鄭州ー広州 中国南方航空 B737-800ビジネスクラス搭乗記

端午節三連休の洛陽・鄭州・開封旅行もあっという間に終わり、現実へと引き戻される時間がやってきた。河南省省都・鄭州の空の玄関口から広州へと南方航空で一っ飛びだ。


滞在先のルメリディアン鄭州から(CGO)へはタクシーで。かかった時間は30分、メーターで走って高速道路料金を含めて運賃は120元だった。コンシェルジュに言われるがままにタクシーに乗ったけど、鄭州東から高速鉄道で行けば二等で11元という運賃で済んだので、随分と余計に交通費を払ってしまったと反省。外国人にはとりあえず無難にタクシーを勧めとけみたいな風潮があるようなので、もう少し自分で移動方法を調べるなりしないとな。

ひだり みぎ
以前は薄暗くて陰気臭かったんですけどね、改修されて交通の要衝・鄭州の玄関口にふさわしい随分と立派な空港として生まれ変わった鄭州新鄭国際空港。アジアだけでなく、ドバイ(エミレーツ)・メルボルン(ジェットスター)・バンクーバー(四川航空)への直行便も飛んでいるくらいなので、近代的で大きな空港だ。成田へもCZが週3で直行便を飛ばしてるのかな。

ひだり みぎ
南方航空も頑張ってて、南方航空自前のチェックインカウンターも設けられている。勿論スタッフも自社社員。なんでももともと鄭州をハブとしていた中原航空を併合したことから鄭州を中国内陸地の焦点空港としているんだと。因みに南方航空の焦点空港は他にも上海・長春・瀋陽・大連・厦門・ウルムチ・深セン・武漢と中国全土に跨って設けられていて、もうこれ南方航空の名前を返上した方が良いんじゃないかというくらい全土で存在感を強めてきてる。

ひだり みぎ
やけに立派で中国共産党指導者を迎えるかのような赤絨毯が敷かれた優先レーン。利用するのは自分だけで、なんだか共産党指導者になったかのような気分。

ひだり みぎ

広々とした国内線出発フロアのラウンジは二つ。南方航空のラウンジは保安検査を出て右手にある。南方航空による運営のCZ自前ラウンジだが、エアチャイナ・深セン航空・山東航空・四川航空・昆明空港のラウンジ利用客も利用可能となっている。同じくスカイチーム所属の上海航空・厦門航空・中国東方航空はもう一つのラウンジを利用することになっていたりと、よく分からん分け方だな。

ひだり みぎ
コチラが南方航空ファーストクラスラウンジ。入って左手がビジネスクラス・ファーストクラス利用客用ラウンジ、右手がスカイチーム上級会員用ラウンジとスペースが分けられている。

ひだり みぎ
アウェイ空港のラウンジなのに広っ!寧ろ本拠地広州の自前ラウンジより立派な気が…


仮眠室まであるし。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
ミールは相変わらずの内容ですが。


ひだり みぎ
ドリンクもしょぼいが、お茶だけは充実し過ぎだろうというくらい充実。


ひだり みぎ
日本ではあまり飲む機会のない毛尖茶を心行くまでしばき倒してからB737-800が待つゲートへと向かう。


いつものシート。チェックイン時に窓際か通路側か聞かれたけど、この日のビジネスクラスは自分一名だったんで窓際も通路側も関係なかったな。全席独り占め状態。

ひだり みぎ
端午の節句だったのでいつもの機内食プラスアルファで粽が供された。甘ったるくて食べれなかったけど、嗚呼これで今年の端午の節句休暇も終わりかと寂しい気持ちが込み上げる。



翌日からの仕事に向け気合を入れ直したところでランディング。降機時にはカーテンでエコノミークラスをきっちりブロック。シートベルトサインが消える前にフライングして領土侵犯してきたせっかちな乗客も元いた場所へと摘み出されてました。

これで端午節連休の洛陽・鄭州・開封旅行も終わりを迎えたわけだけど、CZゴールドを目指す修行の旅はまだまだ中間地点を過ぎたばかり。今後も南方航空で飛びまくりますよ。

ルメリディアン鄭州 スイート宿泊記 洛陽・鄭州・開封旅行12

鄭州二泊目の宿は幾つかの候補と迷った挙句、ルメリディアン鄭州(鄭州建業艾美酒店)にすることに。

SPG系列のシェラトングランドとアコーホテルズ系列のソフィテルと迷った末、結局、超モダン路線なスタイルで評価の高かったメリディアンを選択した。あと、もう少し郊外まで選択肢を広げれば、世界のSPGホテルの中でも随一の安さを誇るアロフト鄭州上街も選択肢に入ってきたんですけどね。

一泊なんと3,018円。価格面は大いに魅力的ではあったが、翌日の飛行機で広州に戻る計画だったので、今回は空港からのアクセスが悪過ぎるアロフトの利用は見合わせることに。

ということで開封から戻ってきた足でそのままメリディアンへ。

鄭州東駅からの道中、一度は宿泊を検討したシェラトングランド鄭州の横を通過。こちらもSPGカテゴリー2とは思えない立派な外観だった。ザ・シェラトングランド的な。ただ、この日は端午節旅行を〆るべく思い出に残るようなエッジーな宿泊を求めていたので、やっぱり選ぶべきは尖がりデザインが面白そうなメリディアン。

鄭州東駅からタクシーで僅か10分(20元)、メリディアン鄭州に到着した。ニュータウンに位置することから古都の風情を感じるには場違いとなるが、徒歩圏内には飲食店・ショッピングモールがあり不便の無い場所にあると言えるでしょう。鄭州空港からはタクシーに乗っても30分弱(120元)の距離だし、鄭州東から高速鉄道に乗れば11元(高速鉄道運賃)で空港まで移動することもできる。
ひだり みぎ
ひだり みぎ
いやー、それにしても凄い。三国志の主要舞台・中原の地にもこんな近代的なホテルが出来るようになったんだな。しかも中国系設計事務所によるデザインだってさ。先に泊まった超高層型ホテルのJWマリオット鄭州といい、河南省都として反転する鄭州の勢いを感じる。


2013年オープンのメリディアン。当時の完成予定図は更に斬新な内容となっていた。エネルギッシュでダイナミックなデザイン。後ろの集合マンションが若干共産圏を感じさせるけど、誰もこの絵を見て中国内陸地のホテルだとは想像もできないでしょう。

ひだり みぎ
ロビーも超絶スタイリッシュで、ここが中原の地であることをすっかり忘れさせてくれる。ここに最安値13,000円~もしくはスターポイント3,000~で泊まれるんだから中国でのホテル修行は止められない。

ひだり みぎ


ひだり みぎ
大陸では珍しい黒色を基調とした現代的センスで纏められた館内。ツアー客は下層階の部屋に押し込められているのか高層階は宿泊客も疎らで不気味なほどの静けさが漂っている。


この日はバグなのかスイートが安く、最安値のクラシックルームとの値差が僅か3,000円程度だった。スイートスポットプロモで得られる3,000ポイント(≒7,000円のポイント価値)付きと考えるとスイートの方が断然お得だったので、ここはスイートで予約することに。更に上のクラスのスイートへのアップグレードも期待されたが、残念ながら空室無しとのことで今回は予約をしていたルメリディアンスイートがそのままあてがわれることに。

ひだり みぎ
ビックリしたのはエレベーターから部屋へと向かうホールウェイ。建物の真ん中がガラス張りの吹き抜けになっているのだが、妖しげなピンクの照明に照らされた吹き抜けを囲うガラスに真っ赤のペンキがスプラッターな感じでデコレーティングされていてサイコパスの館かのよう。これは流石に悪乗りし過ぎか…。

部屋:ルメリディアンスイート

プレジデンシャルスイート(1部屋、400㎡)・アンバサダースイート(4部屋、150-175㎡)・エグゼクティブスイート(2部屋、140㎡)と比べたら見劣り感の否めないルメリディアンスイートだが、これでも90㎡と十分すぎる広さを誇る。
ひだり みぎ
先ずは入って右手のリビングルームから見ていこう。ロビーと同じくブラックを基調とした落ち着き有るある空間の中に、ホワイトとブルーのインテリアがバランスが配されている。やっぱりメリディアンは色の使い方が上手だなーと改めて感心させられる。


シートも長テーブル+オフィスチェア・ダイニングテーブル+ダイニングチェア・オットマンソファ・フロアソファと種類が豊富で、一人での滞在には何とも持て余してしまう。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
エスプレッソだけでなく本格的な茶器まで用意されている。


おっ、流石メリディアンのスイートルーム、無駄に土器まであるやんけなんて思って触ってみたら安っぽい紙パルプ製だった。照明なんか当てて如何にも骨董品ぽい演出してるくせに。


ウッディな薫り漂うウォークインクローゼットも広々。バスローブの質感も最高だし言うことない。

ひだり みぎ
リビングルームもブラックな空間に純白ベッドとレッドのランプシェードが浮かび上がっていてお洒落。


ひだり みぎ
ベッドサイドテーブルのランプやデジタル時計なんかも一々スタイリッシュで憎いね。

ひだり みぎ
バスルームは縦目地をずらした白いタイル×白いマーブル床×オフホワイトで丸みあるフィルムのバスタブと一転して白一点攻め。清潔感が強調されている。

ひだり みぎ
この壁のタイルがまた良いアンティーク感を醸し出してて良いんですよね。部屋の全体的な雰囲気とは若干マッチしないけど、良いものは良いということで。


ただ、今年の春くらいからメリディアンのスイートルームで出されていたCinq Mondes Soins Du Spaのアメニティを見なくなった点だけは残念でしかない。前まで非スイートで出されていたメリディアンオリジナルのバスアメニティも無くなったのか、今はスイート・非スイート関係なくMalin + Goetzのブランド品を使うメリディアンが圧倒的に多くなってしまった。

クラブラウンジ


ひだり みぎ
ひだり みぎ
クラブラウンジは27階。採光が素晴らしくて開放感がある。


あと、アイスが終日提供されているのが個人的にポイント高い。ドリアン味は食べて直ぐうげぇ~ってなったけど。

イブニングカクテル
ひだり みぎ
ひだり みぎ
ひだり みぎ
ホットミールも美味しいし、サラダも生野菜を大皿に入れるだけではなく、マッシュルームサラダ・タイ風ポークサラダ・ガーデンサラダと非常に手の込んだ料理となって供されていたのが今更ながら健康に気を付けだした三十路のオッサンには嬉しいところ。フルーツもデザートも美味しかったし、終日のアイスサービスもあって非常に満足度の高い内容かと。

ひだり みぎ
ドリンクも充実。モヒートを作ろうとしてたら気さくな女性スタッフが代わりに腕を振るって作ってくれたりしたし、居心地良いラウンジだった。利用客も少なかったし。

朝食

ただ、翌朝の朝食がね…。端午節の関係か、ガラガラだと思えたホテルが実は中国各地から鄭州に集結してきた大量のツアー客がホテルに押し寄せていたようで…朝食会場はカオスだった。
ひだり みぎ
まず、エントランスで2分程待ったのにスタッフが来てくれなかったので勝手に入らざるを得なかった。「Please wait to be served」って書いてたんですが、2分待って誰も来ないのだから仕方ないでしょう。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
食い散らかす客、食い散らかされたプレートを放置するスタッフ、補充されないミールにドリンク、朝食会場の一部に設けられたキッズスペースから乱入してきて奇声をあげながら走りまわる子供たち…ラウンジも端午節でクローズの為、朝食難民になってしまった。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
ミールの補充も全然間に合ってないし…SPGホテルの朝食でここまで醜い体験をしたことは今までにも記憶にないレベル。

その他館内施設

ひだり みぎ
ひだり みぎ
朝食会場の入り口の直ぐ横にカフェ・ラティトゥード34があったので、仕方なくここでクラブサンドイッチを食べてから空港へと向かうことに。

朝食会場がこんなに混雑してなければ素晴らしいステイだったんだけどなー。スタッフも皆さん愛想があって可愛かったフレンドリーだったし。惜しい!

ルメリディアン鄭州(鄭州建業艾美酒店)


Booking.com



住所:鄭州市中州大道1188号
電話:0371-55998888
チェックイン/チェックアウト: 15:00/ 12:00
SPGカテゴリー:2
公式ウェブサイト:こちら


Booking.com

宋都御街・龍亭公園 開封日帰り旅行2

鄭州からの開封日帰り旅行。夏の禹王を祀った禹王台公園の見学を終え、8路のバスで開封市街地へ。次なる目的地は宋代の宮廷画家・張択端の画巻『清明上河図』に描かれた風景・風俗を再現した古都開封市内の歴史文化テーマパーク・清明上河園。

中国北宋の都・開封の都城内外が賑わい栄えた様を描いた清明上河図。残念ながら1305年の黄河の氾濫により宋の都・東京は地中深く埋もれてしまったこともあり、清明上河図は当時の東京のありのままの姿を残した唯一の資料となっている。


東京開封府内外の人士が行楽する様子が全長約5メートル・縦24センチに渡って活き活きと描かれた清明上河図。その登場人物数は実に773人。幸せそうな市民の生活の様子が事細かに描かれ、宋朝当時の市街図や風俗図としても極めて資料的価値の高い資料となっている。

そんな古の街・開封。市街地への途中には磚積みの城壁が遺されていた。


戦乱や黄河の氾濫を経験してきた開封の城壁は多くの王朝が修復を繰り返してきたそうで、東西4km・南北3.3kmの範囲を取り囲んだ現存の開封城跡は、1842年に清王朝が再建したものになるそうだ。

最近になって建てられた鼓楼なんかも。

7代の王朝が都を構え、宋代にはコルドバ・コンスタンチノープルと並んで世界一の繁栄を誇った歴史的都市・開封であるが、今や人口50万人程度の中小都市。中華人民共和国設立後は省都の座もお隣の鄭州に奪われ、地方都市の一つに成り下がってしまった。そこでなんとか盛り返しを図ろうと、古都の名前を活かして観光都市としての再生を図っている最中にあるようだ。



文明市民は赤信号を渡らないよとの看板の直ぐ横を信号無視する非文明市民多数で、民度の低さをまざまざと見せつけられた。多分、赤信号に対して罰金を課すようにするくらい強気に出ないと効果は上がらないんだろうな。


鼓楼から清明上河園を目指して歩いていると、ちょうど宋都御街に行き当たった。北宋時代、北の皇居の宣徳門から外城の南熏門までの5Km余りに栄えた御街を模倣して造られた商店街ということらしい。こういった模倣物ばかりなのが残念なところなんだけど、黄河の洪水が頻発してきた当地では、街が栄えては洪水で埋もれるというサイクルを繰り返してきたようで、過去に築かれた歴代王朝は全て今の町の地下に地層となって埋もれているのだと。


ひだり みぎ
ひだり みぎ
現在の宋都御街は全長400m程で、通りの両側には土産物・骨董品・絵画・刺繍品なんかを取り扱う合計50程の楼閣店舗が軒を連ねている。屋号も宋時代の文献通りに書かれている程の拘りようなんだけど、道幅広く自動車が行き交っているからか、歴史街と言われてもどうもしっくりこないところがある。


樊楼も史書に基づき忠実に再建されたもので、東・西・南・北・中の5つの3層の楼閣から成り、それぞれの楼閣が飛橋で繋がっている豪華な造り。

宋都御街の北端には宋・金代の皇帝の御苑で明代の周王府の跡地に建てられた龍亭公園の入口となる午門と湖とが見える。地図を見ると、龍亭公園・天波楊府・中国翰園・清明上河園と王府跡地内で繋がっているようだ。

ひだり みぎ
湖と園林の景観が美しく、龍亭公園は中国の百家名園の一つとされているそうだ。はっきり言ってただの公園なんだけど、驚くべきは、湖の下6メートル程に明の周王府が、10数メートル更に深い所には北宋の紫禁城が埋没されているという事実。観光都市として巻き返したいのなら、こんな宋代の再現アミューズメントパークなんか作ってないで歴代王朝の都を掘り起こした方が…と思わざるを得ないのだが、何かしら採掘できない事情があるのだろう。

入場料50元を支払って園内へ。

ひだり みぎ
入口の門を入り、左右に広がる楊家湖と潘家湖という人造湖の間の道を歩いて行くのだが、この湖に纏わるストーリーが面白い。なんでも、宋の開国当初に活躍した楊業と潘仁美という二名の官吏に由来する湖なんだそうだが、公園の西側に広がる楊家湖は水がきれいで東側の潘家湖は汚く濁っているのである。まぁ平たくいえば、楊業は実績十分で公明であり、潘仁美は卑怯下劣で汚い男だった、ということらしい。

中門を抜けた先には、高く積み上げられた煉瓦の台の上に黄金色の瑠璃瓦屋根が眩しい龍亭宮殿、通称・万寿宮大殿が建てられている。煉瓦の台の高さは13mで、72段の階段を上って上部からの景色を楽しむことができる。

ひだり みぎ

周囲を囲む2つの湖や宋都御街や清明上河園などが見渡せる。


万寿宮大殿の中には当時の皇帝の玉座が再現されている。


続いて、先述の楊業の邸を再現したという天波楊府へ。別にここに来たかったという訳ではないのだが、龍亭で迷ってしまって、気付いたら龍亭公園の中にある天波楊府に彷徨いこんでしまったというわけ。入場料30元。


楊業氏?

ひだり みぎ
楊一族の屋敷と言われても、自分には知識が無いので、龍亭公園と同じくただのだだっ広い公園にしか映らない。


正直、楊一族に思い入れの無い一介の外国人観光客には、こんなんで金を取るんか?という内容。美しい公園程度に考えた方が良いだろう。


この日も36℃のカンカン照り。あー、暑いわー日陰に入りたいーと思っていた自分の前をバンドで日傘をおでこに固定して颯爽と歩き去るオッサン。必要は発明の母なり。なんか最後に中国の強さを見せつけられた気がしたね。

…謎の公園に時間をかけすぎたばっかりに結局ここでタイムオーバー。清明上河園を見ずして開封を後にする。

【鼓楼・清明上河園・龍亭公園】



Booking.com

鄭州から開封日帰り旅行1 禹王台公園と繁塔

鄭州から高速鉄道でやってきた古の都・開封。西安や洛陽といった都城の東に位置していたことから東京と呼ばれ、北宋の時代には世界最大級の都市として栄えた古都である。

主な開封の観光名所は以下の通り。
・清明上河園(『清明上河図』に描かれた街並みを再現したテーマパーク)
・龍亭(明代に建てられた宮殿)
・禹王台(夏の禹王を称えて作られた廟)
・繁塔(974年建立の仏塔)
・宋都御街(宋代の商店街を再現して作られた町)
・鉄塔(1049年建立の仏舎利)
・延慶観(元代に作られた寺院)
・大相国寺(555年建立の寺)
こんなところかな。古都なだけあって、古い寺や公園が主な見所となっている。

時間はちょうど10時、どこから攻めたら良いだろうか…。鉄道駅前には開封の観光スポットを紹介する広告が立てられていたのでチェック。
ひだり みぎ
開封が東京開封府と呼ばれていた頃の名残だろう。東京極地海洋館なる施設があるのだが、その英訳がまさかのPolar Aquarium in Tokyo。なかなかやってくれるわい。


とりあえずローカルバス乗り場で出発待ちだった8番のバスに乗り込むと、お誂え向きに終点が夏の禹王を称えて作られたという禹王台公園。運転手曰く渋滞が無ければ1時間で着くとのことだったので、ここは思い切って31駅先の終点・禹王台公園まで行くことに。寺とか塔を見るよりも、伝説の王朝・夏を作ったとされる禹王に纏わる公園の方が面白そうだしな!


運転手が言う通り開封北駅を出てちょうど1時間、禹王台公園に到着した。見た感じ場末感マックスで冴えない公園といった感じなのだが、一応は有料の観光スポットらしいので30元の入場券を買ってから中へと入る。

古代梁の時代の庭園遺跡で、千古名園とも称される禹王台公園。樱花园・牡丹园・芳春园・石榴园が広がり、まるで植物園かのように多くの緑で覆われた敷地内に、「古吹台」「御書楼」「禹王廟」「三賢祠」といった幾つかの見所が点在してるようだ。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
禹は言わずと知れた夏王朝の初代王。夏王朝の始まりは紀元前2070年頃で、史記などの文献でしか語られることがなく多くの謎に包まれてきた。これまで伝説や神話上の王朝と言われてきたのが、近年の相次ぐ考古学的な発掘により禹が作った中国最初の王朝の姿が次第に明らかになってきている。なんでも黄河の治水に成功し、「黄河を治むる者は天下を治む」を最初に体現した王朝だったのだとか。

史記には禹王についてこのような言及がある。

遥か昔、世界は洪水が相次ぐ厳しい時代で、農業に頼っていた古代中国の集落は壊滅的な被害を被ることに。為政者たちがどのような策を講じても荒れ狂う大河を抑することは出来ず、人々は貧しい生活を余儀なくされていた。そこに禹という一人の若者が現われた、全国の治水に邁進した。厳しい自然との戦いで若々しかった肉体は老人のように不自由になったが、それでも歩みを続けることを止めなかった偉大な禹は13年後に全土の治水に成功。生まれ変わった豊かな土地で民の暮らしは一変し、周囲から推された禹は王として即位。中国最初の王朝・夏を作り、大いに繁栄させましたとさ。


歩を進めると、先ずビックリするのはトイレ。ありますよね、トイレ行きたい時に限ってトイレの前に長蛇の列って時。そんな時の為に、こちらの公園では一般的なトイレに加えて緊急トイレなる施設を用意がされている。その名も応急厠所。流石は治水王を祀る公園といったところか。

西門には974年建立の古い繁塔が遺る。宋代は六角九重の塔で高さ80メートル余りの仏塔だった。それが明代には三重を残して崩れ落ちたので、三重の塔の上に七重の小さな磚塔を増築したそうだ。
ひだり みぎ

塔身は異なった釉で焼かれた四角いレンガで築かれており、一つ一つのレンガに精巧な釈迦牟尼・観音・羅漢など様々な仏の姿が彫られている。何とも不思議な塔である。



碧露元君祠。

ひだり みぎ
続いて1517年に建てられた三賢祠。ここで言う三賢とは李白・杜甫・高適の唐代三大詩人を指すようだ。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
三大詩人による名場面集が塑像をもって表現されている。一体全体何が表現されているのか漢詩について明るくもない自分には看取れんが、李白・杜甫・高適の仲がすこぶる良かったのであろうことはなんとなく伝わってくる。

ひだり みぎ
こちらは詩人の家の再現だろうか。


ひだり みぎ
大禹治水廟の石碑。文明を生んでは破壊し、また文明を生み出し破壊する母なる大河・黄河。時には荒れ狂い都市をも飲みつくす強大な大自然を制して国を発展させた禹王は、今の中国の礎を作った人物として古代から多くの人々に信奉されてきたそうだ。


正殿の西院は中国の歴史上で治水に功績を挙げた人物38名を祀る為に建てられた水徳嗣と呼ばれている。「功在河洛」の文字は乾隆帝によるもの。


ひだり みぎ
治水の様子を描いた壁画や治水に関する記載のある石碑が並ぶ。


ひだり みぎ
こちらが王の廟。もともとは春秋時代の晋国の大音楽家師昿がこの高台で演奏を楽しんでいたことから「吹台」と呼ばれていたが、明代の1523年になり中国最古の治水の王である禹王の功績を称える為、この高台に禹王廟が建てられ禹王台と改名された。

ひだり みぎ
ここには禹王による名シーンの再現が。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
他にも子供騙しな遊園地があったり…

ひだり みぎ
防空壕があったりと、見所満載の禹王台公園!毎年10月から11月にかけては菊花花会なるお祭りも催されるようですよ。

【禹王台公園】

住所:開封市繁塔東街38号
入場料:30元
アクセス:8・12・15・46路のローカルバス



Booking.com

鄭州から高速鉄道で開封へ日帰り旅行 洛陽・鄭州・開封旅行9

端午節休暇三日目は、中国でも最も歴史が古い都市の一つであり、11世紀から12世紀の北宋時代には人口150万人という世界最大級の都市として栄えた開封へ。開封に行ったことのある知人曰く、開封は町全体が北宋時代の建物や風俗を再現したテーマパークということだったが、果たして…。


鄭州から距離にして70Km。鄭州から開封を直線で結ぶ鄭開都市間鉄道や高速鉄道を利用すれば開封まで僅か20分、全くもって日帰りでも問題ない距離である。

ひだり みぎ
宿泊先のJWマリオット鄭州から程近い鄭州東駅へはタクシーで。ホテルから鄭州東駅にかけての市街地東郊の一帯は鄭州でもニュータウン・ビジネス街的なエリアとして発展しており、近代的なガラス張りの建物がバンバンと建っている。


まるで空港化のように巨大で近代的な鄭州東駅は、今回利用する鄭徐旅客専用線の他、鄭州と開封間をピストン運行する鄭開都市間鉄道・石家荘駅-武漢駅間を走る石武旅客専用線・鄭州東と西安北を結ぶ鄭西旅客専用線が乗り入れる中国でも最大規模のジャンクション駅。

鄭開都市間鉄道で開封市内ど真ん中にある宋城路駅へ行ければベストだったが、タッチの差で都市間鉄道を逃してしまったので、先ずは鄭徐旅客専用線で開封市内から少し離れた開封北駅まで向かうことに。
ひだり みぎ
09:42鄭州東発10:02開封北着のG1274。運賃は一等=28元・二等=18元の鄭開都市間鉄道より微妙に運賃が高く、一等席=38元・二等席は24元となっている。

鄭開都市間鉄道(鄭州東⇒宋城路):始発06:50~終発20:10発。一日10本。所要28分。
鄭徐旅客専用線:(鄭州東⇒開封北):始発07:17~終発21:27発。一日24本。所要20分。

ひだり みぎ

くっそ広くて空港かのような駅構内。毎度毎度、中国では規模感が狂わされるわい。

ひだり みぎ
出発15分前になり、人民様の波に飲まれながらプラットフォームへ。鄭徐旅客専用線は開封の先、除州まで繋がっているので利用客が比較的多いようだ。

ひだり みぎ

一等車両に乗車。座席が2×3と一列5席で並ぶ二等車に比べ、一等は2×2の4席と、座席周りが若干ゆったりとしてる。日本で言うところのグリーン車的扱いだな。

ひだり みぎ

リクライニングは相変わらずショボイが、各座席にフットレストと電源ソケットを備える等、二等席とは若干の差別化が図られている。


食堂車では充実のフード・ドリンクメニューを楽しむことができる(美味しいとは言ってない)。ただ、西遼河風西遼蜜汁風味牛肉(40元)とか、重工徳式黒胡椒焼腸(18元)といった気になるメニューがあったので問い合わせてみたところ、あいにく今回の列車には積んでいないとのことだった。メニューは充実しているが、実際に注文できる料理には限りがあるのかもしれん。


本路線は河南省鄭州を起点に東南へ向かい、開封・商丘を経て安徽省宿州市に入り、最後は江蘇省徐州市に至る。最高時速は350kmで、鄭州―徐州間を2時間足らずで結ぶという。凄まじい中国国内の鉄道網だ。

ひだり みぎ
こんだけ速い鉄道なもんで、あっという間に中華文化が生まれた中原の大地に広がる真っ平らな小麦畑の中を走り抜け、古の都・開封に到着した。



Booking.com