地層のように歴史の流れが可視化された町 アゼルバイジャンの首都 バクー

アゼルバイジャンの首都であり、コーカサス地方最大の都市・バクーの町を歩いてみます。

バクーといえば、ちょい昔に池上彰が「第二のドバイ?いや、ドバイを超える!世界一の未来都市へ」なんてドヤ顔で解説してたのが思い出されるところですね。一昔前にオイルマネーによって建てられたバブリーな高層ビルが立ち並ぶだけの味気ない砂漠の町というイメージを持っているのですが、果たして…

結論、バブリーで奇抜な近代的建造物や不思議なオブジェだけでなく、ペルシャ風を感じさせる茶色い建物と細い石畳の路地が迷路のように入り組む旧市街地、旧ソ連圏らしい無駄に広い広場や厳めしい偉人像の数々…それらが雄大なカスピ海沿いで融合してて、アジアのようでもありヨーロッパのようでもあるという不思議な町でした。

ヨーロッパ風の街並み

滞在先であるJW Marriottの周辺は、重厚な建物が立ち並ぶ東欧風の街並み。
ひだり みぎ
ひだり みぎ
ヨーロッパに似せて作った新市街地という感じかな。イスラム教の国だけど、お洒落なバーもあれば、人々の服装も自由。メインストリートであるニザミ通りのバーやカフェの中では、アッラー的にはアウトでしょーって突っ込みたくなるような肺胞的な格好した女性も多くみられましたw

ひだり みぎ
だだっ広い広場や巨大な偉人像の数々は、旧ソ連時代の名残でしょうか。


ひだり みぎ
地下深くに築かれた地下鉄駅の造りなんかからも旧ソの香りがプンプンします。

そういえば、コーカサスって地理的な区分もはっきり定まってないですよね。ヨーロッパに区分されたり、西アジアの一国とされてたり、はたまた中東枠として括り入れられてたり。

政治思想的な括り的には旧ソだから東欧枠だけど、地理的にはEU圏外のトルコよりアジア側だから西アジア、イメージ的にはイスラム圏だしオイル出るし中東、みたいな?因みにサッカー的にはヨーロッパ枠に入れられてて、いつも欧州強豪国にボコられてて不憫なことになってます。

カスピ海


石油や天然ガスの一大産出地で、大地から炎が噴き出す場所もあって火の国と呼ばれるアゼルバイジャン。そういうと中東のような砂漠の国をイメージしがちですが、アゼルバイジャンは東をカスピ海、西をコーカサスの山々に囲まれて、国土の多くは緑豊かな自然に包まれてます。


カスピ海のイメージは違ったなー。水辺にアザラシがいたりと綺麗で爽やかなイメージがあったでんですが、油が浮いてたりとお世辞にも綺麗とは言えません。これからはカスピ海ヨーグルトを買うのに躊躇しちゃいそうです。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
海沿いには町全体が現代美術の森!とばかりに前衛的なデザインの建物が立ち並びます。


広場の椅子も前衛的過ぎてキモい。

展望台とフレームタワーズ



ケーブルカーでフレームタワーズ傍の高台に上ると、人口200万を超えるコーカサス最大の都市が一望できます。既にバブルが弾けて久しい感のあるアゼルバイジャン経済ですが、まだまだ建設途中の高層ビルの姿もちらほらと見えますね。ドバイのブルジュハリファを抜いて世界一の高さを誇る建築物になる予定だったアゼルバイジャンタワーの姿は見えませんが。当初は2019年完成予定と発表されていたかと思うのですが…


ちな、1885年の海岸沿いはこんな感じ。ソ連統治下で既に石油開発が進められてるはずですが、今日のバクーとは大違いの長閑な港町の風景です。ここから大規模な油田が発見され、世界中から人と資本が集まりコーカサス最大の都会へと発展を遂げたそうです。

バクー旧市街


続いて、ケーブカーを下った先に広がる旧市街へ。「城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔」という名称で世界遺産にも登録されているようです。

ひだり みぎ

古来からシルクロードの要衝として、ペルシアやアラビア、オスマン帝国などの影響を受け栄えたバクー旧市街。細い路地の中にモスクやミナレットがひょこっと現れたりと、新市街とは違った情緒に溢れます。

乙女の望楼:

全くもって乙女感の無い乙女の望楼。父親から言い寄られた王の娘がこの塔から身を投げたという伝説に由来するらしい。古代の望楼って、洋の東西問わず代替誰かが塔から身を投じた系の伝説があったりするもんですが、娘に言い寄る父親のストーリーは初めて聞きますねw 良い感じに着色された伝説ばかりの中、このストーリーはちょっと生々しすぎますねw もう少しオブラートに包めなかったものでしょうかw

シルヴァンシャフ宮殿:
ひだり みぎ

ひだり みぎ
こちらは、13世紀から16世紀にかけバクーを統治したシルヴァン・シャー王朝の宮殿。アゼルバイジャン建築の最高傑作とも評されているそうです。中は博物館のようになっていますが、展示品は殆どが18世紀以降の物ですし、点数自体も少ないので見応えとしてはイマイチ。


古い土色の街並みと、遠くに見える超近代的な建築物との対比が面白い。

夜の街並み

ひだり みぎ

夜は新市街の建物が一斉にライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれます。


ひだり みぎ
フレームタワーズもこの通り。火の国らしく真っ赤に燃え滾ってます。

トルコ・ペルシャにより築かれた旧市街を帝政ロシアやソ連時代の無機質な建物が取り囲み、その更に外に独立後のバブリーな建物が立ち並ぶバクーの町。地層のように歴史の流れがくっきりと街並みに可視化されていて、歩いていて非常に面白い街だなーと思います。
ポスト石油にはどんな街になっていくんだろうなー。

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