イエティ航空のマウンテンフライトでヒマラヤ山脈を遊覧飛行

この日はネパール旅行の最終日。ただ、ネパール発が深夜になるので、それまでは変わらず全力投球で観光を!ということで朝早くに起きマウンテンフライトを楽しんできた。

ネパールと聞いて真っ先に想起するのはヒマラヤ山脈にエベレスト。できることならヒマラヤ山麓のトレッキングツアーにでも参加したかったところなのだが、しがないサラリーマンには登山体験を楽しめるだけの時間を捻出することは難しく。かわりに、てっとり早く世界最高峰のエベレストを拝めるマウンテンフライトを予約したったろうと。トレッキングなら数週間かかるところ、マウンテンフライトなら空港での待ち時間も含めて数時間で済みますんで。


各運航会社のプロモ画像や動画を見てもすっごい面白そう。こんなん目にしちゃったら予約しないわけにはいかないっしょ。

運賃はイエティ航空ホームページでの発券でUS$181.6。イエティエアラインズ(Yeti Airlines)ブッダエアラインズ(Buddha Airlines)シムリクエアラインズ(Simrik Airlines)とマウンテンフライトを飛ばしているが、どの航空会社も申し合わせたかのように同じ価格だった。

自分はもちろん前日にもお世話になったイエティ航空を選択することにしたのだが、いくらイエティ航空のオフィシャルサイトで探してもマウンテンフライトの予約ページはみつからない。分かりずらいのだが、Departure(出発地)=Kathmandu・Arrival(到着地)=Kathmanduを選択するとマウンテンフライトが選択できる仕様になっているようだ。

空港へ


06:30の出発に合わせて05:00過ぎにホテルを出発、強烈なおんぼろタクシーで二日連続の空港へ。天候次第では欠航となるそうだが、この天気なら大丈夫そうで一安心。


前日はワールドカップの日本対コロンビア戦がありましてね。空港に着くなり、チェックカウンター周辺の皆さまから一斉にコングラチュレーションと握手を求められるw 皆さまサッカーお好きなのなw

ただ、YT301便を予約したのに、参加者不足で便数を間引かれたのか、出てきた搭乗券を見るとYT302に変更になっている。出発時間も06:30ではなく06:45になってるし…何故なのかわからないが、ここネパールでは「なぜ?」とか深く考えないことが重要。一々考えても仕方がないんで。
ひだり みぎ
行先はMountain。早朝の時間帯は複数の航空会社が一斉にマウンテンフライトを飛ばしてるために大混雑。季節的にオフシーズンだからか西洋人は殆どおらず、目立つのはインド人。石を投げればインド人にあたるような(匂い的に)スパイシーな状況のなかフライトの出発を待つ。


早くカオスから離れて搭乗したいのだが、残念ながら山の気象情報待ちでウェイティングが続く。カトマンズが快晴でもヒマラヤ山脈方面の天気が悪ければ運航されないっすからね。逆にヒマラヤの天候が良くてもカトマンズがダメで離陸できなくてもアウト。こればっかしは運次第というかイエティの気分次第というか。

いざ搭乗!


定刻より10分ほど遅れてFlight to mountain is now ready for boarding!ということで、雪男イエティの翼に乗ってエベレストに向け飛んできます。


ねっとり笑顔でナマステ~と迎え入れてくれる客室乗務員。他のインド人は機体の前で自撮りを楽しんでて中々乗り込んでこないw


満足のいく一枚が撮れたのか、やっとこそインド人たちが乗り込んできたのだが、機内はガラガラ。それもそのはず、乗客全員が平等に窓の外の景色を楽しめるよう、窓側席のみが使用されるようになっている。これで皆平等、進行方向に向かって左側の席は往路、右側の席は復路にヒマラヤ山脈ビューを楽しむことができる…ということにはならず、プロペラ横の席だとプロペラが邪魔になり景観が損なわれてしまうので、できれば前方または後方の席をおとりになられた方が宜しいかと。


前日のフライトみたく、こんな席になったら悲しいっしょ。この席でも運賃は等しくUS$181.6ですからね。


それにしても、窓ガラスは汚いし、大気汚染に侵されたカトマンズの町はガスってしまっているし…こんなんで大丈夫だろうか。という不安を頂きつつ出発。

しかし、いざ出発してみるとあっという間に雲を突き抜け真っ青の空へ。離陸から10分ほど、窓の外にヒマラヤ山脈が広がったらインド人大フィーバ、一大自撮りショーの幕開けだ。

晴れ渡る絶好の飛行日和にヒマラヤ山脈上空を遊覧できる贅沢。カトマンズを離陸した飛行機は高度をあげつつ、威風堂々に聳え立つ世界の屋根ことヒマラヤ山脈を眼下に見つつ一路エベレストに向け東へと飛んでいく。



フライトは、飛行コースの山脈マップとCAによるガイド付き。窓から見える山の名前や山にまつわる蘊蓄なんかをCAさんが一人一人に説明して回るのだが、空気の読めないインド人が一々突っ込んだ質問とかするので時間がかかるw


高度6000mまで上昇。ヒマラヤはエベレストだけではないですからね。上空から眺める一座一座異なる山々はいずれも神秘的で、まるでのみで荒々しく削って作られた彫刻作品のよう。



飛行が安定し、ヒマラヤ撮影も落ち着いてくると1人ずつ順にコックピットに招かれ、パイロットの解説付きで操縦席からの展望を楽しむことができる。更に、聞きたいことはないかと言ってもらえたので、イエティが実在するのか伺ってみたのだが、言葉を濁して回答されたw

そして、遂にやってきたこの瞬間。このフライトで見る山々の中でも最も高く鋭く聳え立ち、1979年まで登山家たちの挑戦を拒み続けてきた世界最高峰。それがマウントエベレスト…なんて解説をしてくれた。


ちょうどピラミッドの頂点のように突起した山がエベレスト。周りの山も7,000-8,000m級の山が並ぶので直ぐには分からなかったが、パイロットが指を指して教えてくれた。

ひだり みぎ

これは世界の屋根ですわ。



自席に戻ると、エベレスト上空にて記念のシャンパンが振る舞われたのだが…こんなに優雅な気持ちにならないシャンパンを頂くのは初めてで逆に凄く印象的だったw

エベレストがほぼ真横に見えるくらいのところでターンし、カトマンズへと引き返す。


復路の方が山に接近したルートを飛ぶので、進行方法に向かって右側の席の方がはっきりとした山容を楽しめるかと思う。


降機前にはフライトの搭乗証書が発行されてツアーの終了。幸いにも天候に恵まれ、ヒマラヤ山脈の8,000m級の山々を全て拝むことができた。フライトの時間は1時間足らず、サクッと楽しむのにちょうど良いフライトです。


昨日の日帰りルンビニ旅行からマウンテンフライトまで、沢山の思い出をありがとうイエティ!



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ルンビニ日帰り旅行を終え、イエティ航空便でカトマンズへ

無事に(?)仏教四大聖地の一つであるルンビニの見所周りを終え、少々予定より早いがカトマンズへと引き返すことに。もう少しルンビニにいたら悟りを開けてたと思うんですけどね。今必要なのはニルヴァーナよりもスリープなもんで。


先ずはルンビニからバイラワ空港へ向かうバスのターミナルへ、相変わらず歩いた方が速いようなゆっくりペースで凸凹道を走る。この細身でか弱いご老人、職業と自身の能力がマッチしてなさすぎるんだよなぁ。幼い頃からリキシャを漕ぐことしかやってこないままこの年になってしまったのかなぁなんて考えると居た堪れない気持ちにさせられる。観光地を縄張りとして営業してるのに英語も話せないので、他の競合となる車夫と比べて競争力なさすぎだし。


ルンビニ博物館から15分ほど走り、ここで降りろ的なジェスチャーをしてリキシャを停める汗だっくだくの車夫。それらしき看板等も見当たらないし、明らかにバスターミナルには見えないのだが…。


近くの食堂で英語を話せそうな若者に確認すると、確かにこの食堂の前がバス停になっているらしい。因みに車夫は、代金を受け取って1秒後に直ぐ他の客を見つけにリキシャを漕ぎ去っていった。その背中とハゲかかった後頭部にプロフェッショナルの精神を見たね。生涯現役で頑張ってくれ。


念のためにバス停のマップを貼っておきます。Taulihawa RoadとVishnupura Roadが交わる交差点近くにある、Lumbini Tandoori Restaurantというレストランがバス停の目印。

ちょうどレストランの中からバス停が見える位置関係にあるので、先に会計を済ませてバスが来た瞬間に外に出れるようにして食事を摂る。

注文した揚げ餃子、インド文化圏だけあってノンスパイシーと言ってたのに辛くて涙する。生地にスパイスを練りこんでるからのようだが、餃子を食べてるというよりもスパイスの塊をかじってるようで一口食べてヨガファイヤー!そりゃあこんなもんばっか食べてたらヨガファイヤーとかヨガフレームとか出せるようになりますわ。


そうこうしてるうちにバスが来た。「ミスター、バスが来た!あれに乗れば空港に行ける!」流暢な英語でフレンドリーな店員が教えてくれ、廃車寸前のおんぼろローカルバスに飛び乗った。

ひだり みぎ
意気揚々と乗り込んだワイに対して一斉に向けられる乗客の皆様の好奇の視線。何やら周りの人に声をかけてもらえるのだが、一切言葉が分からない。辛うじて少々の英語を話す運賃回収係の兄貴に空港の最寄地点で降ろしてもらえるようお願い、「了解。」と心強いサムズアップを返してくれた。


ひだり みぎ
ドアを開けっぱなしでノロノロと走り出したバスの中は、まるで動く蒸し風呂のように蒸し暑い。運賃は40ルピーと安いけど、乗客が乗り降りする度に荷物の積み降ろしがあるのですこぶる遅いのと、車内を飛び交う無数のハエのと様々な物が混ざり合ったような異臭が本当にきつく、まさに苦行といった感じ。


苦行に耐えること1時間超、空港に近づいたら教えてもらうことになってたのに…「あっ、空港通り過ぎててたわ」とまさかの事後報告を受け、来た道を引き返す羽目に。

ひだり みぎ
こんな何もないところで降ろされて絶望しかない。


10分ほど空港方面に向け歩いただろうか。ヒッチハイクでもしてやろうかと思い始めた矢先にバイラワ方面に向かって走るバスが到来。手を挙げてバスに飛び乗る。運賃10ルピー。中の人口密度が高くなければローカルバスの移動でも全然いけますね!私が座った進行方向と逆向きの席なんて、JALのエコノミークラスのバルクヘッド以上のシートピッチですわ。

ひだり みぎ
5分ほど走ってこの三叉路を過ぎたところで下車。バイラワ空港からルンビニに向かう場合も、この三叉路に来ればルンビニ行きのバスに乗れると思います。


空港を出て正面突き当りの道路を左っすね。ここでバスに乗るか、白タクもしくはリキシャを利用するか。バイラワ空港とルンビニ間を移動する交通手段はこのバスを含めて主に3つ。

白タク:1,000ルピー
電動リキシャ:600ルピー
ローカルバス:40ルピー

バスは乗り換えもないので比較的イージーだけど、空港から向かう場合、炎天下でバスを待つのがきついと思うのでお勧めはしない。とにかく、くっそ暑いですタライ高原。下手したら熱中症を拗らせて自分が成仏してしまう可能性もあるのでお気を付けください。


ひだり みぎ
遠回りをしながらもバイラワ空港に無事戻り、予約便より一本早い便への振替手続きも完了。欠航で灼熱のルンビニに足留めという最悪の事態も免れられ本当に良かった。釈迦よありがとう。

ひだり みぎ
空港に着いたのは14:20過ぎだったが、14:30発の便に乗らせてもらうことができた。融通がきくというか適当というか。こんな何もない空港で次便までの3時間をつぶすのは苦痛以外の何物でもないので、助かりました。


機体は往路便と同じくプロペラ機。安全性一つ星のイエティ航空だけど、往路便で免疫ができたのか、仏陀の教えのお陰で恐怖心から解放されたのか、はたまた異常な暑さから感覚が麻痺したからなのか、もはやなんとも思わなくなった。


お隣にはブッダエアの機体が駐機。仏陀の聖地で仏陀エアを見て、何か込み上げてくるものがありますね(棒読み


ひだり みぎ
搭乗。往路の機材と違ってシートがレザーでちょっと綺麗!これも聖地まで来た巡礼者を労いたいという仏陀の思し召しによるものなのか。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
機内サービスも往路同様に全力対応。同じくらいの飛行時間で同じような機材で飛ぶJALの大阪伊丹-但馬便でも離陸前に飴が配布されるだけだったというのに。

フライトの方も全く問題なく、特に大きな揺れもなくナイスランディングでカトマンズ着。

無事に本日の仕事を終えたイエティ航空機。イエティの足跡がどこか誇らしげに見えますね。

と、いうことで、カトマンズからの日帰りルンビニ観光、時間的には余裕でした。


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リキシャで行く ルンビニ園にある世界各国の寺院と博物館巡り

ルンビニ園の核心である聖園の見学を終え、続いて聖園の北側に整備された寺院地区を見て回る。どういったことなのかよく分からないが、仏教の四大聖地だけあって、世界各国の寺院が寺院地区に集まっているのだと。


このキューピー人形にしか見えない幼き日のお釈迦様の像が寺院地区への入口にあり、ここから日影のない灼熱地獄が北へと真っ直ぐに伸びている。

ルンビニ園 寺院地区


中心に南北1.5km程の長さの水路があり、水路を中心軸に西側に日本、中国、韓国、ベトナム、フランス、ドイツなどの大乗仏教国の寺、東側にインド、ミャンマー、タイ、カンボジア、スリランカなどの上座部仏教の寺院が並ぶ。よう分らんが、万博のパビリオンみたいな感じだろうか。


無限に続くかのような修行道を一歩一歩ひたすら歩む。聖園で足の裏を焦がして手負いの自分には過酷な苦行である。

そんなところに現れた褐色肌のメシア!!交渉の末、600ルピーで運路西側の寺院、ルンビニ博物館を巡り、最後はバイラワ空港行きバスのターミナルまでリキシャで送ってもらえることになった。

ただ、これがびっくり。やっぱり灼熱地獄での運転は体力的に厳しいらしく、自分で歩いた方が早いくらいのスピードしか出なくてマンマミーア。道が悪くて手押ししないといけない場所なんて、私が率先してリキシャを押さないとダメでしたからね。非常にか弱いメシア様で、なんだか途中で乗せてもらってることに罪悪感を覚えてしまう程。やっぱりリキシャも健脚の車夫を選んだ方が良いっすね。

ひだり みぎ
そんなメシアによる世界各国寺院巡りの旅、ファーストストップは紫禁城を模したという中国寺院。やはり仏教界の万博よろしく、各国の特徴を表した寺院が並んでいるようだ。


今から1400年前の唐の時代を生きた玄奘三蔵。経典を求めに天竺に向かう道中、ルンビニにもお立ち寄りになられたそうだ。


因みに唐の都・長安からルンビニまでは直線距離でも2,500km超。グーグル先生をもってしてもルートを示すことができないほどの大変な道のりを歩いてこられたようである。もちろん筋斗雲を使ったりといったチートは無しで。ルンビニ園の僅か1kmそこらの移動でリキシャに頼るワイの体たらくぶりが情けなく思えてくるし、「おやめなさい。修行が足りない証拠です」と三蔵法師の声が聞こえてくるようだわ。

天からの玄奘三蔵の叱咤激励を受けつつ院内にお邪魔させていただくと、内部は三蔵法師以外にもチャイナな像が盛り沢山。確かに中国の寺院の特徴がよく表れてるわ。
ひだり みぎ
ひだり みぎ
他国の寺院と同様に宿泊客も受け入れているようだが、残念ながら中国国籍の者のみとのこと。

続いて、中国寺院の向かい側にある韓国寺へ。
ひだり みぎ
こちらは世界各国からの旅行客を受け入れており、1泊3食付きで500ルピーと格安なことからバックパッカーに人気らしい。

ちなみに我らが日本寺は基本的に日本人の僧侶在住の時のみ宿泊可能なようだが、朝早くからのめちゃくちゃ厳しいお勤めを果たすことで無料で泊まらせていただけるらしい。こういった細かなルールにまで各国の思想が表れていて面白い。

韓国寺は自転車の貸し出し(1日200ルピー)や韓国語のレッスンまであったりと、充実のサービスがウリw

ひだり みぎ
こちらは仏教的にはマイナーなドイツとフランスの寺。この時点で既に疲労困憊だったので、わざわざ中に入ることなくスルーし始めたw 釈迦に関する一大テーマパークのようだが、如何せん暑すぎて暑すぎて…こんなこと言うとまた三蔵法師の「甘えるな弱虫!」という声が聞こえてきそうだが、日影がないので本当にきっついっす。

ルンビニ博物館

寺院地区の北端にはルンビニ博物館が建っている。こちらも丹下健三氏の設計らしく、土管みたいというか、なかなか奇抜な形をしてる。
ひだり みぎ

ガラスが割れてたりして廃墟臭が漂っているが、一応営業はしているらしくチケットを購入。


門が閉まっていたので警備員にチケットを見せて開けてもらおうとすると、まさかのレスポンスが。「え、今日は営業してないよ。」

ここに書いてあるじゃんと言ってドヤ顔で看板を示す警備員。…ん?いや?あれ?どこだ?おかしいな?書いてないぞ?

火曜日が休館とはどこにも書いてないし、時間的にもばっちり営業時間内。仮に書いてあったとしても、だったら金を取ってチケットを売らないでくれよw



チケットを持って館内に入って何やら方々のスタッフと相談する警備員。ワイの方は20分ほど炎天下に放置され…出てきた結論が「今日は休館日」。いやいやいやー。勿体ぶって20分も待たせた結果がそれかいw


アメージングネパール、金を取っておいて中に入れてくれないのかw 休みなのに無駄働きしてる販券窓口の方々への同情を禁じえませんw

【ルンビニ博物館】

入館料:50ルピー
営業日・営業時間:不明



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カトマンズから仏教の聖地ルンビニへの日帰り旅行

いやー、軽いノリでルンビニの最寄空港であるバイラワまで来ちゃいましたが、果たしてカトマンズからの日帰り旅行が現実的なものなのか。まぁ何とかなるっしょ!的に勢い良く飛び出したはいいものの、バイラワ空港でルンビニ行きのバスが見つからず、早速途方に暮れる羽目に。


因みに今回はこんな旅程。
イエティ航空YT894便:カトマンズ07:30発 バイラワ08:05着
イエティ航空YT891便:バイラワ17:25発 カトマンズ18:00着

バイラワとルンビニは22kmの距離にあり、タクシーで30分程。往路の便が遅れなければ十分に日帰りが可能だと思うのだが、果たして…

いきなりバイラワ空港で出鼻を挫かれたが、無事に近くを通りかかったオートリキシャに拾われルンビニまで運んでもらえることに。

運賃は600ルピー(≒600円)。運転手ご自慢の車体は日本のテラモーターズ製とのことで、ちょっと相場より高いプレミアム運賃を要求してきたそうだが、ルンビニまで600円なら想定内。ただ、せっかく良いリアサスペンションが入った日系メーカーのバイクでも、道の凹凸が激しすぎて全て台無し。ケツへのダメージがでかい上、急に跳ね上げられて天井に頭をぶつけたりと、それはそれは酷い乗り心地である。

ひだり みぎ

時速30kmほどのスピードで農作地帯をひたすら走る。ブッダ生誕の地であるルンビニはネパールにあるとはいえ、地理的には北インドから続く平原の一部にある。インド国境からも10kmほどしか離れていないし、地理的にも文化的にもインド圏に近い。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
横を自転車で通り過ぎていく人たちも、皆さんどっからどう見ても完全にインド人。ネパールの首都カトマンズとは雰囲気が全くもって異なります。

ひだり みぎ
藁と木の家屋と田んぼが延々と続くタライ平野。お釈迦様が誕生した2500年前の時代と殆ど変化ないのではないかというくらい、長閑~な雰囲気。1週間くらい滞在したら、私でも悟りを開けるんじゃないかと思えてくるくらい。

ルンビニ園

バイラワ空港から激しく上下左右に揺られること40分、ルンビニ園の入口に到着した。この時点で09:20。15:30過ぎくらいにルンビニを離れれば復路の飛行機に間に合うと思うので、十分な時間をルンビニ観光に充てることができそうだ。

ルンビニの聖地ルンビニ園は、1978年に日本の建築家丹下健三が提案した「ルンビニ釈尊生誕地聖域計画」というマスタープランに則って開発されたらしく、大きく3つのゾーンにくっきりと別れている。

聖園地区:釈迦生誕の地・アショーカ王の石柱、釈迦誕生後に産湯として使われた池などが集まる園の核心
寺院地区:世界各国の寺院が点在するエリア。一部寺院には宿泊も可能。
新ルンビニ村:日系の笠井ホテルや法華ホテルを含む宿泊施設やバスターミナルがある観光の拠点。

上の地図で言うと、左(南)の円形部分が聖園地区、真ん中が寺院地区、右(北)が新ルンビニ村になる。


衛星画像で見てもこの通り。手つかずの自然が残る広大な平野の中で、この一角だけがものすごく不自然にくっきりと区画整備されている。

さっそく聖園の東側から入園してみると、目の前にネパール寺とチベット寺が現れた。日本、中国、韓国を含む世界各国の寺は寺院地区に集中しているのだが、ネパールとチベットだけは格上扱いなのか、聖園地区内に建てられているようだ。
ひだり みぎ
後に悟りを開き仏教の開祖様となれられるガウタマ・シッダールタは、今からおよそ2,500年程前に、釈迦族の王スッドーダナと后のマーヤー夫人の長男としてルンビニの地で誕生した。
出産を実家で迎える習わしがあった古代インド。そこで夫人もお産の為にお里帰りをしようとしたところ、道中に立ち寄ったルンビニにてマーヤー夫人を突然の陣痛が襲い、婦人の脇から王子が生まれたそうだ。

ん????

脇から?


そう。休憩の為に立ち寄ったルンビニ園で、婦人がアショカの木の枝に右手を伸ばした際に、ふと夫人の右脇の下から誕生したということらしい。いや、おかしいだろと思うシナリオ設定だが、そもそももって懐妊された際も、白い一匹の象が右脇から胎内へ入る夢を見て懐妊したというからな。妄想懐妊。ジョンレノンもびっくりのイマジン懐妊。

ひだり みぎ
この世に生まれ落ちた王子は、母の胸の中でおぎゃーと泣きじゃくるのかと思いきや…すぐさまそこからすたすたと7歩前進。右手で天空を、左手で地面を指しながら、「天上天下唯我独」と声高らかに叫ばれたそうだ。どこでこんな言葉を覚えたのか、赤ん坊とは思えない実に深みのあるひと言。仏陀は実在の人物なので、生まれを知ればもう少し親近感が湧いてくるかなーなんて思ってたけど、全くもってその逆。え?本当に実在の人物ですか?と逆に仏陀の存在に懐疑的になり始める一方ですw

聖園地区

お釈迦様の誕生について学んだところで、いよいよルンビニ園の核心に迫る。
ルンビニ園では、釈迦が生まれた場所に建つマーヤー聖堂・アショーカ王の石柱・産湯に使われたプスカリニ池のある中心地だけが有料エリアとなっている。

入園料は200ルピー。聖地だというのに皆さま行動を正そうとせず、強引な割り込みが横行してるのでストレスが溜まる。

聖地内は土足厳禁なので、近くの棚に履物を置き、荷物検査を受けてから入園。これがきっつくてね。灼熱の日光に照らされ鉄板のように熱せられたコンクリの上を歩くという苦行が待ってるんですわ。自分は素足にサンダルという恰好で来てしまったので足を焦がしてしまいましたが、靴下はオーケーらしいので、靴下を持参されることをお勧めします。

この白いマーヤー聖堂は、アショーカ王が置いたとされる仏陀生誕の地を意味するマークストーンを保護する目的で建てられた。おー!やっとこさ仏陀生誕の聖堂に辿り着いたぞーと気持ちが高ぶっただ、残念ながら建物自体は遺跡の保護目的に建てられただけなので歴史的価値はない。気持ちの高り損だわ!

仏教を保護したアショーカ王の時代(紀元前3世紀)からブッダの生誕地として知られていたルンビニ。しかし、インドで仏教が衰退していったことから、1896年にドイツの考古学者よって石柱が再発見されるまで、この地はジャングルの中に埋もれてしまっていたそうだ。その後、1967年に当時の国連事務総長の提案で世界平和のための聖地としての再整備が決まり、整備計画のマスタープランが丹下健三氏に委嘱され今日に至る。

アショーカ王の石碑


マヤ堂の西に建っているのがアショーカ王柱といわれる石柱。紀元前249年にインドを統一したマウリア朝アショーカ王が巡礼した際に建立したものとされている。


「アショーカ王は即位から20年後のこの年に仏陀釈迦牟尼誕生の地を巡礼した。住民の租税を1/8に減免する。」と記載されているらしい。減税とか内容が生々しすぎるw


減税とか内容が生々しすぎるが、これでも、お釈迦様の存在を確かなものとする重要な石碑。しかし、その石碑を取り囲む柵の中はゴミ溜めみたくなっていて残念な気持ちにさせられる。

ひだり みぎ
石柱の反対側には王妃が産後に産湯として使ったプスカリニ池が。その畔には大きな菩提樹が植えられていて、巡礼者が瞑想をしたり説法をしたりと聖地らしい雰囲気を漂わせている…というありがたい空気をぶち壊しにかかる日本語を話す物売り。せっかく私ももう少しで悟りの境地に達せそうなくらいまで気持ちを高められたのに!

マーヤー聖堂

ニルバーナを諦め、物売りから逃げるように聖堂へと入る。

聖堂内部は撮影禁止だったので外にある看板の画像になるが、マーヤー聖堂の中はこんな感じ。紀元前3世紀からの煉瓦造りの僧院の基礎部分が遺っていて、その中に、プラスチックスケースに保護されたマークストーンがポツリと置かれてる。


これも看板の画像になるが、こいつがお釈迦様が生まれた場所を示すマークストーン。70cmx40cm、厚さ10cmで、言ってしまえばただの石なんですけどね。「ここで釈迦が生まれましたよ!」と周囲に知らせるためにアショーカ王が置いた物らしい。ええ、繰り返しになりますが、言ってしまえばただの石です。


顔などが削られ保存状態は良くないが、お釈迦様の生誕の様子を描いたレリーフも遺されていた。アショーカの木に手を伸ばしたマーヤー夫人の右脇からお釈迦様が生まれ出るシーンですね。脇の下に産道が開いて中から出てきたのか、脇の下から花が咲くようにして生まれてきたのか気になるとことだが、残念ながらこのレリーフでは判別できない。

ただ、世界中で信仰されている思想が、2,400万年前にこの地から始まったと考えるとやっぱり何か特別な物を感じてしまう。見学者の中には感極まって涙をこぼす女性もいましたからね。

こういったガチの巡礼者はルンビニから西に30kmほど離れたところにある、釈迦が29歳に出家するまでを過ごしたティラウラコット(Tilaurakot)という農村の王宮跡にも足を運ぶみたいなんだけど、日帰りで来てる自分には時間が無いのでティラウラコットはスルー。ルンビニ園内の寺院地区とルンビニ博物館を見てから空港へと向かうことにします。



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イエティ航空ネパール国内線 カトマンズから仏陀生誕の聖地・ルンビニへ

前回のエントリーに記載した通り、安全性ランク一つ星評価のイエティ航空便を利用して日帰りでのルンビニ観光に行くことにしたワイ。

仏教の開祖ブッダの生誕の地で、成道の地ブッダガヤ、初めて説法をしたサールナート、入滅の地クシナーガルと並ぶ仏教四大聖地の一つとされるルンビニ。自分は巡礼意欲ある意識高い系の仏教徒というわけでもないし、それどころか仏教徒ですらないのだが、聖地と言われれば行ってみたくなるタチなんでね。カトマンズからルンビニへの最寄空港であるバイラワまでは飛行機で30分ほどの距離なんで、日帰りでの聖地お気軽体験コースを楽しんでこようと軽い気持ちで発券した。

四大聖地の中で唯一インド国外にあるとはいっても、位置的にはもう殆どインド。というか、ルンビニって寧ろインドにあると思ってたので、ネパールにあることが驚きだった。逆にどういった経緯でここがネパールに帰属するようになったのか知りたいわ。当時はインドもネパールも無かったとはいえ、お釈迦様の今日で言うところのご出身国がネパールというのはちょっと違和感ある。


ちな、四大聖地の位置関係はこんな感じ。北からルンビニ、クシーナガル、サールナート、ブッダガヤとなる。生誕の地ルンビニから悟りを開いたブッダガヤまでの距離は419kmで、不眠不休で歩き続けて3日と12時間45分もかかるのだと。飛行機や車がある時代に生まれてほんと良かった。


ということでいざ出発。往路の飛行機は07:30カトマンズ発ということで、気合を入れて05:30にホテル発。朝早くから通りに屯していたタクシーのうち1台を捕まえ空港へと向かう。運賃600ルピー。

カトマンズ トリブバン国際空港


国際線ターミナルに負けじとさらにこじんまりとしたカトマンズのトリブバン空港国内線ターミナル。こんなんバスターミナルレベルやんか。


ひだり みぎ
ただ、国内線の新ターミナルは2016年5月に操業開始となったばかりらしく、建物の中は思いの外ちゃんとしてた。ただ、インド人の乗客マナーはちゃんとしてなくて、割り込みが露骨すぎてえげつなく、前方に少しでもオープンスペースを許してしまうと強引に突っ込んでくる。いくらYeti Airlines You Come Firstと書かれてるからって、それはないよ!

ひだり みぎ
カフェやコンビニ的なお店もあるが、ビジネスクラスラウンジは無い。そもそも飛行機にビジネスクラスがないんだから仕方無いっすね。

ひだり みぎ
空港に早く着きすぎたのでコーヒーでも…と思って値段を見るとびっくり。空港内市内の物価感覚との乖離が激しい値付けになっているので要注意。缶ジュースやペットボトルの水ですら400円ほどと、町中の10倍ほどのアコギな価格設定になっている。市内で400円出せば腹いっぱい旨い飯を食べれますからね…


閑古鳥無くカフェの隣で大行列を見せる仏陀エアのチェックインカウンター。いくら今やネパールはヒンドゥー教国になったとはいえ、やぱり人気では雪男より仏陀ということだろう。雪男なんか信じててもご利益なさそうだからまぁしゃーない。

ひだり みぎ
出発1時間前となったので、チェックイン開始。搭乗券もしっかりしていて印象は悪くない。座席も自由席じゃなかったしw 搭乗時に全力ダッシュして特等席を確保できるよう丹念に足回りの筋肉をほぐしてきたんですけどねw

イエティ航空NYT891便 カトマンズ⇒バイラワ


機体までの移動はもちろんタタ製のランプバスで。インド国境から数キロのバイラワに向かう便だからか、バスの中は圧倒的なまでのインド臭に支配されている。


本日の機材はイエティ航空の主力であるATR-72。もっとおんぼろで小さなボロ機材かと思っていたので、これは嬉しい誤算。


客室乗務員さんもまともだし。中々良いじゃないかイエティ航空君。

ひだり みぎ
ひだり みぎ

座席に着くと、朝一の便のはずなのに既に床にゴミが落ちてたりと汚いw 座席スペースが狭いのは仕方がないとはいえ、これだけ汚いと、ちゃんと整備されてるのだろうかと少々不安になる。離陸前からそんなにまざまざと一つ星航空会社の実力をみせつけないでくれよw

ひだり みぎ
しかし、そんな不安をよそに、飛行機はノイズキャンセリングイヤホンの効果を無力化する程のけたたましいプロペラ音とともに無事にテイクオフ。インドとの国境を目指してタライ平原を西へと飛んでいく。


30分の短いフライトにもかかわらず、上空ではキャンディ、ピーナッツ、耳栓代わりの綿が配布され、ピーナッツをぽりぽりとつまみながら隣のインド人主婦と話してる間にバイラワへと到着した。

ひだり みぎ
まさかまさかのオンタイムの到着に歓喜!これで17:25バイラワ発の復路便までバイラワを満喫する時間が十分に取れそうだ。雪男もやればできるんだよ。

ひだり みぎ
タラップを降り、カトマンズのトリブバン空港が立派に思えてくるような、くっそしょっぼいバイラワ空港のターミナルへは汗びちょになりながら徒歩での移動。仏陀生誕の地の玄関口として相応しくする為にと新しくゴータマブッダ国際空港の工事が始まっているらしいのだが、地震やらインドからの経済封鎖やら、元受けの中国企業の契約違反やらで完成が遅れに遅れているのだと。

で、だ。バイラワからインド国境との町バイラワからルンビニまでの22kmの移動をどうするのかが次のクリアすべき問題。歩いて修行して回った仏陀には悪いが、くっそ暑いしハーフマラソン気取りで走っていく気にもなれんしな。まぁ空港の外にリキシャの車夫が屯してるだろうし、移動手段の確保には事欠かんだろ!
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と思いきや、空港の外にいるのは家族の迎えで来てる男衆ばかりで拍子抜け。え?観光客の僕がここにいるんですが、誰も声をかけてくれないの?もしかして、本当にもしかしてだけど現地のインド人と間違えられてリキシャマンから声をかけられないのかなとも思ったりして、ガイドブックを手に持ってアピールするも、声がかからないw

ひだり みぎ
山崎まさよしの「僕はここにいる」が虚しく脳内に流れる中、とりあえず空港前の幹線道路に出てみたはいいが、バスターミナルも何も見当たらないw ここからどうやってルンビニまで行けばいいんだw



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