の限りを尽くして建てた王宮で、世界一煌びやかな宮殿という声もチラホラと聞こえるようなテヘランを代表する観光スポットです。ただ、その割にエントランスが地味すぎて、ここが煌びやかな宮殿の入り口だとは気づかずに何回か目の前をスルーしちゃいました。どこぞやの遺跡みたいに世界遺産アピールの看板とかも一切ありませんし。

本当にここがかの有名なゴレスターン宮殿の入り口?訝しげに思いつつも中に入ってみると、「ウェルカ~ム、マイフレーンド!!」という強烈なテンションのマリオ髭したオッサンが一人。むろん、ワイとオッサンはこの時が初対面であるが、あたかも旧知の仲かのように接してくれました。

そして、眼鏡をいじりながら慣れた口調で料金システムの説明をしだすオッサン。入場するだけなら15万リアルだが、宮殿内のそれぞれの建物や展示室への入場料が追加オプションになっているようだ。当然、オプションを付ければ付けるほど支払い金額が大きくなっていく。

うーん、どうしようか。

プライスリストに目をやろうとするワイを尻目に、説明を終えるなりテキパキと何やら作業をしだすオッサン。
「はい!460,000リアルな!Main Hall、Marble Throne、Wind Towerの3カ所に入れるから!みんな行くのは決まってこの3カ所なんだよ、私は知っているんだ。」

え、説明までしといてワイに選択権与えてくれないんすかwww
せっかくなんで全部盛りでいきたかったんですがw
ほんとイランの人って、外国人(特に日本人)に対して親切すぎて、結果としてこういう先走った親切の押し売りみたいになっちゃうことがあるんすよねw 悪く言えばお節介なんですけど、このパターンの人はホスピタリティ精神が制御できずに爆発しちゃってるだけなんで、ほぼほぼ悪気無いんですよね。

ということで、なんだかよく分らないけど、オッサンに言われるがまま宮殿内へ。

中にはタージマハルの設計にも影響を与えたと言われるペルシャ式の庭園が広がっていて、中央の池を中心に精巧なタイルやモザイクアートがびっしりと施された建物が並んでいます。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
ひだり みぎ
精巧なモザイクやタイルアート、浮彫芸術の雨嵐でペルシャ芸術の宝庫っぷりをまざまざとみせつけてくるゴレスターン宮殿。宮殿の建物内に入る前から早くも圧倒されてしまいます。

メインホール(タラーレ・アスリ TALAR E ASLI)

ひだり みぎ
外観のペルシャブルーを一通り堪能したところで、おっさんのお任せコースを消化していくべくメインホールの中へ。


これがまた凄い。外は落ち着いた色合いのペルシャンブルーのタイルで壁一面びっしり埋め尽くされていたのに、内装は全面鏡張りというセンス。右も左も見渡す限りギンギラギン、全然さりげなくありません。


鏡をカットしてモザイクに使っちゃうとか、どんな発想なんですか!宮殿に相応しく豪華で凄いのは分かりますが、ここに住みたいかと言われるとちょっと遠慮しちゃいそう。


ひだり みぎ
室内なのにサングラスが要りまっせ。眩しさだけでいったらヴェルサイユ宮殿の鏡の間以上です。

gold
何事も一番がいい!なぜだか、エゴ全開だった頃の彼のゴールドスーツ姿を思い出しました。


宮殿内のどこを見ても豪華絢爛だし、各国からの金銀財宝なんかも惜しげもなく披露されている。さぞかしガージャール朝の時代は華やかな時代だったんだろうなぁ…そう思いたいところなのですが、ガージャール朝時代は関税自主権の喪失や領土の失地喪失、相次ぐ内乱など、イランにとって内憂外患の暗黒の時代だったそうです…


ド派手な宮殿作ったのでスパンコールのイケイケドレスでも身に纏ってるのかと思いきや、王自らの服装は意外と地味でちょっと草w
このガージャール朝4代目の王であるナーセルッディーン・シャーはヨーロッパ文化大好き人間。ヨーロッパとペルシャの建築文化の折衷様式でゴレスターン宮殿を建てるよう命令を下したそうだ。オスマンのドルマバフチェ宮殿もそうだけど、この時代のイスラム世界には西洋文化に対するコンプレックスでもあったんすかね。

Marble Throne タフテ・マルマル(TAKHT E MARMAR)

続いては、大理石の玉座や王の棺が置かれているという玉座の間へ。


ひだり みぎ
担当者の人力により365日24時間体制で担ぎ上げられる大理石の王座。ある者は肩で、またある者は頭で王座を支え続けてます。


ひだり みぎ
金銀ギラギラ一辺倒だったメインホールとは趣が多少異なる空間。君主の嗜好や建築文化が反映されているのでしょうか。


ひだり みぎ
大理石の玉座では、歴代の王の戴冠式などが行われていたそうです。

ガージャール朝の君主:
アーガー・モハンマド・シャー(1796年1797年)
ファトフ・アリー・シャー(1797年-1834年)
モハンマド・シャー(1834年-1848年)
ナーセロッディーン・シャー(1848年-1896年)
モザッファロッディーン・シャー(1896年-1907年)
モハンマド・アリー・シャー(1907年-1909年)
アフマド・シャー(1909年-1925年)

Wind Tower 風の塔(Emarat-e Badgir)


最後に見学するは、バードギールと呼ばれる天然の採風塔が設置された“風の塔”。

ひだり みぎ
これまた内部はギランギランで強烈…

ひだり みぎ
ひだり みぎ
すごいよなー。凡人じゃ考えつかないですよ、こんなデザイン。

で、帰り際に髭のオッサンがシフト終わりなのかちょうど外に出てきたんで、「すごいよなー。凡人じゃ考えつかないですよ、こんなデザイン。」って言ったら、満面の笑みでサムズアップしてナーンを一切れ下さいましたw 愛すべきイラン人の国民性w 短い滞在でしたけど、ほんとガチでこんな良い人ばかりだったんですよ。世界遺産のゴレスターン宮殿のインパクトも凄かったけど、正直イラン人のあっつあつなホスピタリティ精神の方が強烈に印象に残りましたねw

【ゴレスタン宮殿(Golestan Palace)】

所在地:Tehran, Tehran District 12 Fifth Khordad Avenue, Arg Sqr، Panzdah-e-Khordad St.
円輪:+98 21 3311 3335

報告する

関連記事一覧

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。