アゼルバイジャン鉄道の寝台列車で国境越え バクーからジョージアのトビリシへ

うっす。

この日は、アゼルバイジャンのバクーからジョージアのトビリシへの移動日。アゼルバイジャンでの滞在の最後の最後まで食って飲んでと胃袋を鍛え、列車に乗って寝て翌朝起きたらもうジョージアですからね。寝台夜行列車での移動は最高っす。

直線距離だとたかだか450km程の距離だけど、列車が遅いのか出入国の手続きに時間がかかるのか所要12時間の鉄路の旅。アゼルバイジャン鉄道の鈍行国際寝台列車でノロノロとコーカサスの大地を移動します。

運行頻度:1日1便
出発時刻:20:40
到着時刻:翌08:50
所要時間:約12時間

東京-金沢間の450kmは北陸新幹線で2時間半っすからね…


バクーからトビリシまでの国際列車が出るのは、地下鉄28Mayメ駅直結のセントラルステーション。セントラルステーションというだけあって、大きめのショッピングセンターやらなんやらが揃う新市街の中心にあります。

乗車券の購入


駅舎に入り、先ず向かうべきは一階の発券カウンター。発券機で整理券を取り、電光掲示板に自分の番号が表示されてから窓口へと向かい購入手続きを済ませます。支払いにはクレジットカードも使えました。

係員との英語でのやりとりに不安を覚える方は、アゼルバイジャン鉄道の公式サイトアゼルバイジャン鉄道の公式サイトで事前予約していけば間違いないでしょう。席を取りっぱぐれることもないし、座席まで指定できるので楽だし安心です。購入後にメールで送られてくるバウチャーを出発1時間前までに駅のカウンターに出向いて搭乗券に引き換えるだけなので、英語に自信の無い方やコミュ障の方でも大丈夫かとw


ちな、アゼルバイジャン鉄道のクラス割りと運賃設定はこんな感じ。

1等:59.65マナト(≒3,700円)、ツインベッドの個室型
2等:35.07マナト(≒2,200円)、2段ベッド2台の4人部屋タイプのコンパートメント
3等:23.83マナト(≒1,500円)、2段ベッドが並ぶ開放型コンパートメント

クラス間の値差が小さかったので、今回は奮発して1等席で発券してみました。ファーストクラス、何度でも口ずさみたい良い響きの単語ですよねw

乗車


駅の2階は待合室とプラットフォームになっていて、出発時刻までここでぶらぶらと時間をつぶします。もちろん冷暖房完備だし、充電場所や無料wi-fiもあって旅行者フレンドリーでした。


時刻表を見てみると、週一の運行ながらモスクワやキエフとも繋がってるんすね。キエフまで59時間とか痔になりそうですがw


プラットフォームへは出発時刻40分前から入ることができました。おっ、シュタッドラーの新しい車輛やん!と思いきや、バクー行きは端っこの1番線にポツンと追いやられた旧ソ時代のノスタルジックなVL10になるんですと。


深緑と淡いクリーム色が渋いノスタルジックな客車にテンションが高まります。


哀愁のアゼルバイジャン鉄道。各車両で腕組んで仁王立ちしている係員も見事に皆様ロシア系の巨漢なオバさんで、ハード・ソフト共にオーセンティックソビエトワールドな雰囲気を楽しめます。ハラショー!ハラショー!


トイレもまぁ清潔。エミFに勝るとも劣らないアゼルバイジャン鉄道豪華ファーストクラス寝台席での贅の限りを尽くした移動になりそうです。


座席は個室のツインベッドタイプ。寝具はあらかじめ備わっていました。

ひだり みぎ
きちんとクリーニングされていて清潔ですし、今回は閑散期ということもあり個室を独り占め。エミFのような煌びやかさは無いですが、普通に快適そのものです。


ベッドの下に収納スペースもあったり、セキュリティも万全。流石にこの中に貴重品ぶっこんで寝れば、盗難に遭うことはないでしょう。

20:50 バクー出発


バクーの出発は定刻通りの20:50シャープ。アゼルバイジャン側の国境到着は翌朝05:30の予定なので、それまでぐっすりと眠れます。

05:10 アゼルバイジャン出国


05:10、アゼルバイジャン側の国境駅となるBoyuk Kasikで停車。出国手続きじゃー!ということで、社会主義時代の雰囲気たっぷりの軍帽と制服を身に纏った軍人が武骨なデザインのアタッシュケースを持って部屋に乗り込んできました。アタッシュケースにはパソコンやらカメラが備わっていて、軍人係官が慣れた手つきでパソコンのデータベース上に何やら情報をインプット。その後、備え付けのカメラで顔写真を撮影されて出国手続き完了という流れ。威厳たっぷりな強面な軍人でしたが、特に厳しい追及もなく、あっさりとしたものでした。

08:00 ジョージア入国

ジョージア側のイミグレ担当者の出社でも待っていたのか、その後、2時間強ほど停車してからジョージア側の国境駅であるGardabaniへ。
今度はフレンドリーなオッサンが「朝ですねー。ジョージアですよー。荷物は何もってますかー?何か悪いもの(Bad stuff)をお持ちですかー?」なんて軽いノリで部屋に入ってきた。
「所持しているのは衣類、書籍…」と馬鹿正直に一々申告してたたら「いや詳細とかいらないからw」みたいな感じで止められパスポート持ってかれましたw Are You Terrorist?と同じくらい間抜けな質問w

その後、ジョージア入国のスタンプが押されたパスポートが戻ってきて入国手続き完了。出入国審査の全てを係員が車内に乗り込んでやってくれるのですっごい楽でした。

ひだり みぎ
アゼルバイジャン鉄道のスタンプがセンス良い。


ひだり みぎ
こっからはあっという間。顔を洗って歯を磨いてと身支度をしているうちに、トビリシ駅到着に向け列車の速度が徐々に落ちていきました。前衛的なデザインの高層ビルが多く、少なくとも表向きだけは煌びやかバクーと比べると、なんとも廃れた雰囲気です…

09:10 トビリシ到着


定刻より20分遅れてトビリシ着。


どこか荒んだ雰囲気のトビリシ中央駅。メトロのStation Squareに接続してるので、トビリシ各所への移動も不便ありません。

ひだり みぎ
地下鉄駅にも子供の物乞いに服を引っ張られましたし、なんか雰囲気悪いなーと思ったら更なる衝撃が。ジョージアの地下鉄運転手はせっかちなのか、完全に停車する前からドアを開いて乗客を吐き出してましたw ロシアやタシケントのギロチンドアもやばかったですし、旧ソ連圏のメトロはどうしてこうもネタ満載なのかw

スケジュール纏め

20:50 アゼルバイジャン出発
05:10 アゼルバイジャン出国
08:00 ジョージア入国
09:10 トビリシ到着

市内⇔空港間の移動や飛行機の待ち時間なんかを考えたら、バクー⇒トビリシの移動は寝台列車が便利かと。宿代も浮いてコスパも良いですし。

ザハ・ハディドの代表作 ヘイダルアリエフセンター

「コーカサスのドバイ」や「第二のドバイ」とも呼ばれ、オイルマネーにより建てられたモダンで前衛的な建物が立ち並ぶ産油国アゼルバイジャンの首都バクー。

そんなバクーに数ある前衛的モダン建築の最たる例が、アゼルバイジャンの父的存在であるヘイダル・アリエフ前大統領の名前を冠したヘイダル・アリエフ・センター(Heydar Aliyev Center)。日本の新国立競技場デザインのコンペで最優秀賞作品となり話題となった、あのザハ・ハディドにより設計された建物です。

新国立競技場のデザインもザハ案がコンペに勝って通ったんですけどね。3,500億円とも2,500億円ともいわれる巨額の建設費をめぐって白紙撤回、その後に便座のような競技場が建てられることになったのは記憶に新しいところっすね。

こちらが当初のザハ案により完成予想図。

出典:日本スポーツ振興センター(JSC)。

3,500億円の第一弾ザハ案から…

1,500億円の人類史上最大の便座に。


出典:日本スポーツ振興センター(JSC)。


ここバクーでのプロジェクトは無事にザハによる設計で完成に至ったようで良かったです。プロジェクトを土壇場で白紙撤回することで血税を無駄にするようなこともなかったでしょうしね!

ひだり みぎ
ひだり みぎ
海岸に押し寄せる波になったり、宇宙船になったり、白浜の上の魚や貝殻になったり、風になびく絨毯のようになったり。眺める角度や距離によって様々な表情を見せてくれる実に不思議な設計で、一目見て曲線の嬢王ザハ女史による建物だと分かります。

ひだり みぎ

外観と同様に曲線美際立つ建物内部。近未来的な雰囲気でSFの世界の建物みたいというか、なんか宇宙ものの映画に出てきそうな感じっす。

訪問客は殆どいないんですが、一応はカルチャーセンターちっくな複合施設になっているみたいで、館内にはアゼルバイジャンの歴史や文化、ヘイダル・アリエフ前大統領の個人史を紹介するミュージアム、企画展が行われる美術館やコンサートホールなどなどが入ってます。



これがまたなんとも斬新でしてね。いきなり床をぶち破る半裸マンや幽体離脱する男が出てきたりと、入っていきなり戸惑いをかくせません。


壁際に人間もどきが立ってたり。太腿やお尻周りのムチムチした感じとか髪の毛の質感とかリアル過ぎて、人間との区別がつかないくらいっす。


ひだり みぎ
分厚いカーテンで仕切られた中の18禁コーナーには全裸で抱き合う老夫婦とバナナウーマンが…


ひだり みぎ
人形館にも不気味な展示品の数々が並びます。

正直、博物館の内容自体は凄く微妙でした。一部の作品を除いて、ただ単に作品が無造作に置かれてるだけの雑な作りでしたから。
博物館のテーマについては今回は人形が展示コーナーのメインでしたが、これが楽器だったり絨毯だったりと、定期的に中身が入れ替わるみたいです。最新の展示内容については、ヘイダルアリエフセンターの公式サイトをご参照のうえでご訪問下さい。

【ヘイダル・アリエフ・センター(Heydar Aliyev Center)】

オフィシャルサイト:http://heydaraliyevcenter.az/
所在地:1 Heydər aliyev prospekti, Baku 1033
電話:+994 12 505 60 01
入館料:15マナト(≒1,000円)

永遠の火を祀る アテシュギャーフ ゾロアスター教寺院

“火の国”アゼルバイジャン。

フレイムタワーやヤナル・ダグなど、火の国の神秘性を実感できる場所は幾つもあるんですが、今日は首都バクーから20kmほど離れた郊外に位置するゾロアスター教のアテシュギャーフ(Ateshgah Temple)寺院に行ってきたいと思います。

一般にはゾロアスター教として知られる拝火教は、紀元前にイランで興ったとされる世界宗教の先駆け的存在。火って神秘的だよね!ってことで興った就業がササン朝ペルシア時代には中央アジアから中国まで広範囲に伝播。アゼルバイジャンが7世紀にアラブの支配下に入った当時も、アゼルバイジャンではゾロアスター教徒が多数派だったそうです。

拝火教とかどんなプリミティブな信仰だよ!って思われがちですが、このバクー近郊に遺るアテシュギャーフ拝火教寺院が建てられたのは意外と最近で17世紀。インド北部、トルコ、シリアを結ぶ隊商のルート上に建立され、寺院周辺で地表から噴き出す天然ガスが自然発火し燃え続けていたことから、「これヤバない?めっちゃ神秘的じゃん?」ってことで火を神と崇めるゾロアスター教徒の聖地になったんだとか。

ゾロアスター教の寺院とは一体全体どんなものなのか、期待を胸に行って参ります。

バクーからのアクセス

バクーの市街地から地下鉄でKoroglu駅へ

Koroglu駅で184番バス(Surakhani行き)に乗り換え


ということで、先ずはバクーの地下鉄駅へ。宇宙空間の異世界へと吸い込まれていくようなハイパーコスミック感、癖になります。


ザ・旧ソ連!的なメトロでKoroglu駅へ。

ひだり みぎ
地下深くに造られたKoroglu駅から地上に上がると、目の前がもうバスターミナル。近代的なガラスピラミッドと前時代的な古~い大宇のバスが奏でるコントラストがまた滑稽というか。バブリーな建物が立ち並んでるのに、バスだけは旧式なんですねw


184番は古いタイプの車両なので、運賃の支払いにバクーのICカードは使えないので要注意。運賃(0.2マナト≒13円)は現金で運転手に渡す必要があります。

バスに乗ってしまえばもう拝火教寺院に着いたも同然、終点まで乗ってればオーケーです。
打ち捨てられたような石油採掘場が並ぶだだっ広い古くからの油田地帯を30分程走り、終点で下車。広場の裏手の線路を超えた先に拝火教寺院のゲートが見えてきます。

アテシュギャーフ寺院


なんか、寺院というよりキャラバンサライ的造りの博物館っすね…ちょっと想像とは違いましたが、入場料4マナト(≒250円)を支払い城壁の中へと入ります。世界遺産にしては安い!



ペンタゴンのように形取られた城壁内部の中央に永遠の炎を奉る小さな御堂がありこのお堂の地面から炎が延々と燃え上がり続ける光景を見た火に神性を見出していた人達が、ここを聖地として定めて寺院を建てたそう。



善悪二元論的な概念を持つゾロアスター教の経典では、火は善の象徴であり悪を遠ざける最も尊ばれるべき聖なる存在。もちろん偶像などは無く、礼拝の対象も炎。冬は焚火気分で楽しめそうですが、夏場の礼拝は嫌っすねw


当時の様子は、展示部屋として整備された御堂を取り囲む僧房の一室一室で確認することができます。


ササン朝ペルシャ時代には国境として栄えたゾロアスター教ですが、イスラム勢力の波がペルシャの地にまで押し寄せると、ゾロアスター教徒は次第に弾き出されるようにインドへと移動。南アジアと中央アジアを結ぶ大幹道上にあることから大いに栄えた拝火教寺院ですが、19世紀には打ち捨てられた状態になったそうです。

ちな、ゾロアスター教=拝火教と同義で扱う人もいますが、拝火教はイスラム教から差別的に呼ばれた呼称で、ゾロアスター教徒の中には拝火教という表現を嫌う人もいるそうです。うわぁ、あいつら火を神様とか言って拝んでるしwwwくらいの蔑みから生まれた言葉なんすかね。

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建物も無味乾燥なアッシュカラー。服飾品にも豪華な装飾などもなく、極めて原始的で簡素な宗教といった印象のゾロアスター教。この寺院だけ打ち捨てられたまま数百年に渡って時が止まっていることが、延々と燃え上がり続けた炎の神秘性を際立たせます。

ひだり みぎ
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当時の信仰の様子を再現したリアルなジオラマも。

ひだり みぎ

目立った外傷は無いが、拝火教寺院の僧房の片隅で苦悶の表情を浮かべ倒れ込むオヤジ。血管がマスクメロンのように浮いてるのかはゾロアスターの呪いによるもの?

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重量のある鎖に繋がれたり、腕を一定の位置に固定したまま何年の動かないといった無茶な苦行で自らを律するエクストリーム修行僧もいたらしい。

そ、そうそう、最後に自動車業界ネタで締めたいと思います。マツダってなんでmazdaって綴られるかご存じですか?ゾロアスター教の最高神であるアフラ・マズダー (Ahura Mazda) に因んでるからなんですよ。別に創業者がゾロアスター教徒だったってわけではないですが。

【アテシュギャーフ拝火教寺院】

地層のように歴史の流れが可視化された町 アゼルバイジャンの首都 バクー

アゼルバイジャンの首都であり、コーカサス地方最大の都市・バクーの町を歩いてみます。

バクーといえば、ちょい昔に池上彰が「第二のドバイ?いや、ドバイを超える!世界一の未来都市へ」なんてドヤ顔で解説してたのが思い出されるところですね。一昔前にオイルマネーによって建てられたバブリーな高層ビルが立ち並ぶだけの味気ない砂漠の町というイメージを持っているのですが、果たして…

結論、バブリーで奇抜な近代的建造物や不思議なオブジェだけでなく、ペルシャ風を感じさせる茶色い建物と細い石畳の路地が迷路のように入り組む旧市街地、旧ソ連圏らしい無駄に広い広場や厳めしい偉人像の数々…それらが雄大なカスピ海沿いで融合してて、アジアのようでもありヨーロッパのようでもあるという不思議な町でした。

ヨーロッパ風の街並み

滞在先であるJW Marriottの周辺は、重厚な建物が立ち並ぶ東欧風の街並み。
ひだり みぎ
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ヨーロッパに似せて作った新市街地という感じかな。イスラム教の国だけど、お洒落なバーもあれば、人々の服装も自由。メインストリートであるニザミ通りのバーやカフェの中では、アッラー的にはアウトでしょーって突っ込みたくなるような肺胞的な格好した女性も多くみられましたw

ひだり みぎ
だだっ広い広場や巨大な偉人像の数々は、旧ソ連時代の名残でしょうか。


ひだり みぎ
地下深くに築かれた地下鉄駅の造りなんかからも旧ソの香りがプンプンします。

そういえば、コーカサスって地理的な区分もはっきり定まってないですよね。ヨーロッパに区分されたり、西アジアの一国とされてたり、はたまた中東枠として括り入れられてたり。

政治思想的な括り的には旧ソだから東欧枠だけど、地理的にはEU圏外のトルコよりアジア側だから西アジア、イメージ的にはイスラム圏だしオイル出るし中東、みたいな?因みにサッカー的にはヨーロッパ枠に入れられてて、いつも欧州強豪国にボコられてて不憫なことになってます。

カスピ海


石油や天然ガスの一大産出地で、大地から炎が噴き出す場所もあって火の国と呼ばれるアゼルバイジャン。そういうと中東のような砂漠の国をイメージしがちですが、アゼルバイジャンは東をカスピ海、西をコーカサスの山々に囲まれて、国土の多くは緑豊かな自然に包まれてます。


カスピ海のイメージは違ったなー。水辺にアザラシがいたりと綺麗で爽やかなイメージがあったでんですが、油が浮いてたりとお世辞にも綺麗とは言えません。これからはカスピ海ヨーグルトを買うのに躊躇しちゃいそうです。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
海沿いには町全体が現代美術の森!とばかりに前衛的なデザインの建物が立ち並びます。


広場の椅子も前衛的過ぎてキモい。

展望台とフレームタワーズ



ケーブルカーでフレームタワーズ傍の高台に上ると、人口200万を超えるコーカサス最大の都市が一望できます。既にバブルが弾けて久しい感のあるアゼルバイジャン経済ですが、まだまだ建設途中の高層ビルの姿もちらほらと見えますね。ドバイのブルジュハリファを抜いて世界一の高さを誇る建築物になる予定だったアゼルバイジャンタワーの姿は見えませんが。当初は2019年完成予定と発表されていたかと思うのですが…


ちな、1885年の海岸沿いはこんな感じ。ソ連統治下で既に石油開発が進められてるはずですが、今日のバクーとは大違いの長閑な港町の風景です。ここから大規模な油田が発見され、世界中から人と資本が集まりコーカサス最大の都会へと発展を遂げたそうです。

バクー旧市街


続いて、ケーブカーを下った先に広がる旧市街へ。「城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔」という名称で世界遺産にも登録されているようです。

ひだり みぎ

古来からシルクロードの要衝として、ペルシアやアラビア、オスマン帝国などの影響を受け栄えたバクー旧市街。細い路地の中にモスクやミナレットがひょこっと現れたりと、新市街とは違った情緒に溢れます。

乙女の望楼:

全くもって乙女感の無い乙女の望楼。父親から言い寄られた王の娘がこの塔から身を投げたという伝説に由来するらしい。古代の望楼って、洋の東西問わず代替誰かが塔から身を投じた系の伝説があったりするもんですが、娘に言い寄る父親のストーリーは初めて聞きますねw 良い感じに着色された伝説ばかりの中、このストーリーはちょっと生々しすぎますねw もう少しオブラートに包めなかったものでしょうかw

シルヴァンシャフ宮殿:
ひだり みぎ

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こちらは、13世紀から16世紀にかけバクーを統治したシルヴァン・シャー王朝の宮殿。アゼルバイジャン建築の最高傑作とも評されているそうです。中は博物館のようになっていますが、展示品は殆どが18世紀以降の物ですし、点数自体も少ないので見応えとしてはイマイチ。


古い土色の街並みと、遠くに見える超近代的な建築物との対比が面白い。

夜の街並み

ひだり みぎ

夜は新市街の建物が一斉にライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれます。


ひだり みぎ
フレームタワーズもこの通り。火の国らしく真っ赤に燃え滾ってます。

トルコ・ペルシャにより築かれた旧市街を帝政ロシアやソ連時代の無機質な建物が取り囲み、その更に外に独立後のバブリーな建物が立ち並ぶバクーの町。地層のように歴史の流れがくっきりと街並みに可視化されていて、歩いていて非常に面白い街だなーと思います。
ポスト石油にはどんな街になっていくんだろうなー。

バクーのお勧めレストラン&バー Dolma、Anadolu、Buddha Bar

地上の楽園アゼルバイジャンはメシも美味い!そして安い!

バクー市街でいくつか立ち寄った飲食店の中で、お勧めのレストランとバーをピックアップしてご紹介したいと思います。


石油価格の暴落とそれに続く金融市場の混乱で2015年に通貨が暴落したまま下げ止まってる状態なんで、胃拡張修行が捗りまっせ。

Dolma Restaurant

食い倒れの都バクーでの胃袋修行!一発目はツイッター上でフォロワー様にご紹介頂いたDolma。

地下にあるので注視して歩かねば通り過ぎしまうような微妙な存在感ですが、それが逆に隠れ家っぽくて良い。旧ソ連諸国ってこういった地下の名店が多い印象っす。

ひだり みぎ
恐る恐る地下へと潜っていくと、中にはアングラな雰囲気たっぷりのレンガの洞窟が広がっていた。核シェルターのように、中に入ってみると思ったより広いぞ。頑丈な造りで、隠れ家というより共産党の秘密基地感が凄い。


可愛らしい蝶ネクタイを身に着けたミスタースポックみたいな髪型の男によりエスコートされ、ペルシャ家具が並ぶ小さな個人席へと通される。

メニューは英語とアゼルバイジャン語で書かれた冊子のほか、頼めばタブレットに入った画像集も用意頂けます。アゼルバイジャン料理屋らしいですが、遊牧の民テュルク・ペルシャの肉や乳を使った食文化をベースに発展したコーカサス地方の料理とロシア料理がメインにしているようです。前菜からメインまで、メニューの種類は非常に豊富。

どれも凄く美味しそうだったので、ビジネスランチではなくアラカルトからミスタースポックお勧めの3品を注文することに。


先ずは旧ソ連諸国でよく見るミモザサラダ。上品な味わいだけでなく、見事なレイヤーで見た目的な芸術点も高いのがまた良いっすね。チーズたっぷりでクリーミー、他ではないレベルのミモザサラダでした。


汁物はコーカサス地方の肉とひよこ豆の煮込みスープことKufta Bozbash。キョフテの中にパルムのすり身のようなのような物が練り込むという手間もかけた一品で、絶頂物の美味しさ。


店名になってるドルマが推されなくて驚いたのですが、メインはアゼルバイジャン風ヒンカリ。ヒンカリって水餃子なんですが、アゼルバイジャンでは餡を包む作業を合理化で省いたのか、ボロネーゼみたいな感じで出てきましたw 見た目は餃子じゃなく想定外でしたが、ジューシーな羊肉と香草を練り込んだ麺がマッチしたエキゾチックな味わいで美味しかったです。

このほか、ザクロワインとキャベツの酢漬けを足して2,000円弱。内装のセンスも良いですし、店員のサービス精神も抜群。居心地は良いわ料理は美味しいは安いわで、トリップアドバイザー上の高評価も納得のナイスレストランでした。

Dolma Restaurant

所在地:M.Rasulzada kuc 8, Baku 1000, Azerbaijan
電話:+994 12 498 19 38

Anadolu Restaurant

続いては、小腹を満たすために向かった滞在先近くのAnadolu Restaurantへ。Anadoluなんて名前だけど侮るなかれ、安くて美味いトルコ・アゼルバイジャンの家庭料理が食べれます。こんだけ食べて1,000円もしないくらいっす
ひだり みぎ
ファストフード店的なお気軽な雰囲気で、一人でも入りやすいです。メニューはトルコ・アゼルバイジャン料理だけでなく、バーガーやパスタといった定番ウェスタン料理も豊富に揃ってました。

ひだり みぎ

特別手の込んだ料理って訳じゃないですが、家庭的な料理を手頃に食べたい時にお勧めです。3品+ヨーグルト2杯で1,000円弱でした。

Anadolu Restaurant

所在地:5 Aleksandr Puskin, Baku 1010
電話:+994 12 498 01 02

Buddha Bar

続いては飲みの部。
アゼルバイジャンでの飲み納めの舞台は、JWマリオット脇にある仏陀バー。ジョージアのトビリシ行きの深夜鉄道に乗る前に一杯ひっかけてきました。

仏陀が妖しく光を発していて、エントランスからして異様。

ひだり みぎ
レセプションでスカートを履いた綺麗なお姉さんにジャケットを預け、上の階へ上がるよう促される。本当にイスラム圏ですかね、ここ?


エレベーターガールではなくエレベーター仏陀と共に上階へ。コンセプトが徹底されていて隙がありませんw


ひだり みぎ
ふぁーーーw ドアが開いてびっくり。なんだこの空間!Sushi Restaurant and Barって聞いてたけど、完全にクラブっスね、これ。ミュージックガンガンのハッピーブッダパラダイス。

ひだり みぎ
凄い世界観w お釈迦さまが来たら腰ぬかしちゃいますよw



これ半ば仏陀をバカにしてるだろと思えるようなふざけたインテリアの数々が並ぶバーラウンジだけど、バーテンダーの腕は確かでオリジナルカクテルはガチで旨かった。イスラム圏で仏陀と開放的なお姉さんに囲まれて飲むお酒、背徳感が凄まじかったのを未だに覚えてますw

レストランと思って行くとだけですが、異世界感を味わうハイパーコスミックなバーだと思っていくと、意外と楽しめると思いますよ。

Buddha Bar Baku

所在地:Azadliq Square, JW Marriott Absheron 3rd floor, 674, Baku
電話:+994 50 404 82 09
Facebook:https://www.facebook.com/BuddhaBarBaku/

以上!